【ライブレポート】ギタリストSAKI、初のソロツアー<Autumn Rain>東京公演に全15曲のストーリーと決意「本当に感謝しています」

2025.09.17 12:00

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Mary’s Blood、NEMOPHILAなどの活動を通して、ギタリスト/コンポーザーとして評価を高め、2024年4月からソロアーティスト活動を本格的にスタートさせたSAKIが、9月6日から9月15日にかけて、ソロ初の東名阪ツアー<SAKI 1st Tour「Autumn Rain」>を開催した。

ソロ初に加えてライブ会場限定販売の新作「Redemption / Tempest」を携えたツアーということもあり、<Autumn Rain>は全公演がソールドアウトするなど、盛況のうちに終了した。その初日を飾った9月6日の東京・SHIBUYA REX公演の模様をお伝えしたい。

SHIBUYA REXは立錐の余地がないという言葉を体現したようなガチの超満員状態で、場内は開演前から熱気に包まれていた。開演時刻を迎えて暗転した場内にオープニングSEが流れ、サポート陣に続いてSAKIがステージに登場。客席からウォーッ!という大歓声と熱い拍手が湧き起こり、ライブの幕を開けはドラマチックな「GERMINANS」、続いてパワフル&エモーショナルな「THE EMPRESS」に移る流れから始まった。

華やかなステージングを織り成しつつテイスティーなメロディーパートや高度なテクニックを織り交ぜたギターソロを奏でるSAKIの存在感は圧巻で目と耳を惹きつけられる。オーディエンスもインストゥルメンタルライブらしからぬ熱いリアクションを見せ、一気に会場がSAKIの世界へ染まった。2曲聴かせた後、SAKIのMCへ。

「皆さん、今日は1stツアー初日、SHIBUYA REXまでお越しくださいまして、どうもありがとうございます。REXいいですね。久しぶりにライブハウス感があるところでやらせてもらっていますけれども、どうですか皆さん、楽しめそうです? みんなで平和に、楽しく、ケガなく終われるように、最後までよろしくお願いします」──SAKI

等身大の言葉で話すSAKIのMCに幾度となく温かな拍手や笑いが起こり、全員がライブを待ち望んでいたことが伝わる。また、ギターを弾いている時の凛とした姿とは大きく異なり、柔らかい素顔に触れられることもSAKIのライブの魅力のひとつだ。

その後は、新曲「Tempest」と「Redemption」が続けて届けられた。ヘヴィネスとフックを効かせたメロディを融合させた「Tempest」、静と動の対比を活かしたアレンジや心に響くメロディーにストーリー性を感じさせる構成が光る「Redemption」、両曲ともに上質で、SAKIのコンポーザーとしてのスキルの高さがあらためて感じられる。同時に、まだ馴染みの薄い新曲をツアー初日から完璧といえる形で聴かせるあたりはさすがだ。

そして、SAKIのギターとオーディエンスの声によるコール&レスポンスを挿入したアッパーな「MOD」で場内の一体感をさらに高めた後、ライブはカバーセクションへ。

「なにをカバーしようかなと思った時にオジー(・オズボーン)が亡くなったのが、やっぱりショックで。世界にリアルタイムでお葬式が配信されるスターは、もうなかなかいないんじゃないかな、と思いながらYouTubeで葬儀を見ていました。そんなオジーの曲をやりたいんですけど、リハの時に「頭のリフがちょっと聖飢魔IIの「蠟人形の館」に似てるよね」みたいな話をしていたの。そうしたら、私が「蠟人形の館」を弾いてしまう呪いにかかって(笑)。果たして今日も呪いにかかるのか、無事に「CRAZY TRAIN」が始まるのか(笑)。じゃあ、いきまーす!」──SAKI

