【インタビュー】BREAKERZのAKIHIDE、11thソロアルバム『Fortune』に生々しさと熱さ「自ら運命を幸運に変えるために」
■翼ではなく羽なんです
■未来に希望を感じさせる構成に
──「風にのせて」はポップで明度が高い曲調と、めちゃくちゃ切ない歌詞のギャップがいいです。
AKIHIDE:僕は明るいメロディの曲に切ない歌詞を乗せるのがすごく好きなんです。物語としても別れの話が多いので、歌詞は遺される側ではなく旅立つ側の気持ちを書きました。実は公園で歌詞を書いたんですが、緑の中、風が心地よかったんです。そんなシチュエーションもあって、遺していく人が寂しくならないように空を見上げたら、星が瞬いて月が出て鳥が鳴いて包んでくれたらなって、主人公が。自分もこんなふうに思いたいなとシンプルに思って作った曲です。
──優しく歌いかける最後の曲「星の子守唄 -Goodnight Song-」は?
AKIHIDE:これは小さい頃の僕の記憶なんです。寝る時に母が子守唄を歌ってくれていたのをすごく覚えていて、背中をトントン叩きながら寝かしつけてくれてたんですが、そのスピードがだんだん遅くなるんですよ。母のほうが眠くなってきちゃうんでしょうね(笑)。で、また我に返って叩き始めるっていう。思い出すと幸せだったなって。
──ええ。
AKIHIDE:最近、眠れない夜が多かったんですよ。皆さんもあると思うんですけど、そういう時に眠れる曲ができたらいいなと。
──AKIHIDEさん自身のためにも?
AKIHIDE:自分もそうだし、この曲によって少しでも気持ちが落ち着いて眠れたらいいなという想いで作りました。眠れない夜に少しでも力になったらいいなって。それでアルバムの最後の曲にしたんですが、物語もそんなふうに終わるので、ピッタリだなって。
──“そう きみは大きな羽を持ってるんだ”という歌詞はジャケットのアートワークとシンクロしています。
AKIHIDE:そう、翼ではなく羽なんです。蝶がテーマなのでストーリーとも関連している。蝶は海を飛ばないですが、たとえ小さな羽でも飛んでいってほしいなと。未来に希望を感じさせる構成にしたかったんです。通常盤はこの9曲に10曲目がプラスされています。
▲通常盤
──では、初回限定盤AとB、通常盤といった3形態が発売されるCDの豪華特典を教えてください。
AKIHIDE:初回限定盤Aにはさっき少しお話しした、富士山をバックにしたライブ映像が収録されています。“432Hzサウンド”という普通よりちょっと低くて癒し効果があると言われているピッチにチューニングして、ヒーリングミュージックのライブを自然の中でやりたいという想いから始まった企画です。YouTubeを見ていると海外のヒーリング系ミュージシャンの方がドローンで撮影していたりして、そういうものをずっとやりたいと思っていたんです。
──この特典用に撮影されたということですね。
AKIHIDE:実は年明けから計画していたんですが、ことごとく雨での延期が続いてしまいました。僕は富士山が好きでよく登るんですが、日本の神話で一番美しいとされているコノハナサクヤヒメという女神様を祀ってあるんですね。その女神様を描こうと思って、年明け早々に6曲の新曲を作ったんですよ。「Undersea」だけインストで収録されているんですが、晴れ予想が台風になったりと難航しました。まぁ、僕自身、雨男だって言われているんですが(笑)。
──今年は天候が荒れましたからね。
AKIHIDE:挨拶をしていないから、天候に恵まれないのかもしれないと思って、祈祷していただくために浅間神社に行ったんですよ。で、“これで絶対晴れる”と思ったら、次も雨で(笑)。でも、さっきの運命の話じゃないですけど、きっと大丈夫だなと思っていたら、ギリギリで撮影できたんです。快晴ではなかったんですが、“山の神様が最後は自ら身を投げて富士山の噴火を止める”というストーリーのある曲なので、曇天が逆にハマったかなと。一発録りのライブ撮影なので、夕刻に合わせて1時間前から演奏し始めて、カメラマンさんもドローン担当の方も一発勝負。非常にスリリングだったんですが、楽曲や風景の癒しの効果もあって、面白い映像になりました。
──私達はその映像をまだ見られてないのですが、ライブのバンドメンバーと一緒に演奏しているんですか?
AKIHIDE:僕ひとりです。ギターはギブソンSGでリバーブとかアンビエントとかいろいろなエフェクターを使って、シンセみたいな音を出していたり。延期になった分、何度も練習したのでほぼノーミスです。本当にすごくいい経験をさせてもらったので、この映像はぜひ、皆さんに届けたいですね。少し紅葉もしていたので、いろいろな運命が結びついて、よりらしくなったかなと思っています。
──そして、初回限定盤Bには特典CDがパッケージされています。
AKIHIDE:僕はループペダルを使って、<Angya>と銘打った一人ライブで各地を廻っているんですが、ループペダルを使った曲の音源も入れたかったんです。『Three Stars』から始まる三部作なので収録曲をループペダルでリアレンジしたものを収録して、物語としての関連性をつけるために今作「Undersea」と、よくライブで演奏している「Ghost」をプラスした8曲。特典限定なので配信されることはないので、ぜひゲットしていただきたいと思います。
──ボーナストラックが入る通常盤のほうは?
