【コラム】Revoの美学を堪能できる『Revo’s Halloween Party 2024』Blu-ray

2025.11.12 18:00

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Sound Horizon・Linked Horizon を主宰するサウンドクリエイター・Revoが、2024年11月23日(土)・11月24日(日) ぴあアリーナMMにて開催したライブイベント<Revo’s Halloween Party 2024>を映像化したBlu-rayが、10月31日(金)に発売された。

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2013年10月以来11年ぶりとなった<Halloween Party>の2日間では、Sound Horizon・Linked Horizon、さらにRevo名義の楽曲たちが、日替わりで出演した総勢53名ほどの出演者と共に披露され、大盛り上がりとなった。今作は、そんなライブの熱気をパッケージ化した、Sound Horizon 20周年の集大成ともいえる壮大な映像作品だ。惜しくもライブを観ることが叶わなかった人はもちろん、会場の足を運んだローラン(Sound Horizonファンの総称の一つ)にとっても、改めて当日の思い出を反芻しながら楽しめるもの。ダイナミック且つ、ファン心理をくすぐるアプローチによる見事な映像と編集で、随所に新たな発見もできる映像作品となっている。その通常盤の内容について紹介したい。

全席ソールドアウトとなった当日の会場では、『ハロウィンと朝の物語』の登場人物たちによる影アナなどの導入部があったものの、映像では和装姿のkawamikotoの登場シーンから始まっている。Ike Nelsonによる英語のナレーションに、ストリングスを含む大編成のバンドの豪快な演奏が重なる。ステージ上手には“紫陽花の湯 伊坂屋”の女将に扮した深見梨加、若女将の灰野優子、板長のJIMANGといった登場人物たちが集まり、kawamikotoは中央の階段を降りてステージに立つ。

オープニング曲は「物語」だ。同曲から始まる作品『ハロウィンと朝の物語』は、<Revo’s Halloween Party 2024>当日時点ではCDが発売されておらず、「約束の夜」を除く7曲の配信版がリリースされていたが、壮大なサウンド、ダンサーを交えたパフォーマンスは、この日の繰り広げられる世界観に誘うには申し分のない完成度の高さで、初披露とは思えない。間奏でYUKI(G)、西山毅(G)、河合英史(Key)、吉田篤貴 EMO strings、Ken☆Ken(Dr)、長谷川淳(B)のソロから細木あゆ、高杉あかね、東間一貴、佐藤洋介らダンサーたちへと、メンバー紹介される場面がアップで映し出されるのも、音楽ファンにはうれしいところ。

序盤の映像は、『ハロウィンと朝の物語』収録曲が順番に披露されていくステージの模様を捉えている。kawamikotoを中心にしながらも、個性豊かな登場人物たちの歌とセリフ、ダンサーとの絡みを交えたパフォーマンス、卓越したバンドの演奏でテンポよく進んでいく。さまざまなアングルからその様子を捉える映像は、これ以上なく会場の盛り上がりを臨場感豊かに伝えており、思わず立ち上がってしまいそうなほど。時折映し出される客席のシンクロライトリストバンドも、物語を雄弁に語る登場人物の一員のように、場面ごとに色合いを変えている。その光景が特に際立つ「Halloween ジャパネスク ’24」では、皐月(と書いてメイ)役を演じる山崎杏をはじめ、松岡夏輝、本屋碧美によるキッズアンバサダーの3人がセンターを陣取り、賑やかな歌と踊りで繰り広げられる。開演前に行われた振付レクチャーにより、オーディエンスも歌い踊っており、会場がひとつになる大盛り上がりとなっている。また、映像ならではの装飾演出も施されており、当日会場にいた人も新鮮に楽しめるはずだ。

『ハロウィンと朝の物語』セクションは「約束の夜」で締めくくられる(同曲は未発表曲だったが、2日目のライブ終演後にタイトルが明かされた)。とくに曲の後半は、当日の会場でもひと際印象的だった。その様子を息を飲んで見つめる会場の雰囲気も、余すところなく収録されている。詳しくは、Blu-rayを観て確かめていただきたい。

映像はスクウェア・エニックスがおくる王道ファンタジーRPG「BRAVELY DEFAULT」 との大型タイアップ作品となるLinked Horizonのアルバム『ルクセンダルク大紀行』収録曲「愛の放浪者 [Vocalized Version]」を鈴木結女が歌うところから、前半とはガラリとムードが変化する。ここからは、初日と2日目の日替わり出演者によるパフォーマンスの模様を、織り交ぜられて収録。黒沢ともよが歌うSound Horizon 「聖なる詩人の島-Λεσβοs-」、JIMANGがソウルフルに歌いダンサブルに盛り上げる「黄昏の賢者」等、今作ならではの曲順でライブを楽しむことができる。特に、kawamikotoがすずかけ児童合唱団のコーラスと共に歌う「暁の鎮魂歌」、山崎が歌う「私が本当に欲しかったモノ」、石川由依が歌う「13の冬」と、TVアニメ『進撃の巨人』の楽曲が続く流れは、進撃ファンにはたまらない構成だろう。

圧巻の演出とド迫力のバンドアンサンブルで魅せる「忘れな月夜」、一転してアコースティックギターや歌い手であるCeuiが演奏するハーモニカが印象的な「美しきもの」、ロシア民謡風のメロディーに合わせて躍動する「人生は入れ子人形 -Матрёшка-」、「君私の心に一番近い指」でライブはクライマックスヘ。ラストは初日に披露された「朝までハロウィン」が、より一層ハロウィンパーティーらしさを増した楽しい装飾満載の映像で収録されているのも見どころだ(2日間共通のエンディング曲である「栄光の移動王国-The Glory Kingdom-」はエンドクレジットに収録)。

ライブのコンセプト・物語と、ハロウィンの楽しさが、クリアで迫力のある音、美麗な映像のクオリティで堪能できる今作。膨大な楽曲、出演者、大掛かりなセット、照明などの演出など、2日間それぞれの壮大な一大絵巻物のようなライブを、単にそのままパッケージするだけでなく、さらに分解して再構築されているところが素晴らしい。曲順や意味合いなど、改めて考えながら深く味わえる作品になっているところは、唯一無二で且つ、誠実に作品を届け続けるクリエイター・Revoならではの美学・矜持と言えるだろう。

『Revo’s Halloween Party 2024』Blu-ray通常盤は、現在発売中だ。<Revo’s Halloween Party 2024>でライブ初披露となったSound Horizonの最新作『ハロウィンと朝の物語』の他、日替わり出演のキャストも加わってオムニバス形式で披露されたSound Horizon・Linked Horizon、そしてRevo名義の楽曲たちが多数収録されているので、ぜひ入手してもらいたい。

Blu-ray『Revo’s Halloween Party 2024』〈通常盤〉
2025年10月31日(金)発売

▼購入
https://lnk.to/RevosHalloween_normal

▼内容や収録曲、ショップ別オリジナル特典(※なくなり次第終了)など、詳細はこちら
https://shatxxanniv.ponycanyon.co.jp/release/index.html

Beyond Story Maxi「ハロウィンと朝の物語」
▼各種音楽配信サイトでサブスク&DLで配信中
https://lnk.to/SH_sg06_H

▼Sound×Linked Horizon Web ShopにてCDも発売中
https://sound-linked-horizon.artist-store.jp/release/538/

◆Revo(Sound Horizon/Linked Horizon)オフィシャルサイト