| アルバム『All For You』をフォローするワールド・ツアーの最終公演、2002年2月16日のハワイはアロハ・スタジアムでのステージを完全収録(全19曲、116分!)したジャネット・ジャクソン2作目のライヴ映像作品である。 南国の孤島と思わしき密林を半裸で駆け抜け滝壺に飛び込んでいくという冒頭のイメージ映像、「Son Of A Gun」や「Would You Mind」でのエロティックなパフォーマンス、ドレッシング・ルームでのコスチューム・チェンジの模様を随所に封入したスキャンダラスな構成――今回、『JANET:Live In Hawaii』を見るにあたって再確認できたのは、『All For You』が従来よりも殊更にセクシャルな表現へと向かったアルバムであったという点で、そのコンセプトが細部に渡って行き届いたステージを目の当たりにすることにより、恐らくジャネットが『All For You』で掲げた世界観への理解はぐっと深まるだろうし、それはきっと彼女のヴィジョンが我々の想像を遙かに越える過激なものである事実を突き付けられる体験にもなるだろう。但し、通常であれば過剰演出になりかねない部分も持ち前の愛くるしい佇まいの効果で幾分緩和されてしまうというか、“ワイセツ”までには至らない辺りがなんともジャネットらしい。 もちろん、オーディエンスの大合唱を誘発する「Come Back To Me」~「Let's Wait A While」~「Again」へと連なるバラード・メドレー、ピースフルな余韻を残す「Together Again」での大団円など、ストレートに見る者の胸を揺さぶる場面も少なくないし、矢継ぎ早に繰り出されるNo.1ヒット攻勢には熱心なファンならずとも楽しむことができるだろう。サプライズでミッシー・エリオットが登場する他、DVDにはインタビューやフォト・ギャラリーなどの特典がある。 文●高橋芳朗(02/08/07) |
|