【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.155「2025年フィンランドのロック界信じられなかったニュース TOP3」

2025年が終わろうとしているが、フィンランドのロック界の1年を振り返ってみていくつか信じられないニュースが飛び込んできたのでTOP3をピックアップしてみた。

まずは4月Blind Channelのヴォーカルの一人ヨエル・ホッカが脱退を発表。

この数年間で限界に達し、不眠症が続きツアーに出ることが不可能になったことを脱退の理由に挙げていた。Blind Channelは2021年ユーロビジョンソングコンテストのフィンランド代表に選ばれてから人気が爆発しそのまま突き進んできていたものの、休息が必要ということで、2025年初めからバンド活動無期限休止中だ。とはいえしばらく休んだら同じメンバーでまた戻ってきてくれると思っていただけにヨエルの脱退は信じられなかった。その後ヘルシンキのロックバーで偶然会った時に、音楽はやめないと言っていたが、11月に新プロジェクトHOKKA結成を発表すると同時にシングル「In The Darkness」をリリースした。メンバーはThe Rasmusの元ギタリスト、パウリ・ランタサルミと若手ドラマーのイミ・アスラク。まだ1曲しかリリースしてないものの、ヨエルの出身地フィンランドのオウルで開催される大晦日の年越しイベント“Vuosi vaihtuu: Oulu2026”に出演が発表になり、すでに来年夏のいくつかのフェスにも出演が発表になっている。アルバムは2026年春頃発売予定とのことだ。
このシングル「In The Darkness」とても気に入ったので、脱退はびっくりでショックだったものの今後の活動に期待したい。
10月末には信じられない悲しいニュースが飛び込んできた。
若手ハードロックバンドTemple Ballsのギタリスト、ニコ・ヴオレラが3年以上にわたる癌との闘病のすえ他界したニュースには涙があふれてきた。2022年夏に脳腫瘍が見つかり、治療の結果翌年5月に自分のSNSで腫瘍は消え去ってはいないものの癌細胞は消滅しコントロールできるまでになったことを報告していた。ところが今年8月に予定されていたバンドのライブがメンバーが病気で休養が必要なためキャンセルになったニュースを見たとき、癌が再発したのではないかという不安が頭をよぎったものの、まさかこんなにあっという間に逝ってしまうとは想像もしていなかった。今年2月H.E.A.T.のヘルシンキ公演のスペシャルゲストでTemple Ballsが出演した時ライブ後に会ったのが最後になるとは、、、
すでに完成していたニコの情熱が注がれたセルフタイトルのニューアルバム発売はニコの願いでもあり2026年2月20日リリースの予定だ。
このニューアルバムから「There Will Be Blood」と「Soul Survivor」のMVが公開になっている。9月24日に公開になった最初のMVのコメント欄を見るとAIビデオを批判するコメントが目についたが、このMV制作の段階でニコは撮影できるコンディションではなかったのかもしれないなと思った。
シングル曲を聴くとTemple Ballsだって感じのキャッチャーでメロディアスハードな曲でニューアルバムが楽しみだ。ニコのかっこいいギターソロも聴けるはず。
2025年も終わりに近づいてきた12月15日、これまたびっくりなニュースが飛び込んできた。
Battle Beastから13年間ボーカルを務めてきたバンドの顔ともいえるノーラ・ロウヒモの脱退が発表された。すぐ翌日新ボーカルとしてマリーナ・ラ・トラーカ (Phantom Elite、Exit Eden)の加入が発表になったので、ボーカル交代はすでに決まっていたんだろうなと思っていたら、脱退後のフィンランドのノーラのインタビューで夏の公演が終わってメンバーに脱退の意思を伝えたことを語っていた。今年の夏のインタビューによると2023年にミュージッシャンでもあるパートナーと一緒にタンペレから少し東の町のはずれに引っ越し、3匹の猫と1匹のワンちゃん、鶏たちに囲まれた生活をしているとのことだ。
世界をツアーしたいという願望は、自分のルーツが欠けているからだと長い間思っていたが自分の居座れる場所がみつかり、人生の優先順位が変わり、ツアー生活は以前ほど魅力的ではなくなったことも語っていた。加えてこれまでに動脈破裂と交通事故で2度命を失いかけたことがあり、自分が人生で何を望んでいるかを優先させたいとも語っていた。
ノーラ脱退が秋にリリースになったニューアルバム『Steelbound』のヨーロッパツアー終了後発表になり、このあと3月に予定されている来日公演の前だったことは日本のファンにとってはかなりショックなことかと思うが、こればっかりはもうどうしようもないのがつらいところ。新ボーカル、マリーナ初お披露目となる公演が日本ということで気を取り直して、マリーナもバンドの顔だったノーラの後ボーカルを務めるのは簡単ではないと思うので、行かれる方は彼女を暖かく迎え入れ楽しんできてほしい。
脱退発表のビデオを見る限りお互い合意しての決断と思え、ノーラはすでにソロ公演のスケジュールも入ってきているので、進む道は分かれたもののバンドとノーラの今後の活動を見守っていきたい。

<BATTLE BEAST JAPAN TOUR 2026>
・2026年3月6日(金)東京 渋谷WWWX
・2026年3月7日(土)大阪 心斎橋SUN HALL
詳細はこちら:https://evp.jp/project/ticket.php?id=177
最後にTOP3外で嬉しかったサプライズを!ボーカルのオッリ・ヘルマンがフィンランドのベテランバンドPopedaのボーカルに加入し、活動休止中のReckless Loveから10月突然ニューシングル「Ziggy」がリリースになった。
この曲フィンランドのゲーム会社Supercellの人気オンラインアクションゲームBrawls Starsの新キャラクターMaster Of ThunderことZIGGYのテーマソングだそうだ。Reckless Loveファンなら「Night on Fire」を思い出す人がいるかもしれないが、12年前にリリースされたその曲がこの新キャラクターZiggyにぴったりくると言われ「Night on Fire」のエネルギーを据え置いた新しい曲をZiggyに作ることになったそうだ。こういうサプライズは大歓迎!
文◎Hiromi Usenius