音楽配信だ何だって言っても、結局残っていくのは“メロディ”

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音楽配信だ何だって言っても、結局残っていくのは“メロディ”

'95年のデビュー以来、人の心に残る歌とメロディを追求し続けてきたバンド、FIELD OF VIEW

2000年は“ロックとクラシックの融合”を表現したシングル「Beautiful day」や、デジタル・サウンドを取り入れた初のコンセプト・アルバム『CAPSULE MONSTER』を発表するなど、新たな試みを見せてくれた彼ら。

そして今年、21世紀はどんな展開が待っているのか……。ヴォーカルの浅岡雄也に話を訊いた。


「Truth of Love」
Beat reC COCA-15386

1.
Truth of Love
2.
For you
3.Truth of Love(Backing Track)


トライアルとチャレンジの連続
でも、最終的には歌ありき!

――2000年は実験的な活動をされていましたよね。

浅岡:
そうですね。昨年は“トライアル・イヤー”と名打って活動してきたんで。その中で僕が追求してきたのは、どこまで歌を伝えられるかってことなんです。自分たちの好奇心を満足させつつ、ちゃんと作品としても成り立つように、FIELD OFVIEWの幅を広げていきたかったんですね。だからいろいろ挑戦しましたけど、最終的に“歌を届けたい”っていうところにメンバーみんなが立ってくれているので、やってて楽しかったですね。

――次はどんな作品がくるのかな…と思っていたら、新曲の「Truth of Love」はすごくシンプルなラヴ・ソングで。

浅岡:
いろんなことをやってきたからこそ、シンプルにできた部分もあるんです。でも、ここまでシンプルなアプローチっていうのは、今までにないはずなんで。また新たなチャレンジという感じはしてますけれども。

――21世紀最初のリリースになるということで、プレッシャーなどは感じましたか?

浅岡:
それは、少しはありましたよね。最初は「21世紀一発目だから、すごく良いものじゃないとダメだ」っていう気負いがあって。でも結局、そういう飾りみたいなものを全部取って、力を抜いて自然体でやる方が良いものになると思ったんです。そうして試行錯誤していくうちに、この「Truth of Love」のメロディが一番、今の僕たちに合っているんじゃないかと。時期的にも、春という季節にぴったりだなと思いましたし。

――春の歌を作ろうっていうテーマは最初からあったんですか?

浅岡:
ここ最近「冬のバラード」('99年12月リリース)、「秋風のモノクローム」('00年10月リリース)…と季節ものを出していたんですけど、「そういえば春ってないよね」ってことになって。だからテーマはまず春だなっていうところから始まって、そしたらメロディが「恋愛を書きなさい」って呼んでたんですよ。ちょうどその頃に世界の成り立ちみたいなものは結局、愛情なんだなって思うことがあって。タイトルを“Truth of Love=真実の愛とは”として、最初は重いテーマの詞を書いたんですけどちょっと重すぎたので、もっとわかりやすく恋愛初期衝動…みたいなものを描いてみたんです。

最後に残っていくのは“メロディの良いもの”
だから僕たちが最初に掲げたテーマは間違ってなかった

――カップリングの「For you」もラヴ・ソングですが、こちらは恋人にプロポーズする…という歌ですよね?

浅岡:
プロポーズは、まだしてないかなぁ。その手前ですよね。なんか最近、ささやかなことにも幸せを感じられるようになった気がするので、幸せなものを書きたかったんですよ。春だし。

――FIELD OF VIEWの歌は、君と僕の世界を描いたラヴ・ソングが多いと思うんですけど。

浅岡:
愛情とか恋愛とかって、人が感情を持ち始めた頃から死ぬ時まで、そんなに大差がないと思うんです。人を好きって思うことっていうのは…。その中の一部分を切り取っているのである意味、誰にでも当てはまるだろうし。それに恋愛模様って他人のことを見てると、すごく面白いんですよね。

――浅岡さんはよく人間観察とかするんですか?

浅岡:
僕はよく交差点に行きますね。というか、ちょうど上から交差点を見下ろせるところに喫茶店があって、そこでジーッと見てるんですけど。あの2人は付き合って何年目で、どこの大学で、どこに住んでて、これからどこへ行くんだろうな…とか(笑)。

――喫茶店で聞き耳をたてて、カップルの会話を歌詞の参考にしている人もいるみたいですけど。

浅岡:
僕は一応、盗み聞きはしてないです(笑)。人を見て、想像しているだけで。

――そういうイマジネーションは詞に限らず、曲を作る時にも役立ちますか?

浅岡:
メロディが降りてくるっていう感覚はありますね。だから常にこういうモバイルものを…(と言ってカバンからICレコーダーを取り出す)、持ち歩いてるんです。道歩いてる時が一番、メロディが浮かぶんで。

――さすがに道端で歩きながらはできない?

浅岡:
いや、吹き込みますよ(笑)。今日もさっき使ったんですけど、前にいた人が思わず後ろを振り返ってましたね。ちょっと危ない人に見えるかもしれないけど(笑)、そこで恥ずかしいと思って良い曲が逃げるんだったら、もったいないんで。

――リリースが決まったから曲を作るというのではなく、浅岡さんの場合はいつでも曲を作れる体制に入っているんですね。

浅岡:
もうホントにそれが一番やりたいことですし、音楽が趣味ですから。

――自宅でも音楽に没頭する日々?

浅岡:
もう、部屋から出てこないです(笑)。トイレとゴハンの時以外はずっと部屋にこもって、機材に向かって「ああでもない、こうでもない」って。

――何時間もパソコンの画面を見ていると、飽きたりしませんか?

浅岡:
いや、結局は音をいじっているわけですからね。それにちょっと休憩っていっても、となりのパソコンでネットつないだりしてるから。

――休憩中も?

浅岡:
休憩の意味がないですね(笑)。でもそれが楽しいんですよ。

――音で遊んでいるっていう感覚なんでしょうか。

浅岡:
そうですね。昔じゃできなかったことが、今は家で簡単にできるんですから。それはそれは面白い! 面白いといえば、よく遊びにいくサイトがあって、同じソフトを使っている人たちが集まって共通の曲を作るんです。例えば僕がピアノを弾いて「こんなフレーズできたよ」って入れると、誰かが「じゃあ俺、こんなドラム入れるよ」って。英語のサイトなので分からないこともあるんですが(笑)、それやってるとね、一晩なんてすぐ経っちゃいますよ。

――他のメンバーの方はどうですか?

浅岡:
いや、そういうのは僕だけですね。ネットをやっていないメンバーもいますから。そのわりには「今年はIT化を目指す」とか言ってるんですけど(笑)。

――ちなみにネットをやっていないメンバーって……。

浅岡:
誰だと思います? まぁ、イニシャルがNの人ですけれども(笑)。

――なるほど。それでは最後に、21世紀のFIELD OF VIEWの展望を教えてください。

浅岡:
世の中にインターネットが普及して、音楽配信だ何だって言っても結局、最後に残っていくのは“メロディの良いもの”だと思うんです。だから僕たちが最初に掲げたテーマは間違ってなかったと思いますし、これからも心に響くような歌を届けたいですね。そして今まで通り、自分たちのペースで歩き続けたいと思っています。

取材●水越真弓

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