家族の絆が産んだ世界的ヒット

ポスト
Welcome to Adobe GoLive 4

家族の絆が産んだ世界的ヒット

アイルランド出身の4人組Corrs(Jim、Sharon、Caroline、AndreaのCorr兄弟姉妹)は、'95年のデビュー以来、世界中で1500万枚以上のアルバムを売上げている。ファーストアルバムの『Forgiven Not Forgotten』は、アイルランドのグループの中で最も成功した母国でのデビュー盤であり、アメリカでもゴールドに認定された。セカンドアルバムの『Talk On Corners』は、現在アイルランドで20プラチナムの状態にある。アメリカで発売されたばかりの最新作『In Blue』は、すでにアイルランド、イギリス、オーストラリア、ドイツ、オーストリア、スペイン、ノルウェイ、スイス、スウェーデン、シンガポールを含む17カ国以上でNo.1ヒットになっている。

Sharonによればメンバーは『In Blue』の成功に自信を持っていたものの、これほど多くの海外チャートでここまで急速にトップへ昇りつめるとは予想していなかったという。「驚異的なスピードだったわ」と彼女は認める。

つまりね、前の2枚はとってもよく売れたし、充分な基盤は出来ていたと思うけど、今度のは多くの国でひと月以内みたいな瞬間的な速さでNo.1になったのよ。だけど、ある意味じゃ当然の結果だと思うの。カッコつけて言うんじゃなくて、今回のアルバムの出来には本当に満足していたからよ

自分たちのアルバムは全部誇りに思っているけど、今度のは特別なのよ」とAndreaが付け加えた。「これはとってもエモーショナルな作品で、作るのにもかなり苦労したから

制作の困難の一因ともなったその感情は、『In Blue』における最も感動的なトラックで、兄弟たちにとって最も重要な作品でもある「No More Cry」に明白に現われている。

この曲は母親が亡くなった直後に作ったものなの」とAndreaが説明する。

実際には私とCarolineが母の誕生日に書いたんだけど、すぐに曲が浮かんだの。音楽は悲しみを忘れさせてくれる癒しの特効薬だから、同じような経験をした人たちの助けにもなると思ってる。歌詞の面では喪失の痛みに立ち向かうというようなことを歌っているのよ。それにこれは父を励ますために書かれた曲でもある。そして家族みんながいつの日か再会できることや、母の死には意味があるということを信じるために作った歌とも言えるのよ

彼らの母親の死はCorrsの精神を相当に落ち込ませたが、『In Blue』を制作するプロセスは気持ちを再び昂揚させるのに役立ったようだ。「曲作りとレコーディングはダブリンでやったわ」とAndrea。「故郷で過ごして普段の生活を続けることが、自分たちにはとっても良かったの。メンバーそれぞれの曲作りはとてもナチュラルに進んだし、曲もとっても速く仕上がったわ

アルバムからのファーストシングル「Breathless」は、有名なコラボレーターをフィーチャーしている。「これは(プロデューサーのRobert John)'Mutt' Langeと一緒に作ったの。彼はShania Twainの旦那さんで彼女の作品も手掛けているけど、Def LeppardAC/DCとの仕事で知られているから、私たちとはちょっと離れた存在よね」とSharon。

私たちはいつもバンドの内部でだけ共作するんだけど、Muttと会ったときに彼は私たちの音楽に対する大きな称賛の気持ちを表してくれたの。それはとっても率直な感情で、一緒に曲作りにトライしてもいいと思わせるほどのものだったわ。それで共作を始めたんだけど、“Breathless”は3曲のうちで最初に完成したの」(残りの2曲は「Irresistible」と「All The Love In The World」)

LangeはCorrsとのレコーディングのためにスイスとダブリンの両方を訪ねることになった。彼の勤労倫理はバンドに強い印象を与えたのである。「彼はずっとスタジオにこもりきりで、食事をしていないことも忘れてしまうのよ」とAndrea。

