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 「YOU CAN DO THAT」 Sony Music Associated Records 2004年1月21日発売 AICL-1497 1,020(tax in)
1 YOU CAN DO THAT 2 words of love 3 YOU CAN DO THAT(Instrumental) 4 words of love(Instrumental
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2003年にリリースした1stアルバム『Oh My Sister』が、ヒップホップ/R&Bの中では異例の30万枚以上のヒットを飛ばし、話題を呼んだSOULHEAD。
“新人”という枠を外れた桁違いな歌声、グルーヴ感、そして抜群なハーモニーは、耳にソフトな感触で入ってきながらもずっしりと重いソウルを感じる。そんな今までになかった彼女達的な解釈のブラック・ミュージックは、ナチュラルな素の魅力と共に一気に広まった。
2004年、いよいよ2ndステージへと突入するSOULHEADのニュー・シングル「YOU CAN DO THAT」。1stステージから2ndステージへ、二人はまず、テーマを決めたようだ。
YOSHIKA「2ndステージは、“メッセージを伝えていこう”ということになって。1stステージでは自分達の実体験をそのまま吐き出すような曲ばっかりで、そこに少し意味が足りなかったなって思うんですよ。だからそこから先、メッセージを伝えてポジティヴにつなげていける曲にしたいなって。今の自分達の応援歌的な意味も込めて今回の詞を書いたんですけど」
<飛びたいなら 羽を持つんだ~>と日本語歌詞で始まる力強くてきれいなハーモニー。聴く人に勇気やメッセージを与えると同時に、彼女達の”意志”も強く感じる歌詞には理由があった。それは二人にとって親愛なるおじいちゃんが初のツアーを目前に亡くなるという悲しい出来事だった。
YOSHIKA「この歌詞を書けたのはおじいちゃんの力が大きかったんです。始めは、絶対に死なないって思っていたから、全く受け入れられなくて。でも、ツアーを目の前に控えていたし、やることはやらないと、おじいちゃんが生きていたらそう言うだろうなって思って」
TSUGUMI「「OH MY SISTER」が大好きな、ちょっとファンキーなおじいちゃんでしたね。ツアーをすごい楽しみにしていて、“ツアーをすれば、世界中の人気者になるに違いない”って信じていたみたいで(笑)。だから、どこかでツアーを観てたとして、もし失敗したら、おじいちゃんが俺のせいだって思っちゃうのもいやだったし、絶対に成功させる、妥協なしにがんばんなきゃって。その結果、自分達も楽しめたし、お客さんと一体になれたって感じだったし、あっ、やっぱりこれだったんだなって」
YOSHIKA「それで2ndステージに突入した時に、おじいちゃんによって気づかされたことを忘れたくなかったから私たちができること=”歌”で形に残したかったんですよね。よく「お前達だったらできるから、周りに迷惑をかけなかったら大丈夫だよ」って言ってくれたんだけど、今回はその言葉を借りて歌詞を書いたんです。だから単純に”あなたならできるよ”って言うだけじゃなくて、この曲を聴いて、あとは“あなた次第なんだよ”っていうそういう意味も込めて書いたんですけど」
’03年11月に行なわれた初ツアーで確かな手ごたえを掴んだ二人。「ものすごい緊張をした」と言う言葉からは想像できないほどの堂々とした歌声を披露し、確実に”伝えるもの”を残したライヴだった。そして今度はその”伝えること”を意識した曲作りへの挑戦、いろいろ工夫をしたようだ。
YOSHIKA「歌い方は変えたつもりはないんですけど。今までは一番言いたいところを英語にすることが多かったんですが、今回はそこを日本語にしたので、はっきり聴こえるようになったのは確かかなって。あと、メッセージを引き立たせるために、メロディもバランスよくメッセージについてくるように心がけましたね」
TSUGUMI「メロディもすごい美しい曲だし、その中でメッセージもあるし、ラップのリズムでそれを壊したりはしたくなかった。だから、この曲をラップでより引き立たせられるように、きれいな感じを出したかったですね。あと、意味を伝えたいなっていうのがあったから、発音とかも気をつけたかも」
YOSHIKA「親に聴かせたら、今までのこういう曲にラップを入れたヴァージョンで一番はまりがいいねって。父親が言うには「初期にクラブで歌っていたころ のSOULHEADに戻ったね」って逆に言われたんですよ。自分達では意外だったけど」
彼女達の地元での活動は私には分からないが、今までの作品よりも、確かに地に足がついたような大地の匂いが漂う大らかさがある。しかし、デビュー当時から変わらないSOULHEADらしさというオリジナリティを毎回曲の中で感じさせるのはなぜだろう……。
TSUGUMI「お姉ちゃんとSOULHEADらしさって何だろうって話してて。で、ひとつ出たのが、ハーモニーかなって。ハードな曲でも、今回みたいにきれいな曲でも、私たちの興味がいろんな方向へいっても必ずコーラス部分があるから、そういったハーモニーなんではないかと自分達では思ってます」
姉妹という彼女達にしか出しえない声のハーモニー、それはSOULHEADの武器だ。その武器にいろいろなスパイスをかけながら、インパクトある楽曲に仕上げる彼女達。いつもチャレンジャーであるSOULHEADの熱心さは、最後に訊いた2004年のそれぞれの抱負からも分かるだろう。
TSUGUMI「毎日を適当に過ごさず、繊細な気持ちを感じられる心を持ちながら、少しずつ成長していきたいです」 YOSHIKA「勉強をまだまだしたいし、それを自分達の音楽に繋げていきたい。まあ、マイペースに一歩ずつ進かな。あと、たくさんライヴをやりたいですね」
取材/文●イトウトモコ
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