新曲を作るよりも、この『RYDERS ARMY』を作って精算する。それが俺達のやり方だった。

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新曲を作るよりも、この『RYDERS ARMY』を作って精算する。
それが俺達のやり方だった


5年振りとなるライダーズのアルバムは、セルフカヴァーという形となった。それは、かつてのオリジナル曲を今のメンバーで再構築するということ。

新たな志しがなんとも潔い。

ベテランと言う言葉に甘んじる事なく、今という時代をパンク精神に乗っ取った姿勢で貫き、活動する。そこら辺が若いミュージシャン達からのリスペクトに繋がってくるのだろう。

そんな精神がつまったアルバムについて、結成以来の中心人物J.OHNOに余すとこなく語ってもらった。

野球のボールがホップする感じっていうの? サッカーのドライブシュートみたいなものね


『RYDERS ARMY』

PRIVATE FIVE PFCA-4
2,415(tax in)

1. LET'S GET TOGETHER
2. HORIZON
3. I WANNA BE ON MY OWN
4. IN THE CITY
5. 精神錯乱
6. BRING OUT MYSELF(LIVE)
7. BURST ROCKET
8. ANIMAL STREET
9. KICK THE PAST
10. IT'S MY TIME
11. GOD SAVE THE QUEEN(LIVE)
12. NEW RISE
13. 夢の島
14. 拝啓 偽善者殿
15. 電撃バップ(LIVE)
16. 38BOYS
17. VICTIMS
18. I'VE GOT THE ENERGY(LIVE)
19. 極楽トンボ
20. 雑草
21. EASY COME, EASY GO
22. FROM JUNK STREET



<ライヴ情報>
2001年
4/28(土) 仙台バードランド
5/2(水) 名古屋CLUB QUATTRO
5/3(木) 心斎橋CLUB QUATTRO
5/5(土) 福岡DRUM Be-1
6/2(土) 札幌カウンターアクション
※その他にも、6月に岐阜、岡山、神戸、松山、高知、沖縄を予定!

〔問〕BAD MAN 03-3352-3779


THE RYDERS オフィシャルサイト
www.the-ryders.com
――待望の新作ができましたね。ライヴテイクが入っていたのにはびっくりしました。

OHNO:
いや、まったく別物として捉えていたから、収録するなんて考えてなかったんだ。自分たちのライヴがどんなもんかって確認の意味で録っていただけでね。でも、出来が良かったのと、…今回の選曲はBELLY(G)がやったんだけど、漏れていた曲があったんで入れちゃおうかってラフな感じ。テイクは去年POTSHOTと対バンしたON AIR EASTのときのと、新宿LOFTでのときのモノだね。

――選曲基準はどういったものだったのでしょうか?

OHNO:
BELLYが入って以降、ライヴで演ってる曲が中心になったね。プラス、彼がアイデアを出した曲を選んだ。ま、個人的思い入れを考えたら30曲位はないと…って思ってたわけだけど、絞り込むってよりは、切り捨てられない部分と、変わってもいい形でできるなって部分を重視したかな。当然、皆が聴きたい曲ってのも考えた。

――なるほど。一聴して感じることは、ものすごくライヴっぽいということですよね。

OHNO:
それなんだ。昔のスタジオ作品でも、今ライヴで演るとテンポが速くなっていくんだよね。だから今のライヴのスピード感を大切にしたかった。それとギターとドラムが換わってるという意味では、そのノリは大事にしたかったし、正解にしたかった。こういった構想は4年程前からあったんで、自分的にも自信作だよ。

――なかでもギターサウンドが違いますよね。RYDERSってギターバンドだなって感じました。

OHNO:
うん、RYDERSはギターでキャラクターが作られると思うんだ。その意味でもBELLYはキーマンだね。今は彼と相談して音色を作っているんだ。だから彼が出してくれてる音っていうのは俺がやりたかった音でもあるんだ。

――そのせいか、RYDERS史上最もアグレッシヴなアルバムですね。

OHNO:
BELLYのリズム感、アレンジ能力は大きいんだよ。ただ、これが理想だとは思っていないよ。現状では、ライヴに一番近いとは思うんだけど、まだまだやり切れてないとこはあるからね。

