RIP SLYME tour アフター“FIVE” at shibuya AX M0:イントロ(Talk to me)<タモリver.> M1:FRESH M2:ブロッサム M3:アンダーラインNO,5 M4:&&& M5:ジャッジメント(feat. Black Bottom Brass Band) MC M6:運命共同体 M7:Danced All Night M8:ONE MC M9:ステッパーズディライト M10:フリークショー(feat. Mellow Yellow) M11:メンバー紹介 M12:雑念エンタテインメント MC M13:TODAY ENCORE EN1:FRESH(AX ver) EN2:白日 EN3:マタ逢ウ日マデ
| 『FIVE』 WARNER MUSIC JAPAN AMCN-4542 2,940 (tax in)
1 RS5 2 ステッパーズ・ディライト 3 Fresh 4 運命共同体 5 ジャッジメント(feat.BBBB & KYON) 6 光る音(feat. YO-KING) 7 Bushman 8 Talk to me 9 雑念エンタティメント 10 BLOSSOM 11 (I could have) Danced all night 12 Freak show (feat. MELLOW YELLOW) 13 R・E・M 14 マタ逢ウ日マデ
| 「One」 WARNER MUSIC JAPAN AMCN-4559 1,260(tax in) 1 One 2 Today 3 Re-fresh (Fresh-non Remix)
| | メジャー・デビューから1年半が経ち、アルバム『FIVE』に続いて、最新シングル曲「ONE」ではチャートで爆発的快進撃を続けている。 そんなRIP SLYME はもともとなが~い間、ヒップホップ・アンダーグランド・シーンにいた存在だ。
ライヴ中、自らが述べていたようにその活動歴はすでに7年にもなる。今のような人気を得るまでの道のりは平坦ではなかったはずだ。アンダーグランドというのは常に新しい芽がでて、出会ったことのない音にも出会えるという刺激があると思う。そしてそれをまたオリジナリティと言うものに変えられる 。どちらかと言えば筆者もそんな音を追い求め、興奮してしまう人間だ。
RIP SLYMEのアルバム『FIVE』を聴いた時、ヒップホップ or ポップ? ポップの境界線に入り込む寸前のヒップホップ…。そんなことを思いながら、でも何か他とは違うおもしろさを感じている自分に気付く。
この楽しい感じはなんなんだろう。耳に残る、的を得るリリックと、メロディ、そして心をくすぐるような小技が効いてる洗練されたトラック。本当に楽しいのだ。そんな何かを確かめたくてライヴへと出かけた。
会場が沸きに湧いていた登場シーンを見逃してしまったのだが、細かいドラムンベースと軽快なビートにしっかりとしたラップをあわせた曲「FRESH」で吸い込まれるように入っていった。
ステージど真ん中の“和魂洋才”の文字が目に入る。
上段にターンテーブル、中段、下段はメンバーが広く動きまわれるようにセットしてあるビッグなステージ。さらに驚いたのは曲のタイトルや歌詞が映る電光掲示板までがステージ両端に用意されていた。サビの部分をみんなで歌ったり、手を挙げたり、なんかロックのライヴでもめずらしいようなこの一体感。
ヒップホップはリリックがとても重要で、またひとつの言葉で裏腹な意味を込めたり韻を踏んだりなどおもしろい部分でもある。しかし、他のヒップホップのライヴを観に行くと、常々少しわかりにくい…と、思っていた。しかし彼らのフロウとその視覚的示し方は全くもって明快でわかりやすい。
周りを見てもヒップホップだけを熱心に聴くような観客ではない様子。そんなオーディエンスと共にコール&レスポンスが当たり前の大盛り上がり。なんだか自分が味わったことのない、いつもとは違う不思議なヒップホップの躍動感にいつの間にか私もどっぷり浸かっていた。
前半の山場「ジャッジメント」ではアルバムでも参加していたBLACK BOTTOM BRASS BANDが登場。途端に愉快なオモチャ箱のように会場は早変わり、一気にパーティ・チューンで爆発した。そして中盤ではイントロのアコギが流れると同時に歓声があがり、最新シングル「ONE」を会場全体で大熱唱。
さらに後半の「フリークショー」では近日、6年ぶりのアルバム『Crazy Climber』をリリースする予定でRIP SLYMEもリスペクトしているというMellow Yellowが両端の鉄棒からスルスルッと登場し、またまた会場大興奮。最後の曲「TODAY」では選ばれた女の子1名が会場にあがり、その子を囲むように歌い上げ、この日の本編を締めくくった。
また、どうしても4人のラッパーに目がいってしまうのだが、影で支えるDJ FUMIYAはその技を何気なく披露し、スクラッチもバッチリきめ、そんな細かな音に対しての情熱も伝わってきた。
そして曲的にもテンポよく進んでいったのだが、なんといっても会場を飽きさせない流れを作ったのが本編で3回あったMCだろう。初めはRYO-Zが登場し、かな~り言いたい放題でみんな大爆笑。しかしそれだけではない。会場一体型のプチ・ヒップホップ講座まで行なわれたのだ。
初めはスネアやハイハット、観客の声と共にビートをつくり、その次は「ラップはおもろいよー」とラップ講座。そして最後、「ヒップホップに必要なのは“VIBERATION”。VIBEを感じなきゃー」と言いながら、ステップを披露。「古いよ~」と自ら突っ込みながらも、ヒップホップと初めて出会った人にはわかりやすく、そしてもうかなりのリップ・ファンに対しても飽きさせない見事なパフォーマンスだった。
そしてアンコールが終り、ステージから降りても、現在の彼等と共に子供の頃の映像が流れ、さらに茶目っ気たっぷりなエンタテイメントを見せてくれた。会場は笑いと歓声に最後まで包まれていた。
そしてふと、ステージ上一番初めに目に入った“和魂洋才”という言葉を思い出す。
それは5人の日本人魂を持った集団が、他国で生まれ発達してきたヒップホップという音楽に、新たな息を吹きかける。それがRIP SLYMEの音楽。
彼等は間違いなく、彼らなりのオリジナリティ溢れるヒップホップを表現し、伝えていた。他のどのグループとも見え方も捉え方も違う、ユーモアに満ちた、楽しさを与えてくれるもの、そんなことを彼らのライヴから感じとった。 文●イトウトモコ | |