パブリックイメージをブッ壊せ! ロケンローなアルバム『Pretty'n'Brutal』が大爆発
確かなキャリア=パブリックイメージをブッ壊せ! かわいい反面狂暴な音楽性は初期衝動のみのザラザラなロックンロール。中山加奈子(元プリンセス・プリンセス)、澄田 健(LOOPUS)、MAD大内(元ANTHEM、BANBINO)、芳賀 勇(元BANBINO)から構成されるVOO DOO HAWAIIANSは、自身のバンドについてこう語る。 「ロックバンドのライヴを観て何がカッコいいんでしょうかって言ったら、こういうライヴなんだって分かっているんでしょうね」(中山) 「ギターがギャコギャコしててベースはゴーンみたいな!」(MAD) ロックの持つ開放感、大爆発! 晴天の霹靂か開き直りか、そこんとこ探ってみました。 |
7/27にリリースされた 1stアルバム 『Pretty'n'Brutal』 アルバム収録曲 「E.V.D.H.」の ビデオが観られます! アルバム収録曲 「番犬」の ビデオが観られます! | ――『Pretty'n'Brutal』と題されたアルバムがリリースされました。まずはそのレコーディングの模様から聞かせて下さい。 MAD:ひゅん!ってすぐ。 中山:早かったねえ。 MAD:だって演り尽くしてるもんね、ツアーのすぐ後だったんで。 中山:まっとうな形ですよ、本当に。ライヴ演ってその中でアレンジして…という流れだったんで、最高な形で録音できましたね。 澄田:旬な音は録れたと思うよね、時間が少ない中でも集中して出来たので。 ――ある意味、ライヴがプリプロだったということですね。内容に関しても聞かせて下さい。 澄田:1枚目だから1曲目から宣戦布告してってのはありましたね。 MAD:ミニアルバムということで、散漫にならないようにって考えしかなかったな。 澄田:やっぱりバンドの1枚目ってあるじゃん、2枚目にカッコ良いアルバムと1枚目にカッコ良いアルバムって違うんだよ。そういう意味で本当に1枚目にカッコ良いアルバムを作りたかったね。○○風ってないんだけど、1枚目でそういうのが見えたら良いなって思ったね。 中山:狙って作ってないんですけど、もし狙っているとしたら元・○○って言うのをブッ壊す、それくらい爽快なヤツ。あー、これやりたかったんだって言われる位がいいやって。それくらい無謀なヤツ。 MAD:幼児退行っていうかさあ、そんな感じなんじゃないかな。年食うとさ、子供みたいになっていくことあるじゃない。もう一度原点というか、BTTB、バック・トゥ・ザ・ベイシック。だからリズムはアナログで録りました。プロツールズ(プロ御用達のコンピュータ・ソフト)で録ってどうすんだって(笑)。 澄田:環境設定が大事なんだな。最初のデートでさ、いきなり外行って手繋いでってじゃなくて、良い店用意してって。だからそのとっ掛かりとしてはよかったな。 MAD:改めてインタヴュー受けると説明する気が起こらんね。“聴け”っていう事しか言えないね。身体でやってる感じがあるんだろうね。皆はどうなんだろ?。 澄田:聴いてもらいたいねって本当に思いますね、聴いたほうはどう思うんだろうなって。 芳賀:僕は、黙って聴いてもらいたいですね。あんまり説明できないですよね。何しろベースを弾いた時間が全体で20分くらいしかないんで。 (全員大爆笑) MAD:まあ、そんなことができるって良いですよ。だって1番目に演奏した奴が一番良いんだもん。それをミスしないで出来るって言うのは伊達に30代じゃないなって。一発で決められるっていう。 澄田:演奏もね、説明しようと思えば出来るんですよ、今の技術だったら。でもそれを含めて説明の必要がない。そういうのやりたいのかもしれないね、このバンドは。説明的になるとサウンドが、グルーヴが表面的になるでしょ。凄くペラッペラになるでしょ、それは避けたいな。 MAD:イメージさせなくなるでしょ、自分で作っているヤツは分かるはずだよ。10あるヤツに対して10作ると10にしか感じないけど、5くらいに作ると相手は10に感じてくれたりとか、イメージさせる遊びとかさ、そういうものを作る必要があるな。 澄田:そういうのが好きなんだろうな。もちろん分かりやすさってあると思うんだけど、自分等にとって解りやすいものってそういうもんなのかなってのがある。だから録るんだったらこういう方法取らなあかんかなってのがある。このバンドは。それを最初のアルバムでやれたってのは大きいかな。 ――ミックスもすんなりと作業できたのですか? 澄田:ミックスなんかは曲の並びもあるからそりゃあ考えるけど…、曲順は悩んだかな。皆の思いもあるし、そりゃ1枚目だからって意気込みもあるから。今聴いたら何、曲順悩んだんだろっての無きにしもあらずなんだけど…。一回、1stって形をちゃんと作りたかったんだろうな。責任取れることを。 MAD:エチケットとしてね。 澄田:やりっ放しでカッコ良いこともできるんだけど、それはしないほうが良いかなって。 ――バンドに自由な空気を感じますね。肩肘張ってないムード、それはうらやましい話ですよ。 澄田:マイペースだから良いのかなあ。 中山:最初は月1回のライヴから始まったんだけど、CDや今回のツアーもそうなんだけど、純粋なんでしょうね、みんなこのバンドに関しては。計算してないんですよ。キャリアは凄いくせに、同じくらいピュアに考えているのね。だからいい話もどんどん来るんじゃないかなぁ。 MAD:初期衝動っていうの、それを一番大事にしてるかなあ。彼(澄田)はねえ、このバンドではいろんな意味でキーマンだったりするんですよ。VOO DOOってサウンド面ではギターが特色だったりするじゃない。それだけじゃなくて、例えばレコーディングでもわざわざOKテイク出ているのに、もう一回もっとメチャクチャに演ろうって。後から聴いたらそっちのほうが良いんだなぁ。知らず知らずのうちに小さくまとまっていっちゃうんだよ。 澄田:うーんとねえ、良い子になってもしょうがないでしょ。そうじゃなくて全体で何がカッコ良いかって言うのがポイントなんだよね。このバンドはねえ、ライヴから始まってるじゃない! それが重要なんです。R&Rってダンスミュージックだったりするじゃないですか。それがこのバンドでは出来るので面白いんです。リズムが凄く感じられてね。だから自ずと決まってくるんですよ、カラーが。このメンツだったら何でも出来るんだけど、このメンツだからそうじゃないもの。そうやって、みんなの中でもっと具体化して次に進んでいきたいという感じがあります。 ――話は変わりますが、そもそも、そんな恵まれたメンバ-とは、どういう出会いがあったのでしょうか。 中山:去年の夏、私はソロ活動をしていたんですけど、イベントに誘われまして。最強のバンドを作って出たいなあと思ってMADに相談したんです。 MAD:ベースは以前から一緒のバンドにいたし、彼は加奈子のバックもやったことあったからすんなり決まったよね。澄ちゃんは灯台元暗しだった。突然とある人物から言われて、あっ、そうかって。「いいのがいたよぉ」って電話したら、加奈子からも澄ちゃんの名前が出た。加奈子は某編集長に相談していたんだよね。 中山:スタジオ初日で“今までの感じと全然違う、最強だ!”って思えちゃった。具体的にどういうバンドにするとか無かったんですけど、人間性として酒飲むといつの間にか朝、という人間が集まっているので、そういうサウンドになっていくんだろうなって思いました(笑)。だから、最初はイベントだけ…って思ってたんですけど、あまりにカッコ良くって、このままやってくれないかなあと思っていたら叶っちゃいましたね。当初は作品を残すなんて考えてもいなかったですから。ライヴのために曲作ってって。でもCDの話が来たときは丁度良かったんです。そんな話が誰からでもなく自然に出ていた時期だった。 ――自然な流れは僕にも感じられますよ。これはメンバー内から自然に出たものが実現していったものなんでしょうね。 中山:こういった音楽性、スタイルという初期衝動の方向に進んでいったのはこのメンバーだからでしょうね。もし違うタイプの人間が入っていたら違うものになっていたと思います。もうちょっと作り込んだものになっていたでしょうね。うん、この4人の間に引力があるのかも。 澄田:人間の周波数が似てるって感じるんですよ。 ――特に中山さんからは、今までとは全然違うムードを感じるんですが。 中山:自分でいうのも何ですけど、全然違っています。自分が素のまま、スッピンでいられるようになって来てるんですね。以前の私って意外と見て欲しい"イメージ"ってのもあったんです。そう思うとどんどん化粧が落ちてきているなあって感じがしますね。でも女は30代になったらシワも含めてその人の魅力になると思っていますので、今までの生き方に自信があるので胸を張ってスッピンでステージに立とうと思ってるんです。 取材・文●中島儀幸 |