音楽で世代をつなぐ、寺岡呼人イベント<Golden Circle>
ステージは、ゆずの北川悠仁が吹き鳴らしたほら貝の音で幕開け。ライブは寺岡が各アーティストと同イベントのため共作した曲や、ゲストのオリジナル曲をセッションする形で進められた。序盤に登場した桜井和寿と寺岡は、桜井がバンドでデビューする前からの付き合いで、桜井は「一番最初にMr.Childrenというバンドを評価してくれたのが呼人くん」としみじみ。当時ライブハウスで販売していたカセットテープを寺岡さんが、雑誌編集者に渡したことがきっかけで、大阪のFM局でパワープレーが決まったことなどを明かした。デビュー前に共作した「星になれたら」を歌う際は、桜井が持つマイクに2人で頬を寄せ、肩を組んで歌いながら360度に広がった客席にあいさつした。
中盤には寺岡と奥田のユニット寺田が、他アーティストの楽曲の一部にオリジナルの詞を乗せ歌うメドレーを熱唱。保険会社のCM曲として2009年に人気を集めた「まねきねこダックの歌」のサビ部分を用い「民生と呼人が力を合わせてBOΦWYの復活を~、布袋ヒムロック!」と歌うと会場は爆笑に包まれた。
アンコールで寺岡は「ゴールデン・サークルを開いたきっかけは、この2人がいたからです」とゆずを紹介。「なのでアンコール1曲目はこの曲」と、ゆずのデビューシングル「夏色」を全員で歌い会場はひとつに。「雨あがりの夜空に」では仲井戸が「この曲は1979年、渋谷のちっちゃなリビングルームで生まれた。あいつが言ったんだ。「なぁチャボ、ライブのケツの方で盛り上がる曲1曲欲しくねぇか」って。それで生まれた曲。知ったら一緒に歌ってくれ」と呼びかけると、悲鳴のような声が会場に響いた。
奥田、桜井、寺岡と歌い継ぎ、終盤には仲井戸も黒いストラトをかき鳴らしながら熱唱。熱気で白くけむった会場は、2008年2月、同地で完全復活ライブを行なった忌野清志郎のステージを思い出させた。仲井戸は演奏後2009年5月に死去した忌野へと「雨あがりの夜空に吹く風が、早く来いよとオレたちを呼んでいる、グレート忌野清志郎」と絶叫し、盟友を偲んだ。
ゴールデン・サークルは寺岡呼人が「上の世代、同世代、下の世代をつなぐ独自のイベントができないか」と企画し、2001年8月に立ち上げた。これまで東京・大阪・名古屋などで公演を行ない、今回で15回目。小田和正、松任谷由実、森山直太朗、スキマスイッチ、銀杏BOYZなどが出演した。
寺岡呼人は1988年から5年間、JUN SKY WALKER(S)のベーシストとして活動。1993年11月にソロ活動をスタートしたほか、ゆず、植村花菜のプロデュースを手掛けている。
取材・文:西村綾乃
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