という言葉と共に「CRAZY TRAIN」を披露。続けて、SAKIがtetsuya率いるL’Arc-en-CielのコピーバンドLike-an-Angelにギタリストとして参加していることにちなんでL’Arc-en-Cielの「Driver’s High」、そして敬愛する聖飢魔IIの「FIRE AFTER FIRE」が演奏された。こういった楽曲でSAKIが弾くメロディーパートを聴くと、彼女がギターを歌わせることに長けていることがよく分かる。原曲を丁寧にコピーしたうえで自身の個性を織り込むギターソロも魅力的だ。笑顔を浮かべてギターを奏でる姿も含め、SAKIのカバーには原曲に対する深いリスペクトが感じられる。今後ソロアーティストとしてのオリジナル曲が増えていくだろうが、個人的にはカバーセクションは続けてほしいと思った。

「今年1月のライブでも言いましたけど、去年は自分のメンタルのダウン加減がすごくてですね。“もういいか、音楽”とか“別にもうそんなにやらなくてもいいか”みたいになった時期があって。だけど、Like-an-Angelがあるし、誘ってもらったライブもあって。それで、ISAO(G)さんに誘っていただいたライブにちぃ(B)ちゃんが来ていて、そのご縁で今日出演してもらいました(※名古屋と大阪公演は革命メロイックのユニカインパクトが参加)。それに引き続き、はな(G / Gacharic Spin)ちゃん、(川口)千里(Dr)ちゃんという素晴らしい皆さんに一緒にやっていただいていると、月並みですけど、やっぱりやめなくてよかったなと思ったりします。今回のツアーに向けてもなかなか前向きになれない時期があったけど、この3人と音を出していると本当に楽しくて。それで、またみんなに無理難題を押しつけて(笑)。みんなのソロ回しが見たいなということで選曲した曲です」──SAKI

というMCに続いて、ジョー・サトリアーニの「Satch Boogie」が演奏された。それぞれが披露したテクニカルなソロはもちろん、今回のライブはサポート陣のハイレベルな演奏も魅力的だった。繊細なプレイからラウドなアプローチまでこなすフレキシブルかつハイレベルなプレイの応酬はもとより、全員が個性を押し出すことで、逆にバンド感が生まれていることもポイントだ。この辺りはバンド出身で、その魅力を熟知しているSAKIならではの強み。ソロアーティスト+サポートメンバーという印象はなく、全員が一丸となってグループとして機能して様々な情景を描いていく。

「ラストスパートいけますか!? いけますか!?」というSAKIの煽りからライブは後半に入り、「Song For You」「Bite the Bullet」「Marionette」といったMary’s Bloodの楽曲が畳みかけるように届けられた。SAKIのルーツともいえるメタリックなナンバーは説得力に満ちて、振り幅の大きなピッキングで怒涛の速弾きを展開する力強い姿もカッコいい。幅広い楽曲でオーディエンスの様々な感情を喚起させた後、パワフルに疾走して熱くいく構成が見事に決まり、SHIBUYA REX場内は熱狂的な盛り上がりを描いて本編の幕を閉じた。

アンコールは「Wings」、MCを挟んで「BRIGHTNESS」、再び「GERMINANS」がラスト。今回も充実したライブで、オーディエンスを魅了してみせた。

SAKIのライブはエンターテイメント性が高く、インストゥルメンタルにあまり馴染みのないリスナーをも惹きつける。ソロアーティストとしてのスタイルを確立したことを感じたことに加え、SAKIの華やかな存在感は魅力的。それを支えるオーディエンスの熱さは凄まじいものがあった。最後に、アンコールでSAKIが語った感謝と決意の言葉を記したい。

「こんなにたくさんの方に来ていただけてよかった。いいツアー初日になりました。ありがとうございます。さっきもちらっと言いましたけど、ソロだから。バンドだと強制的にやらないといけないところがありますけど、ソロは自分次第というか、自分がちゃんとしていないと、なにも進まない。当たり前ですけどね(笑)。曲を作らなきゃとか、これを考えなきゃとか、やらなきゃいけないことがいっぱいあるんだけど、本当にやりたいことで。でも、どうしてもできない、みたいな時期があって。それでも、ツアーやるぞとなったら、もう逃げられないので(笑)。今回もメンバーはじめ、スタッフの皆さんにすごく助けていただいて、ようやくソロ名義で初めてツアーをやることができました。それに、東京、名古屋、ファイナルの大阪も完売したということで、本当にありがたいなと思っています。別におべっかを言うわけでも、媚びを売るわけでもなくて、本当に感謝しています。ありがとうございました」──SAKI

