奇才・平沢が提唱する“真”のインタラクティヴ【パート2】

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奇才・平沢が提唱する“真”のインタラクティヴ【パート2】

前回に引き続き平沢進(P-Model)インタービューの2回目をお送りしよう。

観客の反応およびインターネットを経由してアクセスさされた情報によって、ステージの進行そのものが変化するという大実験「インタラクティブ・ライブ」をこれまですでに7回行なってきたソロとしての平沢進だが、今回すでに行なわれた大阪でのライブ、今後予定されている東京のライブは、アルバムのコンセプトと大きくリンクした内容になっており、そのコンセプトを知らずしては、本当のエンディングを見ることができないのだ。

実際に大阪での2回のライブでは最終的な到達点には達せず終了してしまったわけだが、前回と今回のインタビューを総合すれば、その中にかならずやトゥルー・エンディングを“開花”させる鍵が見えてくるはずだ。

▲今回のステージでオーディエンスに与えられた大命題がこれである。

▲オーディエンスの声をリアルタイムに取り込み、分岐をコンピュータで制御する。二者選択のストーリーで、オーディエンスはL(左)を選択。声量のバロメーターがぐんぐんと上がっていく様子。

▲インターネットからのアクセスにより、壁が崩壊し、次への展開へ向かう1シーン。

▲身体に取り付けられた“ミブリ”を用いて、映像のダイアルを回す平沢。



平沢進本人からロンチメンバーへ
コメントが届いています

前回は、アルバムについて、またアジア&アジア社会における聖なる存在“オカマ”の話をうかがいましたが、今回は「ライブ」についてのお話を聞きたいと思います。まずインタラクティブ・ライブということは、何種類もの進行パターンがあるわけですよね。

平沢進:

そうです。最初に行なったものでは実に108通りもあったんですね。それが今回は洗練され、数十通りにまでシェイプ・アップできています。それでもこのチャートを組むには大変な時間と労力…そして膨大な費用もかかるんですよ。ただし、それは私の活動に賛同してくれる多くのスタッフによって支えられているからできることなんだと思います。もしこれを他でやろうとするなら、それこそ大変なことになるはずですから。

●それらのプログミングはすべて平沢さんが自らの手でされると聞いたのですが。

平沢:
すべてAMIGA(コンピュータ)を使って行なっているんですが、逆にアミーガだからこそできるものだと思いますよ。とは言え、ちょっとしたミスで上手く動かなくなることがある。かつてのインタラクティブ・ライブでは、途中でエラーが発生し、40分程度もライブが中断してしまったこともありましたから(苦笑)。

●非常にリスキーですね。

平沢:
オーディエンスのその場の反応や判断、リアルタイムのインターネットからのアクセスでストーリーが分岐・展開するからこそインタラクティヴなわけで、演出だけを取り繕って決められたストーリーが展開するのでは、意味が全くない。そのために背負うリスクは確かに大きいのだけれど、どのようなストーリーに展開していくか、本番では我々もスタッフももの凄い緊張感と達成感が得られるんです。

●今回ミブリ(ヤマハが開発した身体の動きを検出し、それをMIDI信号化するアイテム)は登場してます…よね? あのダイアルを回すところで。

平沢:
そう。分かりづらかもしれないね。なんたってミブリは、袖の下から少し見えるぐらいだから…。結局あの部分もリアル・タイムでミブリとリンクさせて画像を動かしている。やはりあらかじめ決まったムービーを使うことはしない。それでは意味がないからね。上手くいくかもしれない、いかないかもしれない…という緊張感が、このインタラクティブ・ライブには大切な要素になっている。これは私だけではなく、スタッフ含めて全員がそう思っていることなんだ。

●ミブリはあのパートだけですか?

平沢:
いわゆるトゥルー・エンディングに到達すれば、そこでミブリを使うシーンがあります。もちろんどう使うかは、本番までのお楽しみですが、とは言えそこには到達しない可能性もありますね。まぁそれはそれでしかたがないことだと思っています…。

●シェイプ・アップしたとはいえ、分岐の通り道は数十通りもあるわけですから、当然一度も通過されない進行パターンもあるわけですよね。

平沢:
たくさんありますよ。だけど、それを惜しんでいてもインタラクティブ・ライブの意味はないし、こちらが一方的に提示するのではなく、オーディエンスが体験しているこの現場の中にいくつもの可能性があることを感じることができれば、私としては、どんなルートをたどろうと、それは成功と言えると思います。それが目的なんですから。逆に私も含めてスタッフも、オーディエンスが望んでいるだろう“本当のエンディング”から外れていくことも、それはそれで楽しめないと…。

●今回のステージではエンディングのパターンは?

平沢:
今回は全部で8パターンです。

●先日大阪では、2日間行なわれたうち、初日は崩すべき“壁”が崩れず、2日目は、壁は崩れましたが、最終目標である「賢者のプロペラ」は回転しませんでしたが。

平沢:
そのどちらもパターンのうちのひとつですけど、でも、先日のライブを観た観客は、すでにコツを飲み込んだはずですよ。2日目は惜しかったけれど、クランクの選択が…ね。だから今度東京で行なわれるライブでは、きっと本当のエンディングを迎えることが出来るかもしれないですね。…でもダメかもしれない(笑)。そこがインタラクティブ・ライブの面白い点ですね。

●このインタビューを読んでいる読者に対して、トゥルー・エンディングへのヒントをいただくとしたら?

平沢:
やはり前回のインタビューでも話題になった“東南アジアのオカマ”、それと、今回のアルバム「賢者のプロペラ」のコンセプトでもある“錬金術”がキー・ワードですね。インターネットからアクセスしてくるオーディエンスの反応が充分で、会場にいる観客の反応が正しくあることが、まだ見ぬエンディングへと導くことと思います。

●東京でのライブは大阪のものと基本となるセットは同じですか?

平沢:
基本は同じ。ただし部分的にブラッシュ・アップ、グレード・アップしているところは設ける予定だ。

果たして東京で行なわれるライブでは、“コンユンクティオ=結合”が成就し、目的の“大-ロタティオン”は訪れるのだろうか。そしてその暁には、世界はどう変わるのか!?

インタビューにもある通り、これは読者である貴方自身が選択することで変わる。

その変化を自分の目で確かめてみなければ、真の平沢進を理解したとは言えないのだ!


奇才・平沢が提唱する“真”のインタラクティヴ【パート1】はこちら


大阪2日目にあたる11/12の様子をロンチが追ってみよう。
このあたりにトゥルー・エンディングへのヒントが隠されているに違いない。

▲二者選択がオーディエンスに与えられる。
▲その時オーディエンスは右を選択
▲分岐は決定し、紫の花の道にストーリーは進む
▲その先でなんと、クランクをゲット!
▲がちょーん、このクランクじゃだめなのか?
▲な、なんということだ…。
▲………。
▲呆然と佇むオーディエンス達。真のエンディングを迎えることが出来なかった…。
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