――それから、今作はグルーヴィ感、ヘヴィ感もありますね。

OHNO:
うん。昔はどうしてもかしこまって演奏してたんだよね。環境にプレッシャーを感じちゃってたんだよね。良いスタジオってだけで舞い上がっちゃったりして。でも今は、野球のボールにたとえると、ちょっとホップする感じっていうの? サッカーのドライブシュートみたいなものね。そういうのってバンドの内情が反映されてるのかもしれないな。ま、今のドラマーのほうが音が重くて、ドスンと来るんだ。そうなるとベース音も変わるし、全体のサウンドの印象も違うよね。だからミックスは早かったね。演奏そのまんまって感じだよ。

――これは昔のファンも楽しく聴けますよね。

OHNO:
そうだね。未だにライヴに来てる人、もう来なくなっちゃった人も含めて聴いてもらいたい。とにかくこのアルバム出した以上は一人歩きして、ロックを知ってる人、これから知る人全てに対して聴いてもらいたいよね、俺たちの代表作だよって。

――こういったものを作って、改めてRYDERSってものを確認したり、新しい発見をされたりしましたか?

OHNO:
あったねえ。おれ達の中でのスタジオワークのやり方、アレンジ、音の出し方、昔の曲をやるってことは、宝捜しのようだった。鍵盤を入れたのもそうなんだけど、今までもいろんなこと考えて実験して来たんだけど、どの音を出していくかってものは今後に反映していくね。だから新曲もアレンジなんかから、逆に曲が変わってくるかもしれないね。

――なるほど、温故知新ですね。

OHNO:
新曲を作っていくやり方もあったんだろうけど、俺達はここで一回ラインを引く、清算する意味でもこの『RYDERS ARMY』を作ってから次に行こうのがあったね。ただ現状、昔の曲を今もライヴでも演ってるわけだし、だとしたらその今やってる姿をスタジオ盤で、オリジナル盤としてリリースするってのがおれ達の回答だったんだ。それにね、他人たちがやってようがやってまいが気にしないし、やってないって聞くと余計嬉しいしね(笑)。

――RYDERSは'87年に結成と活動歴も長く、ライヴや音源を出すという活動をずっとやってきましたよね。今回はベスト盤ですが、RYDERSにとってアルバムを出す、ということに対してどういった考えを持っていますか?

OHNO:
俺達にとって、アルバムはその時その時の記録に過ぎないよね。楽曲にしても時代時代でプレイする側ではあるんだけど、当然オーディエンスでもあるわけで、その時に聴いてる音楽なんかが曲に影響を与えていると思うんだ。サウンドスタイル、歌い方なんかも出ちゃうと思うんだよね。そっちの方が大きいから、だからコンセプトって言われると、正直そんなにないんだよね。

――今までOHNOさんとKOHJI(B)さんの2人が中心に活動し、'97年4月にTAKASHI(Dr)さん、'98年8月にBELLYさんが加入してますが、今のメンバーに感じる部分を聞かせて下さい。

OHNO:
KOHJIはもう空気みたいなもんなんだ。一枚岩になってると思うし。ヤツにはヤツの個性があって演りたい音楽もあるだろうけど、それに関しては周波数が合ってるかな。それに対してBELLYが新しい発想があってぶつけてくれて、うまく回ってるな。違う人間が集まって衝突すれば言葉が武器になることもあれば、ストレスが発生することもある。でも、このメンバーは精神的なリスクはないな。音楽やる以前に人間的なキャラクターってあるからね。

――では、2001年4月下旬から行なわれるツアーについて、どういった構想を考えてますか?

OHNO:
とにかく、まあやろうじゃないかってところだね。去年のイベントは誘われてやったんだけど、それじゃ主体性がないじゃない。今回を含め、今年はもっと積極的にライヴやろうよって感じ。そうそう、このツア-では「SO PASSION」(編集部註:RYDERSの代表曲。POTSHOTがカヴァーした)のシングルを配るよ!

取材・文●中島儀幸

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