取材・文◎村上孝之

 

■<SAKI 1st Tour「Autumn Rain」>
2025.9.6(Sat) SHIBUYA REX セットリスト

01 GERMINANS
02 THE EMPRESS
03 Tempest
04 Redemption
05 MDD
06 CRAZY TRAIN
07 Driverʼs High
08 FIRE AFTER FIRE
09 Satch Boogie
10 Song For You
11 Bite the Bullet
12 Marionette
encore
en1 Wings
en2 BRIGHTNESS
en3 GERMINANS

 

■<SAKI TOUR 2026 PLUVIA>
2月13日(金) 東京・Veats Shibuya
open18:00 / start18:30
2月21日(土) 福岡・LIVEHOUSE OP’s
open15:00 / start15:30
2月23日(月/祝) 愛知・HeartLand
open15:00 / start15:30
2月28日(土) 大阪・大阪RUIDO
open15:00 / start15:30
3月07日(土) 宮城・仙台ROCKATERIA
open15:00 / start15:30
3月19日(木) 東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
open18:00 / start18:30
▼チケット
・特典付きVIPチケット ¥15,000(税込/ドリンク代別)
 ※特典内容:先行入場・ライブ後2ショット撮影・お見送り付き
・通常チケット ¥7,000(税込/ドリンク代別)
※スタンディング
※SHIBUYA PLEASURE PLEASURE公演のみ全席指定席
▼サポートミュージシャン
G:はな(Gacharic Spin)
B:ユニカインパクト(革命メロイック)
Dr:shuji(ex.Janne Da Arc) ※東京・大阪・宮城公演
Dr:前田遊野 ※福岡・愛知公演
一般発売日:12月06日(土)10:00
イープラス:https://eplus.jp/saki-chucky/

 

■<SAKI Year End Bash>
12月08日(月) 東京・Rock Bar Bauhaus Roppongi
open18:00 / start18:30
▼チケット ※オールスタンディング
・特典付きVIPチケット ¥15,000(税込/ドリンク代別)
 ※特典内容:先行入場・ライブ後2ショット撮影・お見送り付き
・通常チケット ¥7,000(税込/ドリンク代別)
▼サポートミュージシャン
G:はな(Gacharic Spin)
B:ユニカインパクト(革命メロイック)
Dr:川口千里
一般発売日:10月25日(土)10:00
イープラス:https://eplus.jp/chakixx/
(問)Rock Bar Bauhaus Roppongi 03-5544-8253

■<SAKI ファンクラブ限定公演「ちゃっきーのプレイルーム Xmas Party>
12月22日(月) 東京・Rock Bar Bauhaus Roppongi
open18:00 / start18:30
▼チケット ※椅子(全自由席)
・前売り ¥20,000(税込・食べ放題・飲み放題付き)
 ※特典内容:公演後2ショット撮影・お見送り付き
(問)Rock Bar Bauhaus Roppongi 03-5544-8253

■SAKI OFFICIAL FAN CLUB「ちゃっきーのプレイルーム」
月額750円
・グループチャットへの参加
・限定ショットなどのギャラリー
・モーニングコール
・限定グッズが当たるスクラッチくじ
・ライブ配信視聴
・世界に1つだけのデジタル会員証
入会受付:https://chakixxfc.com/subscription

 

