ベンチャービジネスに乗り出した多才な兄弟デュオ
ベンチャービジネスに乗り出した多才な兄弟デュオ |
Fortune 500企業入りを果たしたMaster PのNo Limit Recordsと彼のライヴァルであるHot Boys一派の成功には、ヒップホップ業界全体が今でも畏敬の念を抱いているが、最近では際限ないくらいの現金を儲けようともくろんでいるニューオリンズのレーベルヘッドはP. BabyとSlimだけに限った話ではない。 先ごろNo Limitの主要アーティストだったKane & Abelは、自身のインデペンデントレーベルMost Wanted Recordsに関して、Distribution North America(DNA)と数百万ドル規模の配給契約を結んだ。彼らは4作目のアルバム『Most Wanted』をリリースしようとしており、これにはデュオのトレードマークとも言えるギャングスタ風ゲリラファンクが16曲収録されている。 ニューオーリンズ出身の双子である彼らがゲームに戻ってきた以上、プレイを続けることを計画しているだけでなく、もちろん勝つことを目標にしているのだ。 Most Wanted Recordsではゲームの流れを変えるために、トップクラスの音楽タレントの作品だけでなく、ソフトウェア、書籍、映画、さらには都会的な靴の類の販売にまで乗り出そうとしている。Kane & Abelは出版の世界ではすでにおなじみの顔である。 '99年に彼らはドラマティックなEyes Of A Killerで、小説をしたためた最初のラッパーとなった。二人はDonald GoinesやIceberg Slimsといったあたりと比較されるような文体で、このほど第2作となるSpeed Of Darknessを仕上げたところだが、これはCNNで公開処刑される最初の死刑囚について書いた物語のシリーズ第1弾となる。 ゴシップや推測の内容とは相反して、Kane & Abelは以前のレーベルNo Limitとは友好的に別れたと強調している。彼らのNo Limitでの活動期間は短かったが、Kane & Abel(またの名をDavidとDannyのGarcia兄弟)は元レーベルボスのMaster Pから多くのことを学んだという。 「彼にはレーベルの経営方法を教えてもらったようなものだ」とKaneは説明する。 「彼から学んだ主なことのひとつは、常に自分自身を信じるということだ。彼が3億6000万ドルを儲けてFortuneのリストに載ったとき、僕たちはそれを予想していた。なぜなら彼は何年も前からその偉業を実現させると公言していたからだ」 しかしながら、Kane & Abelは自身のレーベルを立ち上げる前に、No Limit離脱後の新作『Rise To Power』をElektra Recordsから'99年にリリースしている。だが、このパートナーシップは二人がElektraから充分な関心を払われていないと感じたために、あっというまに終わりを告げてしまった。 それでも彼らはより理解があって頼れる配給元を探しつつ、いまだに係争中の連邦薬物共謀法訴訟にも対処しなければならないにもかかわらず、Most Wanted Recordsを自身の独立した音楽帝国へと拡大することに積極的かつ専念し続けてきた。 Garcia兄弟はニューアルバムとヴェンチャービジネスに興奮しており、自分たちのハードワークと強い決意の成果を享受しつづけている。 「僕たちはラジオとかビデオとかのサポートなんかなしに、100万枚以上のアルバムを売ってきた」とKane。 「だから、僕たちのことを感じてくれて、関わりを持ってくれるストリートのキッズたちのためにレコードを作り続けているのさ」 「僕たちは自分たちのやり方でレコードを作ることによって、キッズたちの意識を高めたいと努めている」とAbelが付け加えた。 「僕たちの会社はインデペンデントだけど、10億ドル企業がサポートしてくれている。それで利益の100%が得られるんだから、これに勝るものはないだろうね」 by Adell Henderson |