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LuckyFes
全方位をファンが取り囲むステージでSEX MACHINEGUNSは別れを告げた
2003.08.26 00:00
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3月24日の悪夢にも似たSEX MACHINEGUNSの解散宣言から5ヶ月。とうとうその時が来てしまった。 6月からのFINAL ATTACKツアーも楽日を迎え、今ここは8月13日の武道館なのである。 九段下駅の構内に、余りチケットを求める切なげな、しかし目は血走っている女の子たちの姿がある。 電車を降りて武道館へ向かう人たちも、今日はいつものコンサートとは違う殺気を漲らせている。 どいつもこいつも根っからのマシンガーたちだ。 背中に「Anchang」「NOISY」と書かれた野球のユニフォーム、 そしてケバケバしく目立ちまくるPANTHERの真っ赤なコスプレ。 イカレたファンが、マシンガンズの最期を見届けようと、 自分だけのシートを目指している。しっかりと拳を握り締めながら…。 武道館の客席はステージ後方のバックヤードの最上段まで観客がびっしり。360度マシンガーだらけ。 そしてその中で女子が9割を占めている。こんな幸せなラストコンサートが他にあろうか。 マシンガンズのメンバーの高笑いが聞こえてきそうだ。さあ、最期の姿をじっくり見せてもらおうか。 …そして、客電が落とされた。
1.食べたいなめたい危険地帯 2.ONIGUNSOW -MC- 3.JAPAN 4.エステティシャン 5.TEKKEN Ⅱ -MC- 6.みどりのおばちゃん -MC- 7.Secret KILLER 8.そこにあなたが… 9.Iron Cross -MC- 10.KISS -MC- 11.逆風 12.日曜日 -MC- 13.BURN ~愛の炎を燃やせ~ 14.桜島 15.Fire
-アンコール2回目 19.SCORPION DEATH ROCK 20.GERMAN POWER
-アンコール3回目 21.American Z 22.全国大会
-アンコール4回目 23.SEX MACHINEGUN
『SM Show Finale』
重低音を強調したリフと初っ端から炸裂するAnchangのハイトーンヴォーカル、そしてヘッドローリング・ギターソロへ。音のバランスと分離がいい。バスドラム、ベース、ギターの低音、そしてソロでの高音がすべてはっきり聴き取れる。こういうところがマシンガンズの良いところなんだ。おちゃらけているようでいて、演奏を含めた“音”というものに一切の妥協を許さない完璧主義者ぶり。デビュー当時は非難しまくった音楽マスコミも、その後は何も言えなくなった。いや、マシンガンズのこういった音楽に対する姿勢が、そういう戯言を押さえつけてしまったともいえるだろう。マシンガンズは戦ってきた。そして自他共に認める絶頂期での解散劇。しかしそれさえもマシンガンズは前向きに考える。あまりの観客の多さに「満員すぎて笑えてくるなぁ」というAnchangのMCは、マシンガンズの解散を後ろ向きではなく前向きに楽しんでいる考えが十分に読み取れる。
そして高速曲「ONIGUNSOW」、重い8ビートの「JAPAN」、「エステティシャン」「TEKKEN 2」「みどりのおばちゃん」と、出し惜しみなく全力の演奏が続く。観客もそれに対決するかのように全力で応える。高速でフックが多く典型的なスラッシュメタル・ナンバー「Iron Cross」、ポップでメンバーのフォーメーションが楽しい「KISS」ではNOISYとPANTHERがベロカミチュー。観客を自分達のペースに完全に巻き込みながら進んでいき、曲後半の激しいスラッシュメタル・パートに耳も目も釘付けになった「日曜日」が終わると、コンサートはすでに終盤を迎える。
ステージとファンが一緒になって楽しんでいる
