【ライヴレポート】PENICILLIN、生命体の躍動とメンバー4人からの愛が満ちあふれていたライヴ@渋谷公会堂
◆PENICILLINライヴ@渋谷公会堂~拡大画像~
場内が暗転するとスクリーンに逆回りする時計が映し出され、まずはミラーボールの下で1998年に発表された「地球」を厳かにプレイ。しかし、そんな幻想的なオープニングから、火薬の炸裂音と共に「REAL×××」へ雪崩れこむと、場面は一気に沸騰する。性急なビートが迫る中でHAKUEIは千聖を抱き寄せて一つマイクで歌い、O-JIROのドラムに曲頭から歓声が沸いた「99番目の夜」では、飛び交うレーザーにオーディエンスも激しくジャンプして床は大揺れ!“できるだけ多くの曲をやる”というコンセプトのもと、2枚のベスト盤を軸に休みなく曲を詰め込んだスリリングかつメロディックなツボを押さえた鉄板メニューが、満場のファンに歓喜のジャブを喰らわせる。その一方で、2001年のシングル「腐海の砂」ではドラマティック&カオティックな曲展開で拍手を呼び、20年選手の貫禄をしっかりと魅せつけるのだからサスガだ。
そして本編終盤、ピアノの調べも美しい「太陽の国」が終わるとステージをスモークが包んで、遂に今日だけの“スペシャル”が正体を現す。18年前の初ホール・ライブで配布された「In the Kingdom of the Moonlight」が流れ、その硬質な音色が場内の緊張を高めたところで浮かび上がったシルエットに、客席からは悲鳴にも似た絶叫が! 衣装替えした他メンバー3人と共に現れたのは、2007年に脱退したベースのGISHO。ベースをかき鳴らしながらクルクルと回転するお馴染みの姿に大歓声が沸き、「God of grind」では千聖が彼の頭を掴んでキスを、ベース・ソロで始まるGISHO作曲の「Melody」ではHAKUEIもハグを贈って、6年ぶりの帰還を祝う。弾むビートに心躍る「fantasia」でドラム台にフロント陣が集まる光景にはグッと胸が詰まり、ラストの「FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE」では力強い4人の音像が爆発。そこに彼らが積み重ねてきた年月と、培ってきた信頼の重みを、しかと感じることができた。
アンコールではPENICILLINの21歳を祝うべく、皆でバースデー・ケーキを囲むシーンも。それぞれに「一言で言えば感謝しかありません。メンバーと出会えたことに感謝」(O-JIRO)、「みんなの応援があるから、俺らはここに存在してる。みんなのおかげです」(千聖)、「すべての出会いに感謝しています。そして愛してます!」(HAKUEI)と、率直な心情も語ってくれた。さらに20年前のアルバム制作中、突発的に録音したバラードで、「PENICILLINというバンド本来の勢い、力を感じる」(HAKUEI)という「螺旋階段」に始まったダブル・アンコールでは、再びGISHOもステージに。
「歌詞にある通り“歩き疲れて 明日が見えない”経験をしたこともあるけれど、“最高のSTORY信じていたい”という歌詞に何度も救われた。最高の大合唱を聴かせてくれ!」という彼の願いに応え、「螺旋階段」の大合唱が優しく場内を包む。その声は「ロマンス」「Chaos」と続いても音量を下げることなく、最後は全員でカウントアップを果たすと、サポートベースのHIROKI、キーボードのNAOMIを加えた6人で手を繋いで一礼。温かな祝福のオーラが満ちる中、エンドロールとしてスクリーンに流れた20年の活動履歴の最後に映し出された言葉こそ、何よりPENICILLINというバンドの生き様を言い表していただろう。
“過去を愛して 今を壊して 未来を奏でて 僕らは生きていく 共に未来へ――”
取材・文●清水素子
撮影●加藤 正憲 (KATO PHOTO CLUB)
SE. VIBE∞
01. 地球
02. REAL×××
03. 99番目の夜
04. Rosetta
05. PHOENIX STAR
06. 冷たい風
07. one star
08. 腐海の砂
09. ×・×・×
10. ウルトライダー
11. Desire
12. Quarter Doll
13. NEW FUTURE
14. 太陽の国
SE. In the Kingdom of the Moonlight
15. God of grind
16. Melody
17. fantasia
18. FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE
EN1
19. 男のロマンZ
20. イナズマ
21. 天使よ目覚めて
EN2
22. 螺旋階段
23. ロマンス
24. Chaos
◆PENICILLIN オフィシャルサイト
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