■書籍『ギタリスト:SAKIによる自由気ままなメタル・トーク! ちゃっきーの地獄より愛をこめて』
2025年10月6日発売
定価 2,800円(税込)
B5変型判/160頁
ISBN:978-4-401-65628-8
【目次】
▼2016年(第1〜12回)
はじめまして!&〝オズフェス〟に出ちゃいました!!/今さらですが…自己紹介です!/一目惚れしたマーシャル・アンプ!/ワンマン・ツアー、終わりました!/〝Marshall GALA〟でドッキドキ&珍事件の巻!/二代目アニメタルの新作がリリース!の巻/ギターとの付き合い方の巻/女子力をこっそりアピールしてみるの巻/レコーディングが始まります!の巻/3rdアルバム、もうすぐ完成します!の巻/久々にYG DVDに登場!の巻/ツアーが始まりました!の巻
▼2017年(第13〜24回)
〝Girls Play LOUD!〟終わりました!の巻/ツアーにまつわる諸々のお話…の巻/乃木團ちゃん達と初対面!の巻/新しいギター!の巻/春めいていますね!の巻/ちょっとネガティヴになることについて…の巻/前を向いていこう!の巻/最近の趣味の話の巻/初!ギター女子のイベント~!!の巻/夏の終わり…の巻/秋がやってくる~!の巻/身体の異変に気を付けよう!の巻
▼2018年(第25〜36回)
3年目に突入いたします~!の巻/新年ですなあ…の巻/まだまだREC中!の巻/レコーディングが終わりました~!の巻/もうすぐ新作がリリース!の巻/新しいギターがキター!の巻/プロレスを語りたいーーー!の巻/梅雨にも負けず…の巻/熱中症~~…の巻/Bon Voyage!の巻/目が回っている~~~~!!の巻/ベースといえば…の巻
▼2019年(第37〜48回)
ドタバタ~!の巻/わーーー!!!の巻/もうすでに激動!の巻/WORLD GUITAR GIRLS COLLECTION完結!(一旦)の巻/フランスからの使者!!の巻/表現するということを考えるの巻/MB最新作『CONFFESSiON』発売!!…の巻/フランス(の空港)より愛をこめて…の巻/真夏は大忙し!!の巻/今年もなんとか生き残れた…の巻/忙殺とはまさにコレ。の巻/多忙多忙多忙の巻
▼2020年(第49〜60回)
11月もあっという間…の巻/メリークルシンデイマスの巻(昨年の話)/芽吹きにむけて…の巻/IRONBUNNYライヴに参加!の巻/色々と…の巻/やれることをこつこつとの巻/色々とワクワクの巻/レコーディングに次ぐレコーディングの巻/リリース・ラッシュの巻/ひと休みしたい!の巻/忙しいけど充実しているのよの巻/もう秋ですか!の巻
▼2021年(第61〜72回)
最近のハマりごとの巻/オンライン四方山話の巻/「BRIGHTNESS」の話の巻/リリース ・ラッシュ〜!の巻/苦しみの日々の巻/作曲作曲作曲の巻/制作期間真っ只中の巻/落ちろカトンボ!の巻/濃厚接触者〜〜〜…の巻/メアリーズ・ブラッドのMary’s Bloodの巻/お腹痛い〜!の巻/売り切れたー!の巻
▼2022年(第73〜84回)
今年も終わりますねぇ…の巻/メアリーズ・ブラッドの活動休止の巻/〝終活〟の巻/春が来た!の巻/酔っ払いの車窓からの巻/頭が割れてしまった!の巻/豊洲を今から振り返るの巻/虎穴に入りました!の巻/思い込んだらなんたらかんたらの巻/セッションをしてきました!の巻/人生色々とはよく言ったものの巻/レコーディング三昧の巻
▼2023年(第85〜94回)
遂に!!!!の巻/産まれた!の巻/初めてのワンマン・ツアーの巻/ワンマン・ツアー終了!~アメリカ・ ツアーへ向けて… の巻/さすがアメリカ…の巻/雨女は頑張っているの巻/対バン・ツアーとデーモン閣下…巻/東京ガーデンシアターと神戸こくさいホール!の巻/あれこれが進んでいます。の巻/セールが早く始まらないかなあの巻
▼2024年(第95〜102回)
新しい機材でワクワクの巻/日本で初めてフェスに呼んでいただきました!の巻/久々に!の巻/春めいての巻/大掃除に次ぐ大掃除の巻/怒涛の日々~の巻/ソロ・ライヴが終わりました!の巻/今までありがとうございました!の巻

■イベント<ちゃっきーの 地獄より愛をこめて>発売記念サイン会
日時:10月4日(土)15:00~
場所:タワーレコード渋谷店6F
受付期間:9月20日(土)11:00~9月30日(火)23:59
イベントURL:https://teket.jp/186/57112

 

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