| ――ロングヘアーがトレードマークだと思っていたけど、かなり短く切ったんだね。
ヨンネ・アーロン(以下ヨンネ):ずっとロングヘアーだったけど、別にイメージのために伸ばしておかなきゃとは思っていなかったし、みんなが言うほどロングヘアーは僕にとって大事なものじゃなかったんだ。ロングも最初は楽しかったけど、しまいには重くて臭くて(笑)。自分でバッサリ切っちゃったんだ。別にレゲエをやるわけでもないからいいかなって。
――新譜のリリースは2年ぶりだね。その間はどんな活動をしていたの?
ヨンネ:前のアルバム『スウィート・アンド・ディシートフル』のツアーと新譜のレコーディングだね。ツアーでは今まで行ったことのない場所にも行けたし、レコーディングも思うようにできた。この期間はバンドにとってすごくポジティブな時期だったな。でもまあとにかくツアーが多かった。
ラリー・ラヴ(以下ラリー):前作はヨーロッパの大半の地域でリリースできたし、そのツアーもたくさんあって、この2年はホントに充実してた。それと並行して新アルバムの制作に入ったから、けっこう大変だったよ。でもその経験があったからこそ、今回のアルバムは満足できる仕上がりになったと思う。
ヨンネ:アルバムはまだヨーロッパ全域では出てないんだけど、ファンはすでにヨーロッパ全体に広がっているみたいなんだ。それってすごく素敵なことだよね。
――この『アノレクティック』はどんな音を狙って作ったアルバムなの?
ヨンネ:前のアルバムではコンピュータやシーケンサなどのテクノロジーをたくさん使った。でも今回はそれを排除して、ライヴの雰囲気を活かしたアルバムにしたかった。この数年はたくさんツアーをしてライヴバンドとして成長できたと思うから、それをそのまま詰め込みたいと思ってた。
ラリー:ライヴではノリのいいロックンロールが一番盛り上がるし、オーディエンスもそれを聴きたいんだと思う。だからラフでエッジがあってヘヴィなものができたらいいなと、なんとなく思っていたよ。
――確かにヘヴィで壮大な雰囲気の曲が増えているね。
ヨンネ:うん。でもこれは意図的にそうしたわけじゃなくて、作っていくうちに自然にそんな方向に向かって行ったんだ。
ラリー:こんなアルバムを作るぞって気負ってると、かえっていいものができなかったりするんだ。バンドってそういうものじゃないかな? 僕らの場合はリハーサルを重ねてメンバー同士がコミュニケーションをとっていくことで、音楽が自然に自分たちの思う方向に進んでいくんだ。言ってみればこれは終わりのない旅みたいなもので、曲は完成させてからアルバムに入れるけど、その後のツアーで演奏するとどんどん成長していく。ツアーが終わってから改めてアルバムを聴いてみると、あれ? こんなバージョンだったかな、なんて思うこともある。実際、1stアルバムに入ってる「ナイーヴ」なんて最初とは全然違う曲になっちゃってる。そうやって永遠に進化していくんだよ。
――じゃあ曲作りの要もリハーサル?
ヨンネ:その通り。基本的な曲のアイデアは僕がほとんど持ち込むんだけど、それをみんなでリハーサルしながら、そこで色々な意見がどんどん入っていって曲ができ上がっていくんだ。
――このアルバムの制作はかなり長期間だったんだよね。
ヨンネ:途中でやり直しというか、作業の追加をしたことがあったんだ。プロデューサーのヒーリが、僕らのツアー中に彼なりのミックスをしておいてくれて、それにはもちろんいい部分もたくさんあったんだけど、僕らなりにもっと細かいところを詰めたかった。だからちょっと作業を追加したんだけど、それにけっこう時間がかかった。
ラリー:今回はコンセプトとまではいかないけど、一応全体のテーマがサーカスになっていて、アルバムカヴァーから中身まですべて統一してそのテーマに沿ったものになってるんだ。そのために自分たちのアイデアをきちんと反映させていきたかったので、それにも時間をかけた。
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