2001年から場所も変わり新たに始動!イベント‘TIGHT’
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2001年1月25日at Club Asia |
今は無き渋谷CAVEでDJ YAS、DJ QUIETSTORM、そして1945(KURANAKA+ARI)が定期的に開催していたイヴェント“TIGHT”。 このイヴェントの売りはやはりビートにこだわっている点だ。アブストラクトあり、イル・ビエントあり、米国西海岸のアンダーグラウンド・ヒップホップありと、実に多彩な選曲が楽しめる。今回は西麻布Yellowから渋谷CLUB ASIAに場所を移して再開された“TIGHT”に潜入してみた。 DJのセットは23時から一時間おきにDJ YAS→QUIETSTORM→1945というルーティーンを組んだもので、これを2セット。
プレイ自体はいつも通り擦りを入れつつという手法だったが、ところどころでわざとも 取れるビートのずれをつくり、それが聴き手に異様な嫌悪感と興奮を生むプレイを展開し、脳内麻薬を噴出させてくれた。 中でも印象的だった選曲は妄走族、BOSS THE MC、刃頭がプロデュースしたSUIKENの作品などの日本人ラッパーの皿をチョイスしている点。 彼がかけるとそうした作品の"鳴り"までも進化して聴こえるから不思議だ。 また、DJ YASがプレイしているときに一際目立っていた外国人男性がいたので、よく見ていると、なんとスケーター界のカリスマ=トミー・ゲレロではないか!!!! 彼の近くにはカリスマ・イラストレーターであるマーク・ゴンザレスまでもがいたそうだが、どうしているのかとプレイ後のDJ YASに尋ねたところ、 「トミー・ゲレロとね、一緒に曲を制作しているところなんだよ。やっと楽しいことをできるようになってきて、スゲエ嬉しいんだよねぇ」 と、ほろ酔いの目を嬉しそうに細めながら語ってくれた。 うぉぉっ、これは大事件でっせ! とにかく二人のコラボレーションを早く聴きたい!
スクラッチもガンガン入れて、フェーダーを高橋名人(どこへ行っちゃったんでしょうね…)もビックリの早さでカットしまくり! 筆者も家でシコシコとフレアやクラブの練習をしていて、難しさを知っているだけあって、あの高度な切れにはひたすら感心してしまうだけ。 また、途中でラッパ我リヤのアルバム『ラッパ我リヤ伝説』の冒頭に入っていたナレーションを効果的に使い、アブストラクトへと選曲を転換。 かけたのはリリースされたばかりのDJ KRUSH『漸-ZEN-』から、COMPANY FLOWの参加している楽曲(ちなみにこの曲について、DJ KRUSHは「なんか戦車っぽい曲だよね」とおっしゃっていました)や、CYPRESS HILLのクラシック、DJ KENSEI率いるINDOPEPSYCHICSの楽曲、COMMONや、OUTKAST「Ms.Jackson」など、実に幅広いものだった。全体的に煙たい感じのするものばかりで、QUIETSTORMのキャラにはまり過ぎ。
今回も異様な音で幕開けし、ARIの二人が奏でるサンプリング・ソースをドーナッツ盤のレコード に 合わせてパフォーム。もう、ダブ特有の浮遊感 と、ところどころで挿入されるヒップホップ・ビートが脳を高揚させてくれて、最高のテンションに持っていって くれた。 筆者はテキーラをストレートでガンガンに飲んでいたので、その音質の気持ちよさに、持っていかれ、屋根が宇宙よりも高く感じれて最高だった!(大丈夫かい…) 先ほど、“ところどころで挿入されるヒップホップ・ビート”と書いてしまったが、彼らの選曲にはほとんどビートが無い部分も気持ち良い部分なのだ。 …というのも、DJたちがリスナー側に“こんなビートでどうよ”と提示してしまうよりも、DJが上ネタを流してくれた上に、フロアにいる人間達が脳内で大好きなビートを打ち込んだ方がより楽しめると、俺は考えているからだ。 人間たちが600万通りの死に方をチョイスできるように、600万通り、いや、それ以上のビートがあって、それを脳内で選択できるのが本当の贅沢なのではないだろうか? なんか変なことを言っているように思われるかもしれないが、この“TIGHT”というイヴェントはそんな贅沢な音楽の楽しみ方ができる場所なので、是非とも興味が湧いたなら行ってみるべきだと思う。 以上、酔っ払いのライターからのレポートでした。 |
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