【ライブレポート】ブラック・ストーン・チェリー、来日公演が待ち遠しい生粋のライブバンド
アメリカはケンタッキー出身のハードロックバンド、ブラック・ストーン・チェリーも<スウェーデン・ロック・フェスティバル>に出演した。今年はラインナップにアメリカ勢も多いのが特徴的で、彼らも2014年以来10年ぶりの出演となる。
彼らを初めて観たのは2008年の来日時、<ラウドパーク>への出演だった。早めの出演時間だった為、朝から彼らを目当てに出向いたのを覚えているし、まだ当時はセカンドアルバム『Folklore and Superstition』がリリースされて間もなくの頃。おそらく20代だったと思われるが、バンドの音楽スタイルのルーツはクラシックハードロックとブルースロックなものだから、当時からとても気に入っているバンドのひとつ。
その骨太でヘヴィなリフとソウルフルなヴォーカルは作品毎にアップグレードされ、時代とともに変化もして来た。昨年2023年にも通算8作目となる最新作『Screamin' At The Sky』をリリースしている。残念ながら近年は日本盤のリリースはなく海外のみではあるが、相変わらずクラシックロック、モダンロック、サザンロック、メタル、ブルースの要素が組み合わされている。
彼らはフェスティバル3日目の午後、勢いよく登場するなり物凄いハイテンションでのステージが繰り広げられていく。オープニングからの大合唱は、これまでもライブアルバムで何度も聴いている通り。リードヴォーカル&ギターのクリス・ロバートソンは少し髭で渋めになった印象、ベン・ウェルズ(G, Vo)と2021年からのメンバーであるスティーブ・ジュエル(B)のフロントサイド二人は一瞬も止まる事なく頭を振り、ステージを走り、オーディエンスにアプローチし続けながらのプレイだ。
ステージにはパーカッションのサポートメンバーであるジェフリー・ボッグスも加わり、ジョン・フレッド・ヤング(Dr)の超絶ハイテンションなドラミングにアダルトな要素を添えている。このヤングのプレイも終始目が離せないほど熱く、立ち上がっての激しいアプローチと「White Trash Millionaire」では勢い余ってシンバルを倒してしまう一面もあったほど。
むしろメインのフロントマンであるクリスが一番大人しく控えめに見えてしまうほどに、他メンバーのパフォーマンスに目が行く。おそらく酸欠になっているのではないかと思われるのに、きちんとコーラスラインも取っているから凄い。そしてクリスとベンは比較的多めにギターチェンジも行い、そのギターラインナップを見るのもワクワクする。
終盤にクリス(Vo, G)とスティーブ(B)がギターとベースを交換し、クリスがベース、スティーブがギターでの演奏シーンも見所だった。欧州ではイギリスでの人気が非常に高く、UKチャートでは常に上位を取っている彼ら。ここスウェーデンでも尋常ではない盛り上がりを見せ、フェスティバル初日に出演していたライヴァル・サンズとのカップリングツアーも発表された。若手でありながらクラシックロックを継承してくれるバンドたちがいてくれる事はこのジャンルにとっては嬉しい限り。
正直なところ、新作が出れば必ず聴くバンドではあるけれど、2014年あたりが商業的にもピークな気もしていた。ところがやはりライブを観ないとわからなもので、このバンドも生粋のライブバンド、生で観たら必ずや興味を持つバンドだと思う。
今回のフェスティバルでは、最新作の「When the Pain Comes」も披露され、とにかく念願だった久しぶりのライブが観られた事と、予想以上のパフォーマンスに個人的にはMVPなバンドとなった。彼ら、16年前の<ラウドパーク>の事も覚えてくれていたので、いつかまた日本でも観られるといいのだが。
文・写真◎Sweeet Rock / Aki
< BLACK STONE