AKIHIDE:20年前に『Three Stars』の物語を思い浮かんだ時には、いなかった新参者のキャラクターが今作のコンセプトストーリーに登場するんですが、いい味を出しているので、その人のことを歌った曲が通常盤に入っています。「渚のふたり」というタイトルでストーリーのその後のエピソードみたいなポジションですね。今までにないR&Bっぽい曲で意外性があると思います。
──今作はAKIHIDEさん新境地の楽曲が多いんですね。
AKIHIDE:そうですね。いろいろなジャンルを聴くんですが、サンプル音源を使って作るのと、ゼロから作るのではちょっと違うんです。サンプル音源を使って作るほうが、アイデアが湧きやすくなるのかもしれないですね。自分の好みが非常に反映されていると思います。
──最後にアルバムを掲げたツアー<AKIHIDE LIVE TOUR 2024 -Fortune- >について。本記事がアップされる頃にはツアーの真っ最中ですが、バンドスタイルとデュオスタイルともに、今回は1st<青きFortune>と2nd<赤きFortune>と銘打った構成になっています。
AKIHIDE:そうなんです。基本、二部構成なんですが、相反する運命を描いている作品なので、同じアルバムの曲なのに違う印象で聴ける構成にしているんですよ。今まであまりないパターンですね。2パターンのセットリストを組んでいて、アレンジはほぼ一緒なんですが、印象が全く違うということを実験的にやろうとしていています。もちろん、一部だけでも二部だけでも面白いと思うんですが、両方見たら“あれ? 違う”って感じてもらえるようなちょっと挑戦的なライブになると思います。
──赤と青はジャケットのアートワークとも関連しているんですか?
AKIHIDE:そうですね。ジャケットも、先ほど話したように紫を描くための赤と青なので、青で始まって赤で終わる。最後は紫を超えて赤になっていくグラデーションの構成になっているので、音楽、コンセプトストーリー、ライブと単体で楽しんでいただいてもいいんですが、全部合わせたら、より深く面白がってもらえるプロジェクトになっています。ライブも最後は熱く終わるような構成になります。
──ファイナルの東京公演は12月6日の浅草花劇場。初めて立つ会場ですか?
AKIHIDE:そうなんですよ。花やしき内にある劇場でレトロな雰囲気なので合いそうだなと思って選びました。今作とのテーマともリンクするし、不思議な感じの世界観になればいいなと思っています。
取材・文◎山本弘子
■11thソロアルバム『Fortune』
2024年12月11日(水)CDリリース
【初回限定盤A (CD+Blu-ray)】
ZACL-9141/ZAXB-9141 ¥7,700(税込)
・特典Blu-ray:<AKIHIDE 432Hz Healing Live in Fuji>収録
【初回限定盤B (2CD)】
ZACL-9142/ZAXB-9142 ¥5,500(税込)
・特典CD:『In the "LOOP WORLD" vol.2 -Three Stars-』収録
【通常盤(CD)】ZACL-9143 ¥3,300(税込)
・ボーナストラック「渚のふたり」収録
※全形態共通:「Fortune」コンセプトストーリー(web版)アクセスコード付属
▲初回限定盤A
▲初回限定盤B
▲通常盤
▼CD収録曲
01. Into the Story
02. Fortune
03. Violet & Blue
04. Undersea
05. Fight or Flight
06. Reverse
07. きっと、ずっと
08. 風にのせて
09. 星の子守唄 -Goodnight Song-
※通常盤のみボーナストラック「渚のふたり」収録
▼特典CD:初回限定盤B
『In the "LOOP WORLD" vol.2 -Three Stars-』収録
1. Singing in the Starlight
2. 嘘
3. the Burning Star
4. 青ノ祭
5. 帰らずの森
6. 白猫のランデヴー
7. Undersea
8. Ghost
■<AKIHIDE LIVE TOUR 2024 -Fortune->
11月08日(⾦) 愛知・名古屋SPADE BOX
11月09日(土) ⼤阪・BERONICA
▼Duo Style
11月16日(土) 北海道・⼩樽GOLDSTONE
11月17日(日) 福岡・ROOMS
11月23日(土) 宮城・仙台retro Back Page
11月30日(土) 神奈川・新横浜Strage
▼Band Style
12月06日(⾦) 東京・浅草花劇場
●Support Member
Bass:砂山淳一(Band Style / Duo Style)
Perc:豊⽥稔(Band Style)
Key:杉直樹(Band Style)
●チケット
7,500円(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
関連リンク
◆ツアー<Fortune>特設サイト
◆AKIHIDE オフィシャルサイト
◆AKIHIDE オフィシャルTwitter
◆AKIHIDE オフィシャルYouTubeチャンネル
◆BREAKERZ オフィシャルサイト
◆BREAKERZ オフィシャルYouTubeチャンネル
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