パーシャクラブ新良幸人が新アルバムで八重山民謡をエモーショナルに歌う
沖縄を代表するバンド・パーシャクラブのリーダーとして活動を続ける新良幸人(あらゆきと)のソロアルバム『月虹(げっこう)』が11月19日に発売される。パーシャクラブでは、民謡をベースにしたオリジナルサウンドをバンドで行い、アコースティック・パーシャではウッドベースとアコギで民謡を、そして新良幸人withサンデーでは三線と島太鼓というトラディショナルなスタイルで演奏を続けている彼。沖縄では知らない人はいない著名なアーティストだ。彼が創作した楽曲は、夏川りみや神谷千尋によってカヴァーされ、熱いリスペクトを受けている。
今回のソロアルバム、なんと自身初の純粋な民謡アルバムとなる。八重山に伝わる多くの民謡の中から抜粋し、本格的にスタジオで録音されたもので、長年の彼の希望だったという。さて、八重山民謡とはどのようなものなのだろうか。
「八重山民謡にはまず作者がいて、歌い手にどう歌ってもらいたがってるかっていうのを理解することが重要なんです。作者に対するリスペクトが大事。それと八重山独特の節回し、これはコブシじゃないんですよ。これはちゃんと唱法があって細かい芸術的なテクニックがあるんです。それを僕は基礎で学んでいるから自由に歌うことができるんです。気分によって伸ばしたりね。でもそれは民謡の世界から言うと異端なことで、そこではガッチリと歌わなけりゃならない」
実際に音を聴いてみると、とてもエモーショナルな歌詞としっとりとした旋律が耳に残る。現在、全国的にブームになっている沖縄民謡とは違い、かなり庶民の気持ちを表現したものが多い。
「いま沖縄民謡、新民謡と呼ばれているものは、ほとんどが宮廷の中で生まれたものですね。八重山民謡は、農民が農作業の歌から作り上げたものなんです。搾取の歴史ですね。貧しかったところに歌がたくさん生まれるんです。歌の中では、島は素晴らしい島で毎年豊作でと歌われていますが、きっと作り事だと思うんです。もっと豊かな暮らしを願ってそれを歌にするのは、豊かじゃなかったからなんですね。役人を悪く歌ったものも多く、でもそれを歌うと睨まれるので全然関係ない場所に、その役人を褒める歌詞を挟んだりして。でも、そういう部分は歌い継がれていくうちに無視されてなくなっていくんですけど(笑)。苦しいと悲しいっていうのは全然ないんですよね。」
パーシャクラブなどのバンド活動と平行してのソロ活動で、あえて民謡の世界に踏み込んだ。その大きなポイントとは。
「八重山民謡の中にはもっとポップなものもあるんですが、今回はズッシリしたものが作りたくて、そういうのは外しました。しっとりした曲ばかりです。こういうアルバムを作らせてくれるレーベルがあるっていうのはステキだと思いますよ。ずっと作りたかったのですが、5年前なら許されなかったでしょうね」
それにしても、『月虹』というなんとも幻想的なタイトル。このアルバムに収められている民謡の雰囲気を実にうまく表現したタイトルだ。
「録音の途中に友達が遊びに来て、沖縄のどこかの夜の浜辺を描いた絵を見せてくれたんです。月と星が浮かんでるんですが、そこに虹が出てるんです。その絵を描いた人が、月夜の虹を見ると幸せになると言ってたということで。いろいろ調べたら、“げっこう”という読み方で“月虹”というのが載っていました。万葉集にも“がっこう”という読み方でよく出てくるらしいんです。幸福をもたらすという意味も気に入ったのでこれで決めました」
八重山民謡を自分の中で消化し、新良幸人でしか出せないフレーバーを添加したアルバム『月虹』。ヒットチャートなどとは無縁にも思えるこの作品を世に送り出す気持ちとは?
