【インタビュー】SHARE LOCK HOMES、歌という武器を手に入れメジャーデビュー

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SHARE LOCK HOMES(シェアロックホームズ、通称=SLH)、彼らはアニソンシンガーのバックダンスを務めるダンスグループから始まったいわばダンスの実力派。ニコニコ動画の“踊ってみた”投稿で火がつき、いっきにスターダムへと駆け上がった。現在ではオリジナル楽曲のミュージックビデオに“踊ってみた”動画など様々な企画を展開、自身のYouTubeチャンネルで総再生回数5000万回オーバーを叩きだす彼らが、12月23日にシングル「パリ↓↑パニ」でメジャーデビューを果たす。

◆撮り下ろし画像

踊り手から“ダンス&ボーカルグループ”という武器を手に入れ、TSUTAYA O-EASTワンマンもソールドさせ、2020年には自身のレーベルから発売したフルアルバム『FRONTIER』でオリコンウィークリーチャート2位を獲得した実績をもつ彼らが、なぜこのタイミングでメジャーへと進出したのか。いい意味で、クセもアクも強いSLHの4人に話を聞いた。

  ◆  ◆  ◆

■俺たちがやりたいのはチームで食っていくこと

──メジャーデビューを直前に控えて、いまの心境を聞かせて下さい。

YUMA:あんまり実感はないです。もっと上を目指すための階段のひとつだと思っているので、これから突き進んでいこうと思ってます。

RYO:これからできる幅がどんどん増えていくのかなって感じてるので、ワクワクが止まりません。

SHIRAHAN:非常に嬉しい気持ちと、ここで天狗になったりとか変に浮かれたりしてたら一番サブいと思うで、しっかり地に足をつけて頑張りたいなという気持ちです。

KARASU:ここまでみんなに支えられてきた分を返さなな、というのを心地よいプレッシャーとして感じながら頑張っていきたいなと。さっきSHIRAHANもいってたんですが、天狗にならず、地に足をつけて、今後もみんなにいいパフォーマンスを魅せていきます。


──ダンス&ヴォーカルグループというスタイルになって以降、今年は今回のメジャーデビューを含め、SLHにとっては激動の1年で。アルバム『FRONTIER』を自ら立ち上げたレーベル「What’s on Records」からリリースし、同時に「SHARE LOCK HOUSE」というファンクラブも設立して。すべてこれらは“2021、日本武道館プロジェクト”として打ち出したものでしたよね? 今回のメジャーデビューも、このプロジェクトの一環という考え方ですか?

SHIRAHAN:そうです。上を目指さないんなら、あのまま自分たちでやっていってたと思うんですよ。だけど、それだけでは到底たどり着けない場所を目標設定にしてるんで。

──日本武道館のことですか?

SHIRAHAN:ええ。僕らの一番最初の目標設定はTSUTAYA O-EASTだったんですよ。そこは20代の頃、アニソンシンガーの遠藤正明さんのバックダンスをつとめていたときに立たせてもらった場所で。遠藤さんが立ってたときの背中がカッコよくて“いつか俺たちだけの力でここに立とう”とそのとき密かに誓ってたんです。それを2019年の夏に実現しまして。

RYO:しかも、ど平日に!

SHIRAHAN:自分たちでハコを押さえるとなると、力がないんでどうしても平日しか抑えられないんですよ。でも、そこで与えられた環境のなかでマックスのパフォーマンスをしていくぞという変な反骨精神もあって。そうしたら、見事僕たちが見たかった景色を見ることができて。それを実現した後、次はどこを目標にするのか。日本武道館の景色を見たいなと思ったんですね。その頃にちょうどいまの事務所の方と知り合って。俺たちだけの力では無理だと分かってても、いやらしい話、僕らを食い物にする人たちもいっぱいいる訳ですよ。

