国籍も、年齢もバラバラ!そんな10人が繰り出すライヴは奔放で無邪気でパワフル!

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4月の興奮も冷めやらぬ8月、NY初のティーンエイジ・スカパンクバンドStandpipe Siamese(以下SPS)の再来日! 彼らはNYのアートハイスクールにて3年ほど前に結成。NYらしく多国籍の人種で構成されたSPSは、なんと唯一の日本人ドラマー村田冬彦(FUYU)がまとめ役なのだ。

彼らの魅力はやはりライヴ。本人たちも自信アリ!と言い切るステージは、切れがあり、スリリングで見ているほうを飽きさせない。そんなSPSが新宿LOFT、横浜BAYHALL、そして渋谷ON AIR EASTの3公演を敢行した。その中から、ON AIR EASTのライヴ模様を紹介しよう。



8月17日。この日、SPSとの共演に選ばれたのは、大阪のTHE GOKARTS、オーセンティックなBLUE BEAT PLAYERS、そして前回の来日でも共演したDOMINO'88などなど。21時過ぎ、スカパラの冷牟田竜之のDJプレイが終わると、ステージ前にキッズが集まる。SPSの登場だ。前回の、"得体の知れなさ"加減とは違い、今回は皆、期待に満ちている! そしてその期待に応えるかのように、SPSのメンバーは、スピード感に満ちたスカパンク・ナンバーを立て続けに演奏。キッズは早くもステージ上に上がりダンスをしている。SPSのライヴは、なんといっても、明るく激しくそして楽しい。

この6月にリリースされた2ndアルバム『JUNBO SHRIMP』から、新メンバーとしてラッパー(ポール・カルデロン)とMC(ポール・トリーポ)も参加。もはやスカパンクというより、メンバー構成同様、真の音楽ミクスチャーと化したSPSサウンドには言葉の壁や、まして国境など微塵も関係ない。ジャズやメタル、ヒップホップなどの音楽要素を詰め込んだ楽曲はどれも個性的だ。

そんな自由な楽曲で、ライヴは奔放で無邪気に、しかしパワフルに続く。ステ-ジ袖からDOMINO'88のK.KOSHINOが楽しそうに眺めている。途中、ドラマーFUYUから感謝のMCも挟まれ、彼らがどんなにこの日本での演奏を熱望していたかを語ってくれた。そういえば前回の来日のとき、そのFUYUはこう語っていた。

「日本でライヴをやるのは夢だったんだ。僕の祖国ということと、メンバーを連れてきたかったということ。ウチ等はヒスパニック、アフリカ系アメリカ、ロシア、イタリアなどみんな国籍が違うんだけど、これはNYでないとあり得ないことなんだ。それとメンバーは誰もが祖国代表であるとともに、SPSは世界代表ということ。もちろんいろんな国のいろんな奴が10人もいるんでまとめるのは大変! かわいい奴ばかりだけどね(笑)」。

そして、オリジナルメンバーのギタリスト、ジョン・ポズートはこう語った。

「FUYUが入ってバンドが今の方向に固まったんだ。彼がいなかったら僕はここにはいないね。それくらい感謝している」。

国籍、個性はバラバラでも結束の固いSPS。ライヴはホーン隊がそれぞれソロをとり、ロシア民謡のポルカへ。FUYUがヴォーカルをとる曲も披露され、前回の来日よりショーアップされていてバンドの余裕が感じられる。他にも、ヴォーカリスト、ジェローム・ランキンがカバンを持ちながら歌うパフォーマンスは愉快で楽しいし、MCとラッパー2人の掛け合いなど見所もたくさんあり、時が経つのも忘れてしまう。

あっという間に終わったステージだったが、もちろんアンコールの声も掛かり、メンバーは再度ステージへ。この日はSPSにとっても日本での最後の夜ということになる。それを知ったファンも存分に楽しもうという訳だ。「SAYONARA TOKYO」と言うメンバーの言葉とキッズからの「SEE YOU AGAIN」と言う言葉。なんて素敵な奴等なんだ。

SPS、また絶対来いよ! いつだって大歓迎さ。

文●中島儀幸


『JUMBO SHRIMP』



2ndアルバム『JUMBO SHRIMP』
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FUYU(Dr):
きっちり作った1stに対して、セルフプロデュース。ライヴ感覚でセーの…で皆で録ったんだ。ホーンなんかスタジオで暴れてたよ。あるパートでコードがぶつかってるところもあるんだけど、かっこ良かったから採用さ。ロックなんだからエッジじゃないとね。聴きどころはラップが入っているところ。聴いたことないだろ、スカにラップなんて。そこが新しいんだ。

JON(G):
メンバーが変わって良くなった。音楽の方向性は変わったけど、バンドが行きたい方向だったんじゃないかな。このアルバムはノれるだろ! 踊って欲しいんだ。

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