【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.139「フィンランドから若手新星ロックバンド、ロック‐クリミナルズがデビュー」

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フィンランド東南部の町ハミナから飛び出してきた若手新星ロックバンド、ロック‐クリミナルズがセルフタイトルのデビューアルバム『Rock-Criminals』を8月末にリリースした。以前この連載で紹介したこともあるエネルギッシュな4人組ロッケン・ロールバンドだ。


Pic:Markku Nykäne

一足早く発売2日前にヘルシンキのライブ会場On The Rocksでアルバムリリースライブを行い、そのライブ前にメンバーみんな揃って楽屋でインタビューに応じてくれた。



メンバーは向かって左から:
・ルーク・イートン(Luke Eaton):ドラム
・マイク・スコット(Mike Scott):ベース
・アレックス・ワイルド(Alex Wild):ボーカル&ギター
・ジェイ・エス(JS):ギター

──デビューアルバムが8月30日にリリースになり、その前に今日ここヘルシンキのOn The Rocksでアルバムリリースライブが行われますが、今の気分は?

マイク:とってもいい気分だ。もちろんちょっと緊張もするけど、とってもポジティブな気分だ。

アレックス:長い間この日が来ることを夢見て待ってたんだ。プリプロダクションからアルバム発売までの長い道のりもあったし、その成果を1枚にまとめて発表することができ、新たに次に進める。とっても素晴らしい気分でいる。より多くの人がこのアルバムを見つけてくれて聴いてくれることを願ってるよ。

──デビューアルバムのタイトルがバンド名ですが、バンド名をタイトルにしようってのは誰のアイデアだったのですか?なぜそう決めたのですか?

ジェイ・エス:これは俺たちみんなの意見だった。

アレックス: 俺たちのハートがつまって出来上がった最初のアルバムで、世界に向けて一番最初にリリースされたアルバムってことで、これが俺達なんだってのがつまってるアルバムだから。

──あなたたちの曲は通常どうやって生まれますか?

ジェイ・エス:こうやるって形にはまったものはなくて、たいていは俺かアレックスがアイデアを出して、それはリフであったりメロディだったりするんだけど、そこから曲を作り上げていくんだ。

アレックス:丸めていくって感じ。相手が結構先まで進んだアイデアを持っていてどこかが欠けてるって場合もあるし、メインの部分だけがあってそこにいろいろ加えながら仕上げていくって場合もあるな。そして曲が出来上がったらメンバーみんなでまずトレーニングするんだ。スタジオに行ってからじゃなくてその前にどの曲もトレーニングして細かいとこまでちゃんと決めて合わせて完璧に準備しているよ。

──ではあなたたちのデビューアルバムがどんなアルバムか表現してもらえますか?

アレックス:とても正直にストレートなロック。パンクロックのバイブも感じるし、他にもなにかいろいろな要素が感じられる多様なアルバム。パンクからディスコまで、聴く人それぞれに何かを与えられる多様なアルバムが出来上がったことは誇りに思う。

ジェイ・エス:ロッケンロールアルバムだけど、基本的なパンクアルバムってわけでなく多様なアルバム、モダンなロッケンロールアルバムだよ。みんなを満足させるってのは難しいけど、いろんなジャンルを取り入れてる。

アレックス:俺たちはロックバンドで、俺たちのルーツと魂は奥深くロックにあるんだけど、新鮮に聴こえるバンドでありたい。俺達独自のバンドであって、他との違いが表れた多様なエレメントがつまったアルバムになったと思う。

──3年前のインタビューでアレックスがハノイ・ロックスとガンズ・アンド・ローゼズから影響を受けたと語ってましたが、このアルバムにはその影響は出てますか?それとももっと自分達らしきが出たアルバムだといえますか?

アレックス:曲によって影響を受けたのはさまざまで、ハノイと言えば「Get Yourself Together」って曲ではマイケルとコラボもしてるけど、このアルバムでは俺達らしさが全面に出てると俺は思ってる。

──さっき話にも出たけど、2018年にリアリティ音楽オーディション番組X Factor Suomi(Xファクター・フィンランド)に出演して審査員でメンターだったマイケル・モンローと知り合ったわけですが、昨年そのマイケルとコラボして「Get Yourself Together」という曲をリリースしましたが、このコラボはどうやって実現したのですか?

ジェイ・エス:コラボはとてもうまくいった。その工程には2年ぐらいかかったんだ。2019年の春ぐらいに始めて、最初は2020年始め頃にレコーディングの予定だったんだけど、コロナがやってきてマイケルもいろいろ予定が入ってて忙しくて後に伸びたんだけど、特に問題もなくうまくいった。

マイク:マイケルにコラボを申し出たらどうかという話が出て、実現したら俺たちにとってスペシャルなことで、アレックスがメールで問い合わせたんだったかな?そしたらとっても興味持ってくれたんだ。

アレックス:まずジェイ・エスが曲のアイデアを持っていて、どうか?ってことで作り上げてるときに当時コウボラのロック・アカデミープロジェクト(若いバンドのサポートをするプロジェクト)に参加していて、そこでデモを作りマイケルに送ったら、とっても興味持ってくれてスタジオに行こうって話がでて、もちろんってことになりコラボが実現した。俺たちにとっては素晴らしいことだった。2020年の秋にスタジオ入りして曲はできていたんだけど、ちょうどStupido Records と契約の話が出てた時で、少し時間がかかったけど昨年リリースになった。マイケルは長いキャリアを持っててスタジオでの経験も多いから色々教えてくれて俺たちにとってはとても勉強になって素晴らしいことだった。彼のことはずっと追っていたし、影響を受けてきてたし、感情的もこみあげてきた。知り合うきっかけはXファクターだったんだけど、素晴らしい結果になったよ。

──あなたたちのバンドは2011年、あなたたちがまだ12~13歳ぐらいの時に結成され、その後ライブ活動も続けてきていますが、これまでで思い出に残っているライブは?