YUMA:いいように使ってポイ捨て。でも、しょうがないよね。それは俺たちに華がなかった、プロのレベルに到達していなかったんだって思うしかないから。だからこそ、大人の力を借りずに自分たちの力でどこまでやれるかというのをテーマに活動してきた訳ですけど。その考えを、いまの社長が壊してくれました。まだ疑ってますけど(笑)。

社長:爆笑。


──それぐらい大人は疑ってかかれ、というのが教訓として残った訳ですね。

SHIRAHA:ええ。弱肉強食の世界ですから。だから、そのなかでいま一緒に頑張ってくれてる人たちは信用できる人たちで、俺たちと同じマインドで一緒にやっていこうと思ってくれてるんですよ。日本武道館ってなると4人だけでは会場さえとれないですからね。

YUMA:いままではクラブシーンで培ってきた信用。その繋がりを使ってなんとかやってきたんですけど。O-EASTまでですね、セルフでやれるのは。

SHIRAHAN:逆に、そこまでぐらいはセルフでやれないとね。人に指示されてたどおりにたどり着いても、やってる自分たちが楽しくない。楽しくやっていくためには自分たちの発言力があるチームでないといけないんで。そのためには「そうだよね」と納得させる実績が大事で。

KARASU:それは数字であったり実力であったり。それを持ってからじゃないと、大人とは対等に話ができないよねということで。

SHIRAHAN:O-EASTまでの実績を作ったあとにいまの事務所であったり、レコード会社と出会えたんで。タイミングがすごいよかったんですよ。なので、いまはめちゃくちゃいい波に乗ってる感じです。

──チームとしてはもう14年以上になりますよね。

RYO:やってきてますね。

YUMA:芸歴でいうと20年ぐらいです。


──そのなかで、チームをダンスグループからダンス&ヴォーカルグループにシステムチェンジした理由は?

KARASU:ダンスだけでは食えないからです。

YUMA:ダンスって2番手なんですよ。誰かの後ろでしか輝けない。

KARASU:あと、曲ありきの世界なんです。曲がないとダンスはできないんで。

YUMA:どうしても二次創作になってしまうんです。1番にはなれないというのが続けていくうちに分かっちゃったんで、そこで「何が必要?」「歌だね」ってなったんです。

RYO:結構昔、それこそ“踊ってみた”のニコニコ動画の投稿を始める前から、歌をいつか入れていこうという話はしてたんですよ。

YUMA:それでニコニコをやり始めて、歌も真面目にやっていこうってなったのが7年ぐらい前かな。そのとき自主制作でオリジナル曲のCDを作ったんですけど。初レコーディングのとき、歌を中心にやってる後輩にレコーディングしてもらったんですね。その後輩に恐ろしいぐらいに歌についてダメだしされたのは、いまでも忘れられないです(笑)。

KARASU:ダンスしかそれまでやってきてなかったので、歌はさすがにダメで。

YUMA:なんでもいってくれとはいったけど、そこまでいう? といういわれようだったよね。

KARASU:だから、逆にダンス教えるときはむちゃくちゃいってやりましたけどね(笑)!

SHIRAHAN:ダンスだけで食っていくことも可能っちゃ可能なんですよ。だけど、俺たちがやりたいのは、チームで食っていくことなんで。振り付けの仕事がきましたっていったら、稼働するのは1人で。それだとチームである意味がなくなるんですよ。メンバー全員が飯食っていける形にしたかったんです。

YUMA:なおかつ、人前に全員が立ちたい。

SHIRAHAN:そのひとつの形を俺たちが作っていけたらいいですよね。

──モデルケースですね、いわば。

KARASU:ええ。カッコよくいうと、シーンを引っ張っていきたい。僕らが歌という武器を新しく持つことで、“ダンサー”っていう肩書きではこれ以上行けないと思われていたところに、新たなシーンを開拓していけたらなというのはありますね。

──だから『FRONTIER』だったんですね。

全員:おぉー!確かに!

