次代のU2か? 新作サードアルバムで大きく飛翔するオルタナティヴ・バンド

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次のU2か? 新作サードアルバムで大きく飛翔するオルタナティヴ・バンド
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「最もクリエイティヴな人々というのは、本当に引き裂かれた存在なんだ」

最新アルバム

The Golden Hum
Elektra 62678 (輸入盤)
2001年9月17日発売

1 The Golden Hum
2 Glorious #1
3 Out/In
4 Bitter
5 Perfect Memory
6 Save Me
7 Belong
8 Over The Rails & Hollywood High
9 Smile
10 I'm Not Afraid
11 Impossibility


ポップバンドのRemy Zeroにとってはまさしく3度目の正直ということになりそうだ。アラバマ州バーミンガム出身の彼らがロスアンゼルスにやってきたのは'96年のことで、ボヘミアンのアーティストと冷酷無比なショウビズ界が激突するハリウッドの戦場へと突進したのであった。グループはこのウェストコースト時代にひとつどころか3つのレコード会社との契約という経験をし、契約を解除されること、事業再編の波に呑まれること、そして優れた仕事の状況にようやく落ち着くことの意味を急速に学習したのである。

今回のElektraとの契約によってリリースされたRemyのサードアルバム『The GoldenHum』では、不屈とも思える5人組に対する一大キャンペーンが行なわれた。プレスはRemyのことを次代のRadioheadあるいはU2とまで書き立てている。空高く舞うポップソングが生々しい感情とビッグなサウンドスケープと激突する音楽を携えて、バンドメンバーのCinjun Tate(Vo)、Shelby Tate(G)、Cedriv LeMoyne(B)、Jeffrey Cain(G)、Gregory Slay(Dr)は、通常のL.A.ミュージックシーンから出てくる音楽よりもずっとブリティッシュ・ポップ寄りのサウンドと統一感を示して見せた。フロントマンのCinjun Tateによれば、彼も現在のツアー仲間である、Travisをはじめとするブリットポップのアーティストに親近感を抱いているが、そうしたバンドのスピリットはSouth地区と呼ばれる町の外側で育ったことに起因するという。

Southに住んでいるときには、世界の注目を集めるなんてことはまるで不可能なんだ。だから自分自身が何者なのかを見つめるようになって、状況がまるで変わってしまっても自分を見失うことはないんだよ」とCinjunは語る。

Cinjunと兄弟のShelbyは子供たちのクリエイティヴな面を奨励するような家庭に育ったが、感情面での機能不全に陥ることも多かったという。そのことが自身を表現するための最大のインスピレーションになったとCinjunは語っている。

最もクリエイティヴな人々というのは、本当に引き裂かれた存在なんだ。僕も自分が経験してきたことから多くの傷や痛みを被ってきた。でも、僕に最も大きな影響を与えたのは、そうしたことに対処せざるを得なかった状況だと思うよ

新たなレコード契約とニューアルバムはRemy Zeroにとっての再出発とも思えるが、Cinjunにとって状況はまったく正反対だという。

僕にとってこれは完了なんだ。セカンドアルバムの『Villa Elaine』を作ったとき、多くのことを言い残したと感じてた。だから今回のアルバム(『The Golden Hum』)は、僕のL.A.での経験全体とその期間の自分の人生を総括するブックエンドみたいなものだよ

この“L.A.での経験”にはつらい時期も含まれていたが、バンドの内面的な強さで切り抜けたとCinjunは言う。

僕らのバンドの状況はかなり狭量なものだった。僕らは本当に親友同士で、音楽も自然に出てくる類いのものなんだ。周りにたくさんの人がいて打撃のショックを取り除いてくれたから、僕たちを打ちのめしてしまうような事態が結局はインスピレーションの源泉になった。まるで自然の進化のようだったね

そういうわけで、CinjunはバンドとElektraの新たな関係にはこの上なく満足しているという。この年末にツアーが終了したら、彼は新たなるスタートを切る心づもりだ。その中にはSouthへと戻る可能性も含まれている。彼の唯一の目的はRemy Zeroの音楽がやがて、他のバンドが彼に及ぼしたのと同じようなインパクトをリスナーに与えることだ。

僕がいくつかのことに影響を受けたのと同じようなかたちで、誰かが影響を受けてくれるといいなと思うよ。大きな枠組みの中で自分が何をやっているのかまるでわからないけど、誰も聞いてくれないと思っていた自分のアルバムが誰かに影響を与えて、その人を動かして世界に大きな変化をもたらすかもしれないからね

By Kastle/LAUNCH.com

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