睡眠もそれほど必要としないから、こっちが“おやすみMutt、悪いけど休ませてもらうわね”って言わなくちゃいけない。彼はそれでも平気なの。いかに彼が音楽を愛しているか、何よりの証でしょう? つまり、あれほどの成功を収めながら、少しでも手を抜いたり、中途半端な作業をしたりすることはないの。まったく素晴らしい人物だわ

Corrsはもう1人のプロデューサーMitchell Froom(Crowded HousePaul McCartneySheryl Crow)とも共同作業を行なっているが、彼は以前にバンドのアルバム『1999 MTV Unplugged』でも一緒に働いている。SharonはFroomとLangeについて「彼ら2人はまったく違うわ」と評している。

Froomはとっても組織的なやり方で仕事を進めるの。曲を演奏してみたらすぐに録音を始めるって感じね。彼はとっても実直な人よ。ある曲では'Mutt' Langeをプロデューサーに迎えて、別の曲ではFroomに頼むというのは素晴らしい組み合わせだと思うわ

アルバムごとに最低1曲は美しいアイリッシュ風のインストルメンタルを収録するというのがCorrsの通例だが、この『In Blue』も例外ではなく「RebelHeart」というナンバーが収められている。

インストルメンタルは私たちのバンドの重要な部分なので、アルバムにはいつもインストルメンタルを収録してきたわ。だって私たちはアイリッシュ・ミュージックを愛しているし、それは私たちのアイデンティティーの一部だからよ」とSharon。彼女はバンドが『Talk On Corners』をレコーディングしている最中に、カリフォルニア州マリブでピアノを使って「Rebel Heart」を書いた。だが、その曲は長い間ずっと放置され、Sharonによれば「ちゃんと録音されることはなかった」という。

その後BBCがCorrsにアプローチして、アイルランドにおける1916年のイースター蜂起を扱った秋の大作ドラマに使う音楽を依頼してきたのである。「私たちはこの曲を完成させてレコーディングしたの」とSharonは回想する。「それでBBCが気に入ってくれて、私たちもこの曲が大好きになってしまったのよ

Corrsのメンバーは良いときも悪いときも一貫して素晴らしい音楽を作り続けてきたが、この偉業は彼らのファミリー力学に負うところも少なくない。 「あらゆるバンドの成功には、たとえメンバーが異なるファミリーの出身だったとしても、一体になったときの特別なマジックが働いているものなのよ」とAndrea。

だけど私たちの特別なマジックはメンバーが家族だという点にあるの。あまりにも緊密な関係を続けていることでかなり苦しい時期もあったけど、自分たちが個人としてやりたいことを正しくやっているんだという点を見失うことはなかった。私たちが一緒に活動を続けている理由はそこにあるんだと思う。私たちは家族として非常に強い結束を保っているけれど、誰かが離れたいとかハッピーじゃないとか思ったとしても、もちろんそれはかまわない。だって、家族としてはずっと愛しているわけだから。だから私たちを1つにしてくれるのも家族の絆だし、もう上手くいかないと思ったときに自由にしてくれるのも、家族ならではの信頼感なのよ。争いごとなんて起こりようもないわ

それでは『In Blue』がこんなにも多くの国で非常に多くの人々に、これほどまでに圧倒的に受け入れられた理由をCorrs自身はどのように説明するのだろうか? 

とってもいい歌がいっぱい入っているからよ」とAndrea。「それにそれぞれの曲が、リスナー自身や彼らの生活にとって身近に感じられるからだと思う。だから聞き手の慰めになるの。どんなに悲しい思いをしていても、このアルバムは人間の感情のあらゆる側面をロマンティックなものに変えてくれる。私たちが常に音楽を愛しているのも、このためだと考えているの。音楽は痛みでも何でもロマンティックなものにしてくれるから。音楽はとても正直なものだから、聞き手は自分に引きつけて捉えることができるわ。私はそうであることを願っているの

この記事をポスト

この記事の関連情報