──“踊ってみた”でいわば頂点を極めた踊り手さんたちが、次に歌という武器を自ら手にしたらそこからどんなシーンが開けるのか楽しみです。

RYO:ええ。ここで歌える人、ラップできる人を外から入れたら、僕らはバックダンサーに戻るだけなんで。それじゃあダメなんですよ。

SHIRAHAN:この4人でやらないと意味がない。俺らのベースには、なんでもかんでもこの4人でやろうというのがあって。過去にはデザインからCDの梱包作業まで、外の業者さんにお願いするんじゃなくて1から10まで全部自分たちでやってたし、それが癖になってるんですよね。

YUMA:元々はすべては“お金がない”から始まったことなんですけど、それがいまの自分たちの経験につながってるんですよ。

RYO:みんなで住所書いたもんね。手書きで。

KARASU:昔はみんな一緒に住んでたんですけど、グッズとかCDが全部家に届くんで部屋のなかがダンボール箱だらけで迷路みたいになってたんですよ(笑)。

SHIRAHAN:外にお金払うぐらいなら自分たちでやって、そのお金を次の活動資金に回そうよってね。あと、ファンの子たちにも自分たちが手作業でやったものが届いたら嬉しいんじゃないかと思って。そうやって1から10まで自分たちで気持ち込めてやったからこそ、いまやってもらってる人たちの苦労もわかるんです。

YUMA:1回梱包作業を生放送して、実際に俺らがやってるところを見せたりしましたからね。


──さすがにいまはそこまでオールセルフではやってないですよね?

KARASU:ええ。嬉しいことに、最近は忙しくさせてもらってるんで。でも、時間があるときに手作業でちょっとしたものをみんなで作って、それを特典としてプレゼントするとかはいまもやってます。

YUMA:だから「そこまで自分たちでやるのは大変じゃん」というところのハードルが、普通の人よりも俺たちは低いんです。だから、俺らがいまだに「そこは自分たちでやります」っていうと「大丈夫なの?」と周りの大人たちが逆にビックリしてますね(笑)。

──そんなセルフメイドなSLH。先ほど一緒に住んでいたという話がでましたけど、改めてこのグループ名とレーベル名の由来を教えてください。

SHIRAHAN:僕たちはLOCK DANCEというジャンルの踊りをやってます。そのLOCKと、僕たちは10年以上ルームシェアをしていたのでそこからSHAREとHOMESをとって。同じ家をシェアして住んでるロックダンスチームだよということからSHARE LOCK HOMES。これを、成人式のときにつけました。

YUMA:レーベル名に関してはSHARE LOCK HOMESだからワトソン、ワトソン……What’s on !って。

RYO:ワトソンじゃなくワットソン。ここ大事!

YUMA:グループ名もシェアロックホームズで、シャーロック・ホームズではありません!

SHIRAHAN:たまにYouTubeのコメント欄に外国の方から“SHAREの綴りが違う”と書かれたりするんですけど(笑)、僕たちはこれが正解です。

SHIRAHAN:あと、コロナ禍で配信ライブをやるとき、客席に登場するマネキンはメアリーたんという名前です。シャーロック・ホームズに出てくるメアリーとは違います。
YUMA:こうしてパロディーを楽しんでます(笑)。

──ちょっとひねくれてるところがいいですよね。

YUMA:そもそも、「誰の力も借りない」をテーマにやってきた荒くれ者ですから。

KARASU:自分たちがしたいように自分たちでやってきた。そういうちょっとクセが強めなチームなんですよ。

YUMA:だから、こんな荒くれ者の僕らがメジャーデビューできる訳がないという思ってたんですけど、社長の入れ知恵でメジャーデビューすることになり……。

一同&社長:爆笑

SHIRAHAN:冗談ですからね(笑)。さっきもいったように、日本武道館を次の目標に掲げる上で、メジャーデビューはその中のひとつの武器なんです。

KARASU:武器でもあるし、応援してきてくれたファンにもっとすごい景色を見せるためにはメジャーデビューは必要だなと思いました。

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