THE STREET SLIDERS <LAST LIVE>速報

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2000年10月29日、日本武道館。冷たい小雨の降る日曜日、午後四時。大抵のロック・コンサートよりも少々早めに設定された開演時間は、この日をもって17年間のバンド活動を終えるTHE STREET SLIDERSの<LAST LIVE>が、何か特別なものであることを予感させた。ステージをぐるりと取り囲むように、ファンで満たされた客席。2年前のデビュー15周年記念ライヴのときとはかなり違う光景である。ステージの上には、ドラムセットと数台のアンプとスピーカー、それに照明機材がちょっと、という殺風景な舞台。そして定刻を20分ほど過ぎた頃、終焉のときは始まりを告げた。THE STREET SLIDERSの4人が現れ、ハリーが右手を上げて「ハロー」と一声。いつもと何も変わらないオープニング。そう、この<LASTLIVE>は、特別な演出も過剰なファイナル感もない、いつも通りのTHE STREET SLIDERSのライヴだったのだ。本編ラストの「TOKYO JUNK」、アンコールの「SO HEAVY」が終わるまでは。
ハリーお馴染みの“終わり”の合図である“タオル回し”は、この時点ではまだ出ていない。当然、アンコールを求める拍手は鳴り止まない。THE STREET SLIDERSのライヴの2ndアンコールを、私はこの日初めて観ることになった。そして、そこで演奏された「のら犬にさえなれない」が、THE STREET SLIDERSとして鳴らす最期の音となった。
ジェームスがベースを下ろし、ZUZUがドラムから離れ、ハリーがギターを置き、最後に公平がギターを肩から外した。それからメンバー同士で固い握手を交わし、ジェームスがハリーの肩を抱いた。全方位のファンに手を振り、ZUZU、ジェームス、公平がステージを後にすると、ハリーが一言「サンキュー!」という言葉で締めくくり、タオルを回さず、ステージを降りていった。そして、メンバーの消えたステージには青い照明が点り、その中で「虹を見たかい」が流れていた。
あまりにも淡々としたフィナーレではあったが、それこそが17年間変わらないスタイルを貫き、珠玉のバンドサウンドを奏で続けてきたTHE STREET SLIDERSの存在証明だったのかもしれない。
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