【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.138「北欧からゴシックロックのスーパーバンド、セメタリー・スカイライン誕生」

ポスト

今年2月のことだが、フィンランドのラウカーで毎年開催されているジョン・スミス・ロック・フェスティヴァルのSNSにバンドメンバーが秘密のベールに包まれたセメタリー・スカイラインというバンドの出演が発表になった。その後バンドメンバーが少しづつ明かされていき、3月末ごろメンバー全員が発表になり秘密のベールがはがされた。


Pic:Sam Jamsen

そのセメタリー・スカイラインのメンバーはこちら。

・ミカエル・スタンネ(ダーク・トランキュリティー、ザ・ヘイロー・エフェクト):ボーカル
・マルクス・ヴァンハラ(インソムニウム、オムニアム・ギャザラム):ギター
・サンテリ・カッリオ(アモルフィス):キーボード
・ヴィクター・ブラント(ディム・ボガー、ウィッチェリー):ベース
・ヴェサ・ランタ(センテンスト):ドラム

スウェーデンとフィンランドのアーティスト構成で、すでに解散したゴシックメタルバンド、センテンストを除いてはメロデスやブラックメタル系の人気バンドのメンバー達だ。4月初めにこのセメタリー・スカイラインからデビューシングル「Violent Storm」がリリースになった。メロデス系バンドのメンバーが多いからてっきりメロデスバンドと思い込んでいたらなんと聴いてびっくり。メランコリーでゴシック感あふれるメロディアスなロックではありませんか!元々フィンロックにはまったきっかけがゴシックでメランコリーなサウンドのHIMだったので、このゴシックなサウンド一発で気に入ってしまった。

その後「In Darkness」「The Coldest Heart」「Torn Away」とシングルが発売され、10月11日にアルバム『Nordic Gothic』がリリースされることが発表になった。このアルバムは4年ほど時間をかけて制作されたそうだ。

マルクス・ヴァンハラ によると彼のバンド、インソムニウムはアモルフィスとツアーを行ったこともあり、サンテリ・カッリオ とはずいぶん前に知り合い、一緒に何かやろうと話をしていた。そこに昔からの知り合いだった他のメンバーが加わり新バンド結成となったようだ。

バンドのメンバーみんな80~90年代のシスターズ・オブ・マーシーやタイプ・オー・ネガティヴといったゴシックミュージックが好きなのに、自分達ではそのジャンルをやったことがなく、そういう自分たちがやったことのないダークなロックをやろうぜと結成されたのがこのセメタリー・スカイラインだそうだ。

先月開催されたジョン・スミス・ロック・フェスティヴァルにてバンド結成以来初めてのライブを行い、デビューアルバムからオリジナルの楽曲8曲に加え、ロイ・オービソンのカヴァー「I Drove All Night」の計9曲をライヴで初披露。そしてこのフェス出演前のリハーサルやフェスでのライブ映像、舞台裏などを収めたMV「Torn Away」を公開した。


このMVで表現したかったことをサンテリとマルクスが語っている。


「このMVのアイデアの背景にあったのは、バンドが曲を演奏しているライブ映像だけを流すビデオにはしたくなかった。バックステージの様子とか、ステージを作りあげる映像などもっとバンドの中にある雰囲気を見せたかった。

どことなく90年代の雰囲気、ガンズ・アンド・ローゼズのいくつかのクールなビデオにあるようなオンステージとオフステージの80年代、90年代の雰囲気の映像。それを俺たちは求めたんだ。」

この曲の歌詞についてボーカルのミカエル・スタンネは、あらゆること、すべての人と意図的にコネクションを断ち、それが最終的にもたらす影響についてバンド結成後早い時期に書かれた曲で、アルバムのトーンがどんなものになるかを決定づけた曲だと語っている。

フェス出演についてはとってもクールだった。フェス側から出演を要求され、わかった!と俺たちがそれに応じた。俺にとってマルクス、サンテリ、ヴィクター、ヴェサと一緒にステージに立てたのはハイライトだった。20年以上も知り合いでいながらインソムニウムのライブに2度ゲストで出演した以外他のメンバーと同じステージに立ったことは今まで一度もなかった。ヴェサがドラムをたたいているのを見るのは心が温まってハッピーな気分になったし、マルクスはとてつもなく最高だった。ヴィクターはその昔近所に住んでて長年の友人だ。サンテリはイかれるほど最高で、そのすべてが俺にとっては大きな意味があり、この経験はとても楽しいものとなった。皆がそろって同じようにエキサイトし、ショーの後はリラックスして相応に祝うことができ素晴らしかった!とのことだ。

フィンランドのメディアでマルクスが語っていたのによると、具体的なスケジュールはまだわからないものの、ライブは今回出演したジョン・スミス・ロック・フェスティヴァルだけにとどまらず他にも行う予定で、アルバム1枚のプロジェクトではなく、ちゃんとしたバンドで今後も新しい曲をリリースしていく予定だそうだ。

バンドメンバーは自分たちの音楽をアルバムタイトルにもなったノルディック・ゴシックと呼んでいるが、まさに彼らのサウンドを表現したぴったりのタイトルだと思う。メランコリーでメロディアスでゴシック、例えばフィンランドのバンドだとHIMやThe 69 Eyesなどがお好きな方は気に入ること間違いなしだと思うので、特にゴシック系好きな方には聴いてみてもらいたい。メロデスバンドにいながらもゴシック系好きなメンバーが集まってることだし、メロデスファンにもこのノルディック・ゴシック・サウンドかなりいけるかも。




このセメタリー・スカイラインのデビューアルバム『Nordic Gothic』日本盤はソニー・ミュージックからボーナス・トラック付きで10月11日同時発売予定だ。



Nordic Gothic 収録曲:

1.Torn Away
2.In Darkness
3.Violent Storm
4.Behind the Lie
5.When Silence Speaks
6.The Darkest Night
7.Never Look Back
8.The Coldest Heart
9.Anomalie
10.Alone Together
11.Dream Delusion*
*日本盤ボーナス・トラック

文:Hiromi Usenius

◆【連載】Hiroのもいもいフィンランドまとめページ
この記事をポスト

この記事の関連情報