フォークから、ファンク、HIP HOPも……夜桜咲く日本武道館でBECKも満開

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フォークから、ファンク、HIP HOPも……
夜桜咲く日本武道館でBECKも満開


'02年9月にリリースされた新作アルバム『Sea Change』は、
アコースティック・ギターやストリングスなどをフィーチャーし、
憂鬱や悲しみを歌いつつも、BECKらしいファンキーさやスケール感で高い評価を得ている。
そんな新作を引っさげて開催された今回の日本ツアーは、
3月26日大阪フェスティバルホール、28日愛知厚生年金会館、30日ベイNKホール、
31日新宿リキッドルーム(アコースティック・ライヴ)、4月1日日本武道館と、5会場を巡っている。
そのツアーの中でも、4月1日の日本武道館公演の模様をお伝えする。


新作はアンニュイでブルーだけど、ライヴはやっぱりファンキー!?

 セットリスト

BECK 2003/04/01 日本武道館

01.Guess I'm Doing Fine
02.Do You Realize
03.Nobody's Fault But My Own
04.Golden Age
05.The New Pollution
06.Pressure Zone
07.Hot Wax
08.Mixed Bizness
09.Broken Train
10.Papper Tiger
11.All In Your Mind
12.Lost Cause
13.Side Of The Road
14.Lonesome Teas
15.Sunday Sun
16.Loser
17.Milk & Honey
18.Novacane
19.Nicotine & Gravy
20.Thunder Peel
21.Sexx Laws
22.Where It's At

【ENCORE】
23.Devils Haircut

最新アルバム


『Sea Change』

ユニバーサルインターナショナル
UICF-1015 2,548(tax in)

1.The Golden Age
2.Paper Tiger
3.Guess I'm Doing Fine
4.Lonesome Tears
5.Lost Cause
6.End Of The Day
7.It's All In Your Mind
8.Round The Bend
9.Already Dead
10.Sunday Sun
11.Little One
12.Side Of The Road
13.Ship In The Bottle



昼間こそやや汗ばむこともあったが、夜にもなると肌寒い4月1日。ライトアップされた夜桜の美しい日本武道館で、'01年の<SUMMER SONIC>以来となるBECKの来日公演が行なわれた。新作の『Sea Change』は、アコースティック・サウンドをフィーチャーしたアルバムだけに、ライヴでどんなパフォーマンスをするか期待が高まる一方、「アコギだけだったらちょっと寂しいかな……」という思いも交錯する。

暗転したステージで、一人スポットライトを浴びたBECKが「Guess I'm Doing Fine」弾き語りすることからスタートしたステージは、やがてバンド編成に。『Sea Change』のフォークっぽい曲を主体にしつつも、『Mellow Gold』『Midnite Vultures』『Odelay』などからも、バランスよく人気曲がピックアップされ、じっくり聴いたり楽しく踊ったりと飽きさせない。BECK自身も、切なくアコギで弾き語りをしたかと思えば、ラップをこなしたり、ブレイク・ダンスを披露したり、ジャケットを脱ぎ捨て……また拾って着たりと多彩なパフォーマンスを見せる。


BECK、アコギ

▲序盤はフォーク、カントリー系の曲をアコギで弾き語り


序盤は座ってじっくり聴くオーディエンスの姿も多かったが、中盤を過ぎた「Loser」あたりから、アリーナだけでなく、スタンド席の観客もほぼ総立ち。BECKの掛け声に合わせて手を叩いたり、ブレイクダンスに歓声をあげたりと大盛り上がり。「Nicotine & Gravy」や「Where It's At」で大騒ぎになったあと、アンコールは「Devils Haircut」で締めくくりとなった。ラストはメンバー全員がステージで円陣を組んで挨拶。ファンの歓声が飛ぶ。


BECK その2
▲中盤以降、派手なダンス系も披露。
多芸多才を見せつけてくれたBECK

フォークからファンク、HIP HOPまで一度に楽しめてしまう、一粒で3度(それ以上?)おいしいステージはBECKならでは。ジュークボックスのように、次々にいろんな曲が出てくる。童顔のイメージに似合わない迫力ある歌声、そして千鳥ヶ淵の桜のように咲き乱れるBECKという才能を堪能できた一晩だった。ステージを去る瞬間、風に散る桜を眺めるような、切ない気持ちに襲われたのは私だけではあるまい。


取材・文●末吉靖永

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