Anchangの発表によると、メンバーのステージ回数はこの日のコンサートで、Anchang:380回、NOISY:370回、そして一番新しいメンバーのPANTHERですら170回を超える回数だという。彼らがデビューして6年。よくぞこの全力ステージをこなしてきたものである。同時にそれを盛り上げてきたファンのパワーにも拍手を送りたい。往年のロックコンサートのように殺気だったものはなく、ステージとファンが一緒になって楽しんでいる構図がとても心地よいのだ。このステージの熱狂を形作っているのはメンバーだけではなく、ファンに負うところが大きい。メンバーを奮い立たせているのはファンのヘッドバンギングなんだ。そういう温かい関係性が見えてくる。SEX MACHINEGUNSという現象をみんなで楽しもうという思考が、この一体感を生んでいる源になっているのだろう。
コンサート最終盤は「BURN」から。マシンガンズがブレイクした初期の名作だ。これぞロックという内容の希薄な歌詞、そして頭のてっぺんから出ているようなハイトーンシャウト、速過ぎて聴き取れないほどのギターソロと、3拍子揃った“スタンダード”ナンバーだ。そして「桜島」と続き、遂に最後の曲「Fire」へ。これでもかというくらいの速さで観客の頭をバンギングさせ、3mを超える火柱を上げて、10,000人の悲鳴の中、本編は終了した。
しかしこれで終わったと思っている奴は一人もいない。メンバーがまだ引っ込んでいないのに「セックス、マシンガンズ」という大合唱が始まり渦を巻き会場内に飽和する。3分くらいだろうか、本編を終えていくぶんリラックスした表情でメンバーが再登場しアンコール(一回目)が始まった。ステージ横からバックヤードの前をグルリと回るスロープを走る走る。それも演奏を一切乱さずにだ。大ヒット(?)曲の「みかんのうた」では、スロープの左右一番端に別れたAnchangとPANTHERによる5分を超えるギターバトルが圧巻。Anchangの超絶テクぶりは誰もが知っているが、PANTHERも全く負けてはいない。次から次へと技を繰り出し相手を挑発する。そしてステージは2回目のアンコールへ。
Anchangが変形ドクロギター“ドクロよしえ”、そしてPANTHERが真っ赤なフライングV”ワガママガール”を携えて登場。「SCORPION DEATH ROCK」「GERMAN POWER」でボルテージを最高の地点まで上げてコンサートは終了した。客電がつき、帰りを促す場内アナウンスが流れるが、誰も席から離れようとはしない。そして「セックス、マシンガンズ」の大合唱が絶叫に変わった時、3回目のアンコールが始まった。2曲演奏の後、まったく同じ手順で4回目のアンコールへ。これで終わりだ、これでもう見られないんだ。会場全体がそれをわかっていた。この1曲でSEX MACHINEGUNSは終わってしまうんだ。そんなファンの思いに応えるかのように最後の曲は1stアルバムのタイトル曲でもありバンドの名前を冠した「SEX MACHINEGUN」。永遠に続くのではないかと思われたライブも大団円を迎え、メンバーも観客も一体となって武道館を揺るがす。エンディングでAnchangが飛び上がり、最後のコードを弾くために右手を振り下ろした時、SEX MACHINEGUNSの歴史に一つの区切りがついた。時間はすでに10時前。これ以上コンサートを続けることはできない時間なのだ。
世界はマシンガンズを求めている
笑顔のAnchang、NOISY、そして泣きじゃくるサポートメンバーのCrazy Horse Kameen。今までを振り返ることなく未来の約束をファンと結んだAnchang。そう、終わったのはあくまで第三期のSEX MACHINEGUNSということを忘れないでもらいたい。Anchangは3月の解散説明会で言った。「年内のソロデビューを目指してレコーディング予定。そして第四期SEX MACHINEGUNSを立ち上げる」と。 1stアルバム『SEX MACHINEGUN』からわずか6年、そう6年しか経っていないのだ。これだけ短い期間に頂点を究め、ファンの心を鷲づかみにしてしまった彼ら。マシンガーたちよ、今のお別れに泣くのはいい。でも、世界が滅んだわけじゃない。マシンガンズは帰ってくるんだ。誰も後ろ向きのことを考えてはいないんだよ。
熱気を逃れて門を出ると、そこでは若手メタルバンドが興奮の冷めやらないマシンガーに向けてライブを決行しようと待ち構えていた。こいつらが次のマシンガンズ的存在になるのか。でも道は険しいぜ。
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