『HARCO』 HiBOOM 2002年04月10日発売 IOCD-11006 3,150(tax in) 1 愛されたいから 2 記憶全集 3 彗星 4 そして会いに行く 5 数秒数分数時間 6 シリーズ最終回 7 人 8 猫型サミット 9 逆光 10 高原ビール | ↑ | 【HARCO TOUR 2002】 5/23(木)@心斎橋クラブクアトロ (info)グリーンズ 06-6882-1224 5/24(金)@名古屋クラブクアトロ (info)ジェイルハウス 052-936-6041 5/31(金)@渋谷クラブクアトロ (info)ホットスタッフ 03-5720-9999 Open/Start:18:00/19:00 tickets:3,675(adv/with 1D) | | ――アルバム・タイトルをズバリ『HARCO』にしたのは? HARCO: 今回初めて納得して……って毎回納得して作っていたんですけど、今回僕がHARCOをやること、自分が歌うことに対して、生涯を通してやっていこうと決意できたというか。演歌みたいに、"これで男懸けます”と(笑)。同時に今までのHARCOに別れを告げようというところからですね。 ――何か大きな変化があったのですか? HARCO: ん~、今までマルチプレイヤーと言われて、その通りドラム、ギター、木琴っていろいろやってて、ライヴでもスタジオでも走り回っていろんな楽器をプレイしてたんですけど、今回はピアノとあとちょっとドラムを叩いてるくらいで、あとは人任せにしたんです。自分の役割は減らそうって。 ――でも青木さん(HARCOの本名)はご自身で作詞作曲もされるので、マルチで作ったほうが曲のイメージを形にしやすいんじゃないですか? HARCO: ん~、自然とピアノを弾くこと以外はおもしろくなくなっちゃって(笑)。その代わりに歌うこと、ピアノを弾くこと……特に歌うことが楽しくなりましたね。で、“ああ、そろそろ切り捨てる時期なのかな”って脱皮する瞬間を感じましたから。それに、今までは楽器の音をいっぱい積み重ねちゃって、最後歌を入れるスペースを空けてって作り方だったんですね。パズル完成!みたいな。それが今回は“音の隙間を作ろう運動”(笑)。セッションしてそのままで、まだ未完成なのに歌入れてってやり方して、それがすごく楽しかったんですね。スペースがいっぱい空いてるから自由な感じで。全然気になんなかったんですよね、ギター弾いてもらった人がどんなこと弾いてるかとか。家帰って聴いてみてはじめて"ああ、こんなこと演ってたんだ"って。それくらい自分のやっていること以外関心なかった。 ――でもプレイヤーの人たちは、訊きませんか? 「この曲はどういうイメージなんだ?」って。 HARCO: ええ。でも、“好きに弾いて”って(笑)。僕自身、このレコーディング入る前から、このアルバムは自分の頭で考えてどうこうしようっていうよりは、体というか本能で作ろうって思ってたんです。頭で考えても分からなかったんでね(笑)。分からなかったって自分で言うのも何なんですけど、去年は答えのないテストをずっとやっていた1年間だった気がしたんですよ。ライヴずっと演ってたんですけど、ジャズ要素を増やそうとか、ロック要素をどうにかしよう……っていろんなことを考えたんですけど、もうドツボにハマってて。でも、最終的にレコーディング入るって時には詞と曲はできてたんで、だったらそれを何も考えずにやろうと。 ――なるほど。今の青木さんの状態の、ジャストの作品ですね。 HARCO: ええ。それでも曲ひとつひとつではいろんなこと挑戦しようって思ってて。 ――では、たとえば「愛されたいから」は? HARCO: この曲、僕がドラム叩いたんですね。今までだったらこういうミドルテンポだとこねくり回して叩いちゃうんだけど、今回は細かいことはやらなかったですね。ソウルテイストだけで。で、この曲を1曲目に持ってきたのは、スロースターターで行きたかったからです! ……自分でやり過ぎないって象徴ですかね。 ――「逆光」はどうでしょう? 個人的にすごく好きな曲なんですが。 HARCO: いいですね~。これは今後のHARCOのヒントですよ(笑)。「愛されたいから」とこの曲の2曲はBIKKEさんの詩なんですけど、言葉足らずっていいなって。今回、詩を頼んだの初めてなんですけど、昔の詩に比べてシンプルになってる気がしますね。音の隙間作るってのと一緒で、言葉でも行間に隙間を作るっていうね(笑)。あとね、彼の書く詩って、男の生理っていうか……。 “今日あまり気分よくないから、こういう詩書いてみた”とか、“今日はいい!”って言い切ってみたとかね。波があるところがいいなって。体温を感じるんですよね、詩に。だから馴染むっていうか、入り込んでくる感じがして。 ――それ対して青木さんが書く詩は、日常的な詩と、皮肉っぽい内容の詩と2タイプあると思ったんですが。 HARCO: ああ。僕もそのときの気分でかなり書く内容が変わるから。詩や曲作るとき、家でも書くんですけど、一日電車に乗って日帰り旅行したりもするんですよ(笑)。この前は、新子安行った! 渋滞情報でよく"新子安"って地名は聞いて知ってて、ある日突然家にいるときに「あ、新子安行こう!」って(笑)。静かな住宅街だったんですけど、その日、天気雨がずーっと降っててね。初めての街でヘンな天気でね、“わー、楽し”って(笑)。 ――今、男性シンガー・ソングライターって大勢いますが、HARCOの強みってどこだと思いますか? 声が特徴的だと思いますが。 HARCO: そうですね、声ですかね。……今までは自分の声好きじゃなかったんですね。でも、だんだん好きになれそう。まだまだですけど。でも、欠点って実は強みだったりするじゃないですか。そうなれると思ってますね。 ――青木さんはHARCO以外に、OctocubeやHARCO&METRO(下記、バイオグラフィ参照)といった活動をしてますよね。 HARCO: うん、両方ともたまたま小さなキッカケから始まったものが、どんどん大きくなっていった感じで。OctocubeはCD出したりライヴもできたし、HARCO&METROも最初はグッズ作りだったけど個展までできてね。でも、今はHARCOをやりたい。こっちでまたひと回り大きくなったら、またこういった別ユニットやりたいですよ。 ――では最後に「高原ビール」ってタイトルの曲ありますけど、青木さん、飲むときはビール派なんですか? HARCO: ビール派です(笑)。最初の1杯、2杯…、3杯、4杯、5杯くらい(笑)。でも、なんでも飲みますよ! 取材/文●星野まり子 | |