ルーク:ユーチューバーが集まったツベコンに出演した時かな。今のヘルシンキハッリで、当時はハートウォールって呼ばれてたアリーナで開催された時に。

アレックス: それは2014年のことで、当時あちこちに熱心にメールでライブ出演できないか問い合わせしてて、じゃ来いよ!って話になって、会場の中にあった小さなバーでライブやってそれはすごく楽しかったな。俺たちのライブではいろんなことが起こるんだけど、1年半ほど前にカヤーニ(フィンランド中部の町)でのこと、ライブはうまくいって、外の気温が-24℃か-25℃だったと思うけど、帰路カヤーニから50㎞ぐらい走って次の町イーサルミまで50㎞って辺りで、周りがオオカミがいそうな森というなにもない場所で突然車が動かくなくなってしまったんだ。幸い2台の車で行ってて車に詳しい奴がいてバッテリー取り替えたら動いて事なきを得て助かったんだけど、いつもは比較的落ち着いてる俺でもここで凍え死ぬんじゃないかとちょっとパニックになったけど生き残ったよ。

マイク:今はもう取り壊されちゃったけど、当時ヘルシンキの伝統的なライブ会場の一つNosturi(ノストゥリ)でプレイできたのも楽しかったな。セミファイナルとファイナルで2回プレイして観客も会場いっぱい入ってたし。

ジェイ・エス:それから去年秋コトゥカのホテル・レイカリでマイケル・モンローのバンド、デモリション23.のオープニングアクトを務められたのは最高だった。とても思い出に残ってる公演の一つだ。

──あなたたちはすでに日本にもファンがいたりしますが、日本と聞いてまず一番に思い浮かぶことは何ですか?

アレックス:俺犬が好きでシバってのが一番に思い浮かぶ。柴犬。それから新幹線も思い浮かぶし、東京のど真ん中にある大きなスクリーンも。

ジェイ・エス:山々が思い浮かぶ。ランド・オブ・ザ・ライジング・サン(日出づる国)。もちろん日本料理も。思い浮かぶのはすべてポジティブなことばかりだよ。

ルーク:俺は車。自分の車日本から輸入したんだ。ホンダのオデッセイ。スペシャルものほど好きで、音楽の他に車が好きなんだ。

マイク:音楽の方でいうとニューメタルバンド、ベビー・メタル!

アレックス:ずっと日本のファンでもあったので、ずっと夢だった日本に行ってライブできたらどんなに素晴らしいことかと思う。その時にライブ以外でも実際に日本を観光もできたら最高だな。

──デビューアルバムがリリースになり次の目標は?

アレックス:まずライブをたくさんやること。

ジェイ・エス:次のアルバムを作る(笑)。日本でライブすること。

アレックス:うん。その順番で行こう!

ジェイ・エス:実現できたら素晴らしいな。

──では10年後の予想は?

ジェイ・エス:コロナでずいぶん予定が狂ったから10年後の予想、、、う~ん、この先もいろいろ狂うことがありそうで予想するの難しいな。

アレックス:俺たちは小さなステップをひとつづつ登ってきてるんだ。これは希望だけど音楽をずっと続けてて、一度にどっと人気が出るんじゃなくて、一つ一つステップを踏みながら経験を重ねて進んでいった方が報われる気がするんだ。10年後たくさんの人が俺たちの音楽を聴いてくれて、世界をツアーしてみんながライブを観に来てくれる。そうなってることを願うな。

──最後にメッセージをもらえますか?


「ハーイ、BARKSの読者のみんな!俺達ロック‐クリミナルズだ。ここ晴れのヘルシンキからこんにちは!俺たちの最新アルバム、というかデビューアルバム『Rock-Criminals』がリリースになったよ。皆が聴いてくれることをとっても願っている。そしていつか日本に行って、いくつかショーができることを願っているよ。幸運を祈ってる。元気でね。」

この日はアルバムリリースライブがヘルシンキのライブ会場On The Rocksであり、デビューアルバム収録曲すべてをライブで披露。加えてこれまでにリリースされていたシングルから「Red Roses」、ポスト・マローンのカバーで「Better Now」。途中ステージにアレックスとジェイ・エスの2人が残ったと思ったら、アレックスがイントロを口笛で吹き、ジェイ・エスがアコースティックギター弾きながらアルバムのラストナンバー「Care」を歌い一味変わっていて印象に残った。最後はラモーンズの「Blitzkrieg Bop」でかっこよくパンクに若いエネルギー爆発だ!















インタビューで多様なエレメントがつまったアルバムで、聴く人それぞれに何かを与えられる多様なアルバムと語ってたが、ライブを観てもそれが伝わってきた。どことなく懐かしさを感じる曲もあるが、決して古めかしさを感じるわけでなく、パンク、ロック、ポップな曲もあり、少しづつ経験を積みながら彼ら独自のサウンドが出来上がってきてるように感じた。デビューアルバム『Rock-Criminals』ぜひ聴いてみてもらいたい。



https://open.spotify.com/album/3qTUoGXNMZmQZfijdhvmxS?si=5sHdwp_3RhKxYJGjJAMKzw


文&ライブ写真:Hiromi Usenius

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