『東京』 TAISHITA/ビクターエンタテインメント VICL-35380 1,260(tax in) 発売中 1 東京 2 夏の日の少年 3 ~EBOSHI RADIO STATION "Hits from Coast to Coast" (DJ:SHANTI) 4 可愛いミーナ | 『波乗りジョニー』 TAISHITA/ビクターエンタテインメント VICL-35300 1,260(tax in) 発売中 1 波乗りジョニー 2 黄昏のサマー・ホリデイ 3 MUSIC TIGER 4 PRIDEの唄~茅ヶ崎はありがとう~ | 『白い恋人達』 TAISHITA/ビクターエンタテインメント VICL-35330 1,260(tax in) 発売中 1 白い恋人達 2 踊ろうよベイビー 3 あの素晴らしい愛をもう一度 ~アミダばばあの唄(MEDLEY) | | 嘉門雄三&VICTOR WHEELS(主な活動は'81年)、KUWATA BAND(同'86年~'87年)、SUPER CHIMPANZEE(同'91年)、アルバム『Keisuke Kuwata』('88年発売)の時の桑田佳祐、アルバム『孤独の太陽』('94年発売)の時の桑田佳祐、「波乗りジョニー」、「白い恋人達」(共に'01年)そして「東京」('02年)の桑田佳祐……。 サザン名義で作品を発表する以外の桑田は、バンド(ユニット)の一員となるか、嘉門雄三のように架空の人物になりきってカヴァーを演るか、完全に自分を多面的に掘り下げるかの3つのパターンがある。そして、付け加えるならば、2つ目の架空の人物になりきってカヴァーを演るパターンは、<Act Against AIDS>(エイズ啓発運動。'93年よりスタートし毎年「世界エイズデー」の12/1にコンサートなどが行なわれている)のコンサートでの夷撫悶汰(いヴもんた/'96年)やエリック・クラプトソ(「クラプトン」じゃなくて「ソ」/'99年)となって引き継がれていることも忘れてはならない。 KUWATA BANDは演奏技術的にハイスキルなメンバーと洋楽に近似した曲を演るという試行精神に基づいており、SUPER CHIMPANZEEは、桑田の言葉を借りれば「ステージでの俺の動きとかを見てもまともじゃないでしょ? 外国人ロッカーにはなれないからニホンザル的なイメージで…でも洋モノを越えたかもしれないという意味も加えてニホンザル=スーパーチンパンジーだぁ、なんて(笑)」ということになる。ユニークなユニットであったことは間違いない。 そして、最後の完全に自分を多面的に掘り下げるいわゆる通常のソロ。桑田は以前「俺は自分で自分が多重人格じゃないかと思う時があるんだ」と語ったことがある。しかし、人間はおうおうにしてそうした側面を併せ持つ。定義された病としての多重人格症は、顕現する複数の人格が互いに干渉しあうことはないが、病でない場合は自分の心の奥底で複数の自分は干渉しあう。自分でやったことにヘコむであるとか、自分で自分を許せないというような事態がこれにあたる。桑田は過去の自分の作品に対して「もうあれはナシにしたい」であるとか「忘れたいんですけど、ダメでしょうか」と言う。ずっと言い続けていると言っても過言ではない(笑)。それは、新しく噴出する自分に力点を置いているからであり、しかしながら、20年以上も音楽活動を続けてくると、その新しい自分がある程度ループを描いていることを発見するだろう。 そこで、打ち出すべき僕の分析的視点は“満つれば欠き、欠くれば満つる”である。昨2001年「波乗りジョニー」と「白い恋人達」で、永遠の青春像としての自分を表わしたあとに、現在的巨大な喪失感を「東京」という歌にする。言い換えればその“運動”こそが桑田のソロの実体だと言えはしまいか。サザンにももちろんそうした“満ち欠け”はあるにはあるが、はっきりとした形=音楽作品で判るのは明らかにソロの領域に属する楽曲である。そして、そのみずみずしい満ち欠けを愛おしく思っているのはおそらく僕だけではないはずだ。桑田の人間性は、やはりソロの音楽性に直結していると思う。 文●佐伯 明 |
●嘉門雄三&VICTOR WHEELS | "嘉門雄三"=桑田佳祐。'81年にゲリラ的に洋楽のカヴァーのライヴを行なったバンド。リリース作はライヴアルバム『嘉門雄三&VICTOR WHEELS』('82年3月21日)。後に嘉門の姓は嘉門達夫へ譲ったとか。 | ●KUWATA BAND | '86年結成。1年間という期限付きの活動だったが、その間に「Ban Ban Ban」「One Day」などシングル4枚をヒットさせ、アルバム『NIPPON NO ROCK BAND』リリース。その後50本以上の全国ツアー行なうなど、精力的に活動したバンドだった。 | ●SUPER CHIMPANZEE | 桑田佳祐と小林武史を中心に結成。'91年にライヴやシングル「クリといつまでも」リリースなど主な活動を行なった。 |
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