高品位テイストに、じわりとスパイス!
大人感覚で、始終リラックス・ムード。 ソフトなアコースティック・サウンドに、ターンテーブルがスパイスした暖かくも一味深いKIND OF BLUEの空気に会場は包まれた。 そういや、ライヴ観る前の腹ごなしに、ラーメンを食べたっけ。同行したスタッフと、ささっと食べたっけ。それで、このスタッフ、バリバリ、にんにく入れていたっけ。 ……っていうと、このスタッフ、どんな豪快なヤロウかとお思いでしょうが、小柄で華奢な女性なんですよ。カメラマン兼で同行したわけなんですけど、ブランドのかばんをさりげなく携えているオシャレな方なんですよ。 で、KIND OF BLUEもそんな感じのバンドなんです。一見、大人なバンドで、クールな感じなのだけど、とても暖かいリラックスムードのライヴを披露してくれたわけです。 ソフトなアコースティック・サウンドにターンテーブルの自由奔放・全方位方のサウンドがスパイスされているのだが、混ざり具合はとても自然。これはDJ、HI-DEの選択の妙なのだろうか(MCでは、ご自慢の“フランケンシュタインの花嫁”のマスクを小脇に抱えて、「やっぱり小道具が欲しくて、わざわざ取りに帰った」と嬉しそうに語っていました)。このKIND OF BLUEサウンドに乗る、Lisaのヴォーカルはシルクのような流麗さ。聴き手の血圧を上げるようなアッパー感はないが、ゆっくりじっくり聴きたいと思わせるパワーを内に秘めていて、じわりじわりと攻めて来る。実際、中盤から後半にかけては、調子も上がってきたようで、どんどんと観客を引き込んでいった。そして、「no lookin’ back」ではベースで、リーダーの伏島和雄もヴォーカルに参加。上質のコーヒーのような深みと渋さと心地よさを醸し出し、KIND OF BLUEの色づけに一役買っているよう。アクセントでもあり、KIND OF BLUEのカラーを端的に表しているようにも思えた。 始終リラックスムードで進んだKIND OF BLUEのステージ。ゆったりしつつも、アグレッシヴな味付けがされているのが、クセになるところ。つまりは、ラーメンに入れるニンニクみたいに? 文●星野まり子(00/05/31) |