「やった、ざまあみろ、ホッとしたという3つの気持ちが混じっていますね。「ざまあみろ」が一番強いかな。これは悪い意味じゃなくて、ステージでよく使う言葉なんですが。観てるお客さんより「オレの方が気持ちいいぞ、ざまあみろ」っていう意味なんです」
長年の思いが『月虹』に結実。新良幸人ならではの官能的な世界が凝縮された民謡アルバム。月夜の夜にしっとりと聴き込んでみたい気分にさせられることは間違いない。
今回のソロアルバム、なんと自身初の純粋な民謡アルバムとなる。八重山に伝わる多くの民謡の中から抜粋し、本格的にスタジオで録音されたもので、長年の彼の希望だったという。さて、八重山民謡とはどのようなものなのだろうか。
「八重山民謡にはまず作者がいて、歌い手にどう歌ってもらいたがってるかっていうのを理解することが重要なんです。作者に対するリスペクトが大事。それと八重山独特の節回し、これはコブシじゃないんですよ。これはちゃんと唱法があって細かい芸術的なテクニックがあるんです。それを僕は基礎で学んでいるから自由に歌うことができるんです。気分によって伸ばしたりね。でもそれは民謡の世界から言うと異端なことで、そこではガッチリと歌わなけりゃならない」
実際に音を聴いてみると、とてもエモーショナルな歌詞としっとりとした旋律が耳に残る。現在、全国的にブームになっている沖縄民謡とは違い、かなり庶民の気持ちを表現したものが多い。
「いま沖縄民謡、新民謡と呼ばれているものは、ほとんどが宮廷の中で生まれたものですね。八重山民謡は、農民が農作業の歌から作り上げたものなんです。搾取の歴史ですね。貧しかったところに歌がたくさん生まれるんです。歌の中では、島は素晴らしい島で毎年豊作でと歌われていますが、きっと作り事だと思うんです。もっと豊かな暮らしを願ってそれを歌にするのは、豊かじゃなかったからなんですね。役人を悪く歌ったものも多く、でもそれを歌うと睨まれるので全然関係ない場所に、その役人を褒める歌詞を挟んだりして。でも、そういう部分は歌い継がれていくうちに無視されてなくなっていくんですけど(笑)。苦しいと悲しいっていうのは全然ないんですよね。」
パーシャクラブなどのバンド活動と平行してのソロ活動で、あえて民謡の世界に踏み込んだ。その大きなポイントとは。
「八重山民謡の中にはもっとポップなものもあるんですが、今回はズッシリしたものが作りたくて、そういうのは外しました。しっとりした曲ばかりです。こういうアルバムを作らせてくれるレーベルがあるっていうのはステキだと思いますよ。ずっと作りたかったのですが、5年前なら許されなかったでしょうね」
それにしても、『月虹』というなんとも幻想的なタイトル。このアルバムに収められている民謡の雰囲気を実にうまく表現したタイトルだ。
「録音の途中に友達が遊びに来て、沖縄のどこかの夜の浜辺を描いた絵を見せてくれたんです。月と星が浮かんでるんですが、そこに虹が出てるんです。その絵を描いた人が、月夜の虹を見ると幸せになると言ってたということで。いろいろ調べたら、“げっこう”という読み方で“月虹”というのが載っていました。万葉集にも“がっこう”という読み方でよく出てくるらしいんです。幸福をもたらすという意味も気に入ったのでこれで決めました」
八重山民謡を自分の中で消化し、新良幸人でしか出せないフレーバーを添加したアルバム『月虹』。ヒットチャートなどとは無縁にも思えるこの作品を世に送り出す気持ちとは?
「やった、ざまあみろ、ホッとしたという3つの気持ちが混じっていますね。「ざまあみろ」が一番強いかな。これは悪い意味じゃなくて、ステージでよく使う言葉なんですが。観てるお客さんより「オレの方が気持ちいいぞ、ざまあみろ」っていう意味なんです」
長年の思いが『月虹』に結実。新良幸人ならではの官能的な世界が凝縮された民謡アルバム。月夜の夜にしっとりと聴き込んでみたい気分にさせられることは間違いない。