キッド・ロックの愛弟子がツアーの中で作りあげたデビュー・アルバム

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キッド・ロックの愛弟子がツアーの中で作りあげたデビュー・アルバム
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あ~、家に帰りたいよぉ……ってなレコードさ

1st Album

Double Wide
イーストウエスト・ジャパン AMCY-7189
2000年8月23日 2,520 (tax in)

1 イントロ
2 ベター・デイズ
3 ホワッチュー・ルッキン・アット
4 フォロー・ミー
5 ヘヴン
6 ステーキとエビ
7 フーズ・ユア・アンクル?
8 ウィスキー&ウォーター
9 イェー、イェー、イェー
10 エースと8
11 ユー・キャント・テイク・ミー
12 イェー、イェー、イェー(ライヴ)


Matt Shaferは調子が優れない。昨夜は彼の27回目の誕生日で、Kid Rockの待望のロンドン公演当日でもあり、そこで彼は本名以上に有名な別名、Uncle Krackerを名乗って、Kid Rockのバンド“Twisted Brown Trucker”でターンテーブルを仕切っていたのだが。

何かがおかしいと思ったのは、LAUNCHが辛抱強く(もう1時間以上も)待機し続ける部屋に駆け込んで来た刺青入りの特使が、いわゆる手頃な器というやつを探していたことだった。Krackerの具合は悪化しているんだろうか。LAUNCHは親切にもゴミ箱を差し出した。

いつもこうなっちまうんだ!

ようやく挨拶を交したところで、体も大柄なら刺青も大柄なKrackerが「勝手な言い訳には違いないんだが」と自ら認めつつ、うめくように言った。

でも、相変わらず、毎度こうなっちまう! オフの時は平気なのに、こうしてやることがある時に限ってね。やんなっちまうよ!

そんなに心配しなくてもいいのに。Kidについてヨーロッパを回るため、あと何日か早起きに耐えなければならないとはいえ、地元アメリカでは自身のアルバム『Double Wide』が、2ndシングルで軽やかなカントリー風味のバラード“Follow Me”の成功を受けて、ついにプラチナムを達成したのだから。Kid Rockの気性の激しさを陽とすれば、可愛いくらい控え目で陰性のKrackerは、Kid Rockを13歳の頃から知っている。Rock――KrackerはたまにうっかりBobと呼んでしまうこともある――は、彼の上司であり、最良の仲間でもあり、そして今やKrackerのソロアルバムのプロデューサーでもある。あの男に愛想を尽かすことはないんだろうか。

あいつに愛想を尽かすなんて、あり得ないよ」と、人の良いKrackerは笑う。

今は特にね。ふたりともこう忙しいと、1分と同じ場所にじっとしていられない。まぁ、ツアー先ではバスが一緒だからケンカもあるだろうが、いつもってわけじゃないし

言うまでもないが、そのバスもまたKrackerの成功に一役買っている。

Kid Rockがビッグになってくると、Uncle Krackerのレコードを作るために地元に戻って2、3カ月休むってわけにもいかなくなって、だからツアーバスの中にスタジオを用意せざるを得なかったんだ。行く先々でレコーディングしてきたのがこのレコードさ。それしか方法がなかったんだよ

と聞けば“Better Days”や“Follow Me”といった曲に聴いてとれるツアー疲れの感触にも、納得がいくのではないだろうか。そのメロウさは、Kid Rockのレコードの容赦のなさとは雲泥の差だ。

このレコードには、どこかツアーの感じが出てるよな」とKrackerも同意している。 「あ~、家に帰りたいよぉ……ってなレコードさ。これを作った頃には、もうツアーに出てそろそろ2年が経っていた。俺なんか、惨めなもんだったよ

ホームシック?

今は違うけどね」と彼は念を押す。「でも、あの頃はそうだった。一時期なんか、自分んちじゃないところに泊まるのが我慢できなくてさ。家を離れるのがとにかくイヤだった。昔は泊まるといえば友達のところと相場は決まってたのに、『Devil Without A Cause』(Kid Rockのヒット作)でツアーに出た当初は何だかもう……! おっかないくらいだったよ。最初は自分でも何をやってるのかわからなかった。でも、最近は楽になってきたんだ

Kid Rockが全米を股にかけて、Limp BizkitMetallicaと(周知の功績を次々と残しながら)渡り歩いている間のレコーディングだったから、『Double Wide』が日の目を見るに至ったこと自体が、実のところ奇蹟的である。

でも、4台のバスの他に僕らのスタジオ専用車が1台あったから、そんなに大変なことにはならなかったんだ。そのバスだけ“Krackerが曲を書かなきゃならないから、いいから放っといてやれ”って具合でさ。だから、それほど酷くはなかった。ただ、バスの外に出ると色々と邪魔が入ってね。写真撮影だの、取材だの、リハーサルだの、サウンドチェックだの、ショウだの、ストリップクラブだの、マクドナルドだの……どれも基本だけど

Kid Rockを上司に持つ、一番の利点は何だろうか。

上司としてのあいつに、いいところなんてないさ。ひとつもね!」とKrackerは確固たる口調だ。

あいつはかなりビッグになる可能性を持っている。……それだけ船の舵をしっかりとっているし。“こいつは何といってもまずビジネスなんだ。だから、俺の言ったとおりにしろ!”っていうタイプで、そう言うだけの才能もあると思う。けど……上司を好きなやつなんて、いないんじゃないかな。全部取っ払っちまえば俺たちは最高の友達だ。そういう時のあいつのほうが、上司としてよりずっとクールだよ

By Jenny Bulley/LAUNCH.com

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