──アルバムを作り終えて、全体的な感想は?
星村麻衣(以下星村):好き勝手なアルバム(笑)。シングルよりも幅を広げてやれるのがアルバムだし、自分の好きなことだけやってやろうって気持ちが強くて。ピアノ・ロックって言っても、アッパーでガンガンいくだけじゃなくて、ミディアムやバラードも入れたりして。
──アルバム・タイトルに込めた意味は?
星村:スープっていろんな味があって、いろんな具が入ってて、具次第でいろんなスープがある。ピアノも同じで、メロディも奏でられるし、伴奏もできる。打楽器的な使い方もできる。無限大だなって思って。そんな気持ちでつけました。ちなみに、(アルバムのジャケットは)Uが鍋で、上の ‘ は具を意味するんですよ(笑)。
──テレビの主題歌になった「GET HAPPY」ってどんな曲?
星村:初めてのタイアップで、今まで曲を自由に書いてきた分、ちょっと不安だった。でも、思ってたより自由で、『マルサ』の監督さんと話したときにも「星村さんの自分の色を出してもらって、みんなが元気になれる、そんな曲をお願いします」って感じで。もっと口うるさく言われるのかと思ってた。サウンド的にも、あえてピアノを前面に出さずに、ギターをメインにバンド・サウンドに挑戦してみた曲です。
──自分の曲がテレビから流れる気分は?
星村:特にわたしはドラマっ子だったので変な感じ。自分の曲じゃないような感じでしたね。でも、嬉しかったですよ。毎回毎回ビデオにちゃんと取って観てました(笑)
──アルバムの中ではインスト曲、「マイベンション」がインパクトありました。
星村:あれはもう、作った時間も時間で、夜中の3時ぐらいの変なテンションで(笑) ピアノもその場で考えて、プロデューサーがリズムつけたり、ノリで作った曲。それが、意外とカッコイイな…と。
──「STORY」という曲が、アルバム全体を象徴していると思うのですが、この曲のテーマは?
星村:今まで「人の背中を押してあげたい」っていうポジティヴな曲が多くて。この曲は初めて、自分のために書いた。いつも人を励ましているのに、自分を励ますために書いた感じです。高校を出て、いろんなことがあった。大学入って4年間が詰まってる曲です。
──今回のアルバムで成長できた部分は?
星村:一曲一曲がどれもそうなんですけど。進んで自分から意見を言えるようになった。アレンジに関してもそうだし。頭の中で音が鳴ってたりするとそれをプロデューサーに伝えたり。あとは何曲か自分でプロデュースできたのが大きかったな。
──曲作りはどんな風に進めるの?
星村:曲のイメージはピアノの前で沸くことが多いですね。詩は曲ができたときに大まかなイメージがあって、恋愛の曲だとか、友だちの曲だとか。そこからだんだんイメージを膨らませていくんです。だから、結構実体験が多いです。
──現役音大生でありながら、ミュージシャンでいることってどう?
星村:自由かな? 他の人より。大学生なんで、周りでは就職活動ばっかりやってますね。自分は音楽。自分から音楽を取ったら何もないと思ってるんで、本当に音楽に出会えてよかったなって思います。
──星村麻衣にとってピアノとは?
星村:かけがえのない友だちみたいなもの。
──今、完成したアルバムを聴かせたい人は?
星村:世の中のみんな! ピアノ=弾き語り、バラード って思ってる人が多い。それをいい意味で壊したい。それをするのがわたしだと思ってます。
──女性のシンガー・ソングライター、例えばアヴリル・ラヴィーンやミシェル・ブランチが世界的にブームだけど、どう思う?
星村:わたしが魅力を感じているのは、やっぱりシンガー・ソングライター。アヴリル・ラヴィーンもすごく魅力を感じますね。日本でも椎名林檎さんとか大好きで。高校のとき林檎さんを聴いたのをきっかけにシンガー・ソングライターになりたいと思ったので。人と同じことをやらない、詩、メロディ、サウンドにオーラ溢れ出ているのが好き。
──目標とするアーティストは?
星村:ベンフォールズのベン。でもベンと全く同じ音楽をやりたいとは思っていなくて。ライヴも観たことあるんですけど、一人で目が離せないパフォーマンスをやってのける……神業。自分的には神様みたいなものです。そういう点は見習いたいですね。
──どんなライヴがしてみたい?
星村:観客が一緒になって歌ってくれるような一体感あるライヴ。ただ、連続で立ち弾きやっていくのは辛いので(笑)。もうライヴのリハやってるんですけど、立ったり座ったりでやりたいです。
──星村麻衣の将来像とは?
星村:ライヴをやっていきたいですね! 年間何百本とか……それは無理かもしれないけど(笑)。夏のライヴがすごい楽しみです。
取材・文●末吉靖永
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