【全米No.1エンターテイメント】と【渋谷女子高生文化】

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二十歳のディーヴァが結びつけた
全米No.1エンターテイメントと渋谷女子高生文化



『Mi Reflejo』

2001年02月21日発売
BVCP-21177 2,548(tax in)

1. Genio Atrapado
2. Pero Me Acuerdo De Ti
3. Falsas Esperanzas
4. El Beso Del Final
5. Ven Conmigo
6. Si No Te Hubiera Conocido
7. Contigo En La Distancia
8. Cuando No Es Contigo
9. Por Siempre Tu
10. Una Mujer
11. Mi Riflejo


『My Kind Of Christmas』

2000年10月24日発売
BVCZ-24013 2,548(tax in)

1. Christmas Time
2. This Year
3. Have Yourself A Merry Little Christmas
4. Angels We Have Heard On High
5. Merry Christmas Baby
6. Oh Holy Night
7. These Are The Special Times
8. This Christmas
9. The Christmas Song
10. Xtina's Xmas
11. The Christmas Song(Holiday Remix)
'99年7月にリリースしたデビュー・シングル「ジニー・イン・ア・ボトル」がいきなり全米チャート5週連続1位の大ヒットとなり、アメリカのシンデレラ・ガールと注目を浴びたクリスティーナ・アギレラ

同年9月リリースのアルバム『クリスティーナ・アギレラ』も1位を獲得(結果的に1000万枚以上のセールスを記録)、さらには2000年のグラミー賞でもブリトニー・スピアーズなど同世代のライバルを押しのけ、ベスト・ニュー・アーティストを受賞、とまさに現在飛ぶ鳥を落とす勢いのディーヴァが待望の初来日公演を行なった。

ジャパンツアーの最終公演となる2月1日、会場は東京・渋谷公会堂。

前日は隣に位置するNHKホールで公演が行われ、大盛況だったというが、この日も会場は超満員。観客の大半が女性で、その中でも女子高生の割合が非常に高い。しかも制服のまま駆けつけていた。

最近は、全米No.1との称号がそのまま日本でのセールスや動員に結びつかず、洋楽関係者にとって、ゆゆしき事態を招いているが、クリスティーナ・アギレラに限っては、驚くほど日本のファンに受けいられており、そんな不安も杞憂に終わってしまうほど。人気の高さにはじめは不思議な気もしたが、彼女がステージに現われた瞬間にその理由が分かったような気がした。

目を引くブロンドの長い髪に愛くるしいルックス。そして白、赤、青を基調にしたセクシーな衣装に身を包んだ小柄な容姿は日本人、それこそそこら辺の女子高生と変わらなく、このまま会場を抜け出して渋谷の町を歩いていても違和感なく馴染んでしまうのではないか、と思うほどであった。変なたとえだが、アメリカ版小柳ゆき。そんな身近な存在感が人気の理由なのだろう。

なんでも彼女は、10代を日本で過ごしたこともあり、「日本は第2の故郷」だと言い、同日公演前に行われた記者会見でもプレゼントされた「キティちゃん」の巨大人形に大喜びしていたという。

さて、肝心のステージだが、ヴォーカル、パフォーマンスとも、全く問題のない充実した内容だった。

オープニングの「ジニー・イン・ア・ボトル」からエモーショナルに疾走し、堂々としたステージを展開。ヒット曲を中心にラテンナンバー、カヴァー曲と多彩なアレンジのナンバーを小気味よく連発する構成が、会場を盛り上げ、ファンもクリスティーナの一挙手一投足に敏感な反応を見せる。

彼女は、2000年8月から10月までのアメリカ全土でハードなツアーを行っており、この日のステージもその経験もいかんなく発揮されていた。20歳とは思えないステージ度胸は、登場からわずか数分で地味な渋谷公会堂をアメリカの豪華なホール塗り替えられてしまったかのような錯覚に陥らされるほどであった。ここが人気者のみが持ち得るマジックというか華なのだろう。

また、ダンサーを含めて10人を超える大所帯のバックバンドを率いるフロントマンとしての力量も素晴らしく、全体をグイグイ引っ張る。

そして、ライヴのハイライトは彼女のヴォーカリストとしての実力の高さである。昨年秋にリリースされたクリスマス・アルバム『マイ・カインド・オブ・クリスマス』において、スタンダードを立派に歌いこなした歌唱力、そして名曲に対して臆面もなく真正面から立ち向かった潔さをライヴで見事に実証。

特に音数の少ないバラード曲では、それがダイレクトに際だち、持って生まれた地声の強さと緩急を使い分けたテクニックに鳥肌が立つほどであった。

時間にしてわずか1時間半ほど。アンコールも含めて13曲というコンパクトなものであったが密度は濃く、メリハリの利いた構成が心地よかった。

システマティックと言われれば、そうとも感じるが、彼女の20歳らしからぬ堂々とした存在感とそうはいうものの若さと勢いが解き放つグルーヴが上手く交差したバランスの良さに圧倒された。

しかし、全米のトップクラスのエンターテインメントと東京渋谷の女子高生文化がこのような形で融合するとは。

今月21日にようやく日本リリースされるはスペイン語で歌うアルバム『ミ・リフレホ』は今年のグラミー賞に2部門でエントリーしており、ライヴでの勢いそのままに今年も活躍を続けそうである。

次回は間違いなくもっと大きなホールでの公演になりそうだ。

文●竹中吉人

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