『CLUB F』 AICT-1317 3,059(tax in) NOW ON SALE
1Don't You Worry But... 2Escape 3PLEASE DJ 4HOW COOL 5"Doo-bee Doo-bee"Freedom 6UPSIDE DOWN 7Endless night 8Can you see what I see? 9Hang on 10GOLD FISH 11PUSH ME 12MY STAR 13Don't You Worry But…(R.Yamaki's R&B REMIX)
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| 藤井フミヤはファッショナブルである。
ファッショナブルということは、例えばひとつ自分の強力なスタイルがあって──スーツを着る自分はいちばんサマになっており、しっくりもするというような──それを後生大事にリピートしていることとは真逆にある。スーツはおろか、革ジャンからTシャツ、果ては作務衣まで着こなし、それぞれに違和感なく世界を付帯させなければファッショナブルとは言えないだろう。
藤井はチェッカーズの時は、それこそタータンチェックの服が多かったけれども、もともとはロカビリーであるし、ソロになってからは細身のスーツから革ジャン系、ヒップホップに近いものまで何でも着こなしてきた。
それは、音楽性にも言えることで、ロカビリーやロックンロールはもちろんソウルもGSも取り込んで彼は前駆してきた。そして、最新アルバム『CLUB F』はハウスを中核にしたフロアミュージックを藤井が取り込んだものである。
ゆえに、今回のツアーの見どころのひとつは、ハードディスクサウンドをどのように生で打ち出すのか? その際に楽曲の表情はどうなるのか? にあった。
この日のライヴパフォーマンスは、オープニングの「HOW COOL」から7曲目の「Endless night」まで、まったく音が途切れずに進行した。
もちろんこれは、クラブでの音状況を模したものだが、当然のことバンドにもヴォーカリストにも多大なるエネルギーが必要とされる。藤井とバンドはまるで“ランニング・ハイ”になっていくランナーのように音を出し、歌うことに没頭していった。結果として非常にソリッドなエンタテインメントになったことは間違いない。どんどんと音に没頭していくと、オーディエンスへの気配りが薄れるはずだが、そんな次元を越えたところに今回のステージの力点はあるような気がしたのである。8曲目の「Pink Champagne」でブルースハープをプレイした藤井が、何やらハイスキルなクールダウンをやっていると思ったのは、おそらく僕だけではないはずだ。後半は「女神(エロス)」や「Stay with me.」なども“CLUB F”的にアレンジして、データフラッシュの海の中を泳ぎ歌いきる藤井の一意専心さに脱帽するほどであった。
アンコールでは、チェッカーズ時代の曲から「NANA」を披露した。べードラの4つ打ちとワウのカッティングギターが効いたCLUB Fバージョンとでも呼ぶべき「NANA」は、また新しく聴き手を捕らえていくだろう。
殻を脱ぎ、re-bornする藤井の楽曲に注目したい。 |
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