――先日Stroboのライヴを観に行ったんですが、StroboとDt.とはまた違いますよね。おふたりともStroboというバンドがあるにも関わらず、Dt.を作ったきっかけは? TARO: 作ったきっかけは人がいたから…(笑)。 HIROKI: Stroboは今、一番かっこいいなーっと思ったところを突き進むって感じでやってて、あまりビジネスのことは考えずに、"かっこいいねーっ"てなればいいんじゃないかなっと。でもDt.はメジャーでやってるんで、そういう音楽(ダンス・ミュージック)を聴かない人たちがそういう音楽に入っていけるような、橋渡し的な位置にいればいいかなって。 ――Dt.って、意味は? HIROKI: それって、深くて臭いんです(笑)。「ダウンでタウンです」って言ったりしてるんですが、謎に包まれてますよねー。いやっ、言えないんですよ。ホントにうちら秘密主義なんで…。。 ――メンバーも謎ですよね。パフォーマンスの方がいたり、アートディレクターまでいたり…。 HIROKI: でもみんなでやるって、最近は普通かなと。海外だとレコーディング・エンジニアの人がプロデューサーやったりするでしょ。日本ではレコーディング・エンジニアとかは立場が低いんですよ。すごい才能があって、音楽を良くしてくれるから、それはやっぱメンバーにしたほうがいいんじゃないのって。 ――それじゃ関わる人みんながDt.として…。 HIROKI: そうそう、言ってみれば(宣伝担当者を指して)あの人もメンバーなんで。Armyって書かれてるんですけどね。社長命令なんで(笑)。 ――でもいいですよね。みんなでやっていくって。楽しい感じが伝わってきますよ。 HIROKI: (ワントーン大きい声で)でっしょ──!!! ――『COMMUNE』というタイトルを辞書で引いたら“心を通い合わせる”っていう意味が書いてあってアルバム全体的に、すごく温かいものを感じて納得したんです。
HIROKI: そうですね。オレが'80年代に大好きだったハードコアのCrass(クラス)っていうバンドがいて、その人たちって自分達の仲間を引き連れて自給自足の生活をしながら音楽を発信してたの。
――ヒッピーみたいな感じですか?
HIROKI: そう、ヒッピーじゃないんだけど、その人たちは政治的に思想があってやってたんだ。そういうところからちょっとヒントをもらって、なんか大きい意味でアーティスト同士が音楽だけじゃなく、Dt.っていう村があってそこを開けたり入ったり自由にね、なにか発信できたらいいなって。
――曲はおふたりが中心で作ってるんですか?
HIROKI: 作る割合は半々くらいですね。オレ結構、ヒップホップとか好きなんで、ラップっぽいのをどんどんやりたいなーって。タロウはあんまりそういうのやらないよね。2人共通してはリズム好きなので、リズムが効いてるのが多いかも。
TARO: どうしたいかっていうのは大体わかるっていう。お互いかゆい所に手が…。
HIROKI: とどかない感じ?
TARO: ううん、とどく感じだよ。StroboもDt.も根底にあるものは同じだと思うんですけど、やり方が違うんですよ。Storoboは生っぽく、Dt.はコンピュータでやってるんです。
――機材を使うんですか?
HIROKI: ほぼ100パーセントはコンピュータだね。それから生演奏に変えたり、もちろんミックスしたり。生演奏にしようと思ってる曲は生に差し替えることを前提で作ってる。
――ミクスチャーって一言で言えないほど、いろんな音が入ってますよね。
HIROKI: 聴く側がやっぱりどんどんいろんなものを聴いているでしょ。だからテクノを聴けばロックを聴いてヒップホップも聴いてブルースも聴く。そうなってくるとどんどんいろんな要素が入ってくるのが当然だし、聴く側も自然に聴くようになるし、ジャンルを分けて聴くのがもう古くなってるって思う。もちろん、ジャンルを突き詰めたい人もいるだろうけど、聴く側は何でも聴くから…。
――HIROKIIさんのギターとかってメロを弾くってよりはグルーヴがあるって感じですよね。
HIROKI: そうね、リズムが好きだから。ギタリストとしては結構、失格かもね。弾けるけど弾かないって。
TARO: でも人と違うことやるよね。すごいシンセみたいな。
――エフェクターとか使うんですか?
HIROKI: 「Revolution Pop」(6曲目)って聴いた? あれのオープニングってギターなんだよ。ギター弾いたものをこの人(TARO)がちょっといじって…。全然、ギターっぽくないよね。そういのが好きなんだ。エフェクターは使わないで人力で出す感じだね。
――アルバム聴いてても思ったんですけど、女性ヴォーカルをフィーチャーしてますよね。LIE.tさんもまた、謎に包まれていて…。
HIROKI: 別にフィーチャーしているわけじゃないんだよねー。男の(ヴォーカル)でおもしろいなって思う人って結構いっぱいいるんだけど、女性ヴォーカルはあんまり…。好きなんだけど、R&Bが全盛だから、未だに…。少し速いのをやりたいなーっと。ロックな感じで、Missile (Girl Scoot)とかさ。でもやっぱヴォーカリストがいると、そこがメインになっちゃうんだよね。でもそこをあえて表に出さないで、リリックで勝負すれば最初はいいじゃんみたいな。俺達は"音楽"としてやっててヴォーカリストがメインじゃないし、彼女のためのユニットでもないんで、そこは明確にしたいんですよ。
――アルバムが届いていよいよライヴが気になるんですけど。 HIROKI: 気になるっしょー。みんなをそこで驚かせるから。もう、メンバーとか選りすぐって、モーニング娘。なみに新加入して…(笑)。まあ、新メンバーも来つつ、非常に大人数でやるかもしれないし、非常に少人数になるかもしれない。 TARO: フォーク・デュオかもしれない…。 HIROKI: いや、それはない。 取材/文●イトウトモコ |