場内にはトランス系のBGMが流れ、薄暗い照明と相まって、今から始まる躍動的なライヴに対し、不気味な静けさを保ちながらその期待感を煽る。
そして、開幕!
オープニングは、「YOUNG WORLD」、そして「WAITING HEARTS SPOIL」と弾みをつける。2曲終わってまずは、挨拶だ。
『緊張してしまいました』
おっと、今更何をもって緊張とは。しかし、この人懐っこさも彼らの魅力。そんなYOUNG PUNCHのメンバーを紹介しよう。ヴォーカル&ギターに福井隆史、ベースに平井義人、ドラムは庄田謙太郎、そしてはずすことの出来ないのがこの人、YOUNG PUNCHの活動の上で、サポートながらレギュラー・ギタリストである内山孝洋である。衣装は今日は、黒Tシャツの平井以外は全員白ではあるが、トータルでグループ感を出しているのが彼ららしい。そしてノリの良い「TURBO51」の後、「BRIT TUBE」からヴォーカル福井はギターを抱え、矢継ぎ早にアップ・テンポのナンバーを演奏する。気がついたら、件のシングル曲「フワユラ」を演奏。
そう、ライヴという空間で聴き比べると、この曲は明らかに異色である。福井がトータルプロデュースすることによって完成されたこの楽曲をもって、バンドはまた一歩前進した感がある。何々風というテイストを持たないサウンドや楽曲、この辺の意志は2000年春のPENPALSとのスプリット・ツアーにて芽生えたものであるという。しかし、何というシンプルなライヴだろうか。だからこそ、その裏に秘めたる、曲を聴かせることや、よい曲ができていけばいいというバンドとしての姿勢が伺える。
加えて、後半はバンドの持つライヴ感を見せつけたかのよう。
『ステップを踏み続けることが大事! とにかく踊り続けて』 と「STEP WISE」を披露。続いて打ち込みでの、ブラスセクションが聞こえると、一段と歓声が高まる。「SUNDAY BEST」だ。してやったりとVサインで答える、福井。そして新曲を披露! まだタイトルもないこの曲は、ループによるインストゥルメンタル。福井はコンピュータを操る。続いての新曲もツインギターでありながらも打ち込みによるエレクトロニクスが、サウンドはともかく曲を構成するのに肝となる存在なことに気づかされる。この曲はバックの疾走感ある演奏に対し、ちょっとメロウな楽曲だ。YOUNG PUNCHは今後、こういった傾向へと進むのだろうか? 否、恐らく曲がアレンジを呼んでいるのだろう。そしてそれを裏付ける様に、本編ラストはブラスロックの「SWING & RUN」を演奏。一段と高いテンションで迎えるキッズ。そう、これはかつてのYOUNG PUNCHの姿。
観衆の声に応えて、再びステージに現われるメンバー。今度は全員が黒いTシャツだ。『被っちゃいました!』と照れ臭そうな福井。そして、『今日は楽しかったです』と素直な感想を。アンコールは、「DISCOTICA」と「FREEMAN」を披露。ラストまで、このシンプルさは変わらない!