ダンスミュージックとしてのヒップホップへの意識『TOKYO'S FINEST』

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ダンスミュージックとしてのヒップホップへの意識『TOKYO'S FINEST』


奇跡的な復活を遂げたキングギドラのアルバム『最終兵器』、
その後は 今井了介とのプロデューサー・チームFIRSTKLASやその他客演、ライヴ活動etc......と
あらゆる活動に挑戦し続けるZEEBRA

そして時間は待たされたが、その時期を狙ったかのように
ソロとしての3rdアルバム『TOKYO'S FINEST』を3年3ヶ月ぶりに完成させた。
ZEEBRAはこの作品を今までとはまた違う視点から、ひとつのコンセプトを貫いて作り上げた。
果たしてその意図は・・・?

“聴きやすいね”=“それ俺じゃん”(笑) いたって自然な表現なんだよ

PV3本一挙公開
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最新アルバム

『TOKYO'S FINEST』

Future Shock
2003年09月18日発売
PCCA-01943 3,045(tax in)

1 Intro
2 Touch the sky
3 ウィークエンド feat. MIHO BROWN, Tyler
4 SUPATECH(what's my name ?)
5 Teenage love
6 The System
7 東京's Finest feat. BIG-O
8 Perfect Queen
9 男たちの蛮歌 feat. OJ&ST, KM-MARKIT, UZI
10 BIG BIG Money feat. HIRO
11 burnitup feat. FIRE BALL
12 AFTER PARTY feat. 安室奈美恵
13 GOLDEN MIC (REMIX) feat. KASHI DA HANDSOME, AI, 童子-T, 般若


ZEEBRA LIVE TOUR
<THE LIVE ANIMAL 03 ~TOKYO'S FINEST>
11/21(fri)大阪 なんばHATCH
11/23(sun)仙台 ZEPP SENDAI
11/24(mon 祝)名古屋 ダイアモンドホール
11/29(sat)福岡 ZEPP FUKUOKA
12/10(wed)東京 SHIBUYA-AX
12/11(thu)東京 SHIBUYA-AX

オフィシャルサイト:
http://www.futureshock.co.jp/
※全ての画像と文章の無断転用を禁止します。
──『TOKYO'S FINEST』は、これまでで最も軽快&開放的な仕上がりですね。

ZEEBRA: うん。今回のアルバムでは、ヒップホップのダンス・ミュージックとしてのあり方、みたいなものを意識してて。もともと俺もブレイク・ダンスからヒップホップに入ったし、もちろん今でもクラブに行って踊ったりもするし。だからダンス・ミュージックとしてのヒップホップっていうのは絶対に欠かせないというか。それに、そういう側面がなくなってしまうと、ただアカデミックなだけになったり、ただ悪いイメージだけになっていっちゃうしね。で、その意識もあって今回はR&B的なアプローチをすごく取り入れてるんだけど。

──それも過去2枚のアルバムとの決定的な違いですね。

ZEEBRA: 単純にFIRSTKLASでプロデュース・ワークをやってきたことのフィード・バックでもあるんだけど。それにR&Bの曲にフィーチャリングで参加すると"聴きやすいね"って言われることがあって、でも"それ俺じゃん"みたいな感じもあるから(笑)。それなら俺自身のアルバムにそういうタイプの曲を入れてもいいんじゃないかな、と。だいたい今は、もうヒップホップとR&Bの垣根って完全になくなってきてるし。だから俺の中では、いたって自然な表現なんだけどね。

──それにしても初めて聴いたときは本当に驚きました。特に前半はポップな曲が並んでて、しかもリリックも軽めで。

ZEEBRA: その辺は前回の俺の動きがキングギドラだったことも関係があると思う。それまでは、わりとバランスをとって活動してきたところもあったけど、キングギドラでは片方(タフでハードで、そしてポリティカルな方向)にガーッと寄ったでしょ。だから、そこで片寄ったぶん今度は反対方向に行っちゃおうかなっていうか。そういうのも間違いなくあった。

──これまでよりも幅広い層のリスナーを獲得しそうですね。

ZEEBRA: それこそ女の子とかにも普通に聴いてほしかったんでね。もちろん、これまでも女の子のファンもライヴとかクラブに来てくれてたけど。でも、その子たちは俺のアルバムを何度も何度も聴かないだろうなぁと思って。例えば前のアルバムで言うと「プラチナム・デート」とか「MR.DYNAMITE」とかさ、ああいうわかりやすい曲を2~3曲聴いて、もう他はとばしちゃうと思うんだ(笑)。だから今回は全体を通して男女に聴いてもらえるような作品を目指したかな。男子向けの曲、女子向けの曲、両方向けの曲。そのバランスも考えたし。

──例えば、ネガティヴに「急にポップで、分かりやすくなりやがって」みたいに思われることは危惧しませんでしたか?

ZEEBRA: いや、それはない。俺とかって、よく「もっと恐い人だと思ってました」って言われるんだけど…。

──えっ、まだ今でも言われるんですか?

ZEEBRA: 初めて会う人には、やっぱり言われる(笑)。で、そう言われるっていうことは、そういう恐いイメージが定着してるっていうことなわけで。そういう意味では、俺が出てきた背景はちゃんと伝わってるんだろうし。だから今回は、そこは強調しなくてもいいかなって思って。むしろ逆に、キングギドラをやって俺の出どころを明らかにしたからこそ、今回みたいなアルバムが作りやすくなったというのがあるくらい。

──それでは何曲かについて具体的にお訊きしたいのですが。まずは安室奈美恵さんをフィーチャーしたスムース&セクシーな「AFTER PARTY」。まさに女子向けのナンバー。

ZEEBRA: そうだね。SUITE CHICの「GOOD LIFE」の続編みたいな感じ。実は、あの曲を録ってるときから「俺のアルバムでもお願いね」みたいな話をしてて(笑)。

──ここでのZEEBRAさんのラップは新境地ですね。つぶやいているような感じが妙に色っぽくて。

ZEEBRA: 聴こえるか聴こえないかぐらいの声でね(笑)。こんなに小ちゃい声で歌ったのは初めてだったから、けっこう大変だったんだよ、実は。

──で、反対に男子向けというかコアなファンが喜びそうなのが「男たちの蛮歌」あたりでしょうか。

ZEEBRA: まさに。この曲はトラックも超男っぽい。なにしろ山田マン(ラッパ我リヤ)なんで(笑)。

──あと個人的にはシャカゾンビのオオスミさんと初共演を果たした表題曲「東京's Finest」も嬉しかったです。

ZEEBRA: 俺のラジオ番組にシャカがゲストで来たときに「一緒にやって下さい」っていうリクエストのFAXが来て、それがきっかけで実現したんだけど。これなんかは、もうどこを切ってもヒップホップっていう曲だよね。ラップのフリー・スタイルの面白さを楽しんでほしい。

──さて、そんな新作を引っさげての全国ツアーも決定していますね。11月~12月にかけての<THE LIVE ANIMAL03~TOKYO'S FINEST~>は、どんなステージになりそうですか?

ZEEBRA: このニュー・アルバムを中心にしつつ、もちろん昔の曲なんかもやって。ゲストもいろいろ登場する予定だし、それからダンサー・チームも参加してくれるんで、すごくエンターテインメントなショーになると思う。とにかく大人数で街を襲います、みたいな感じかな(笑)。

取材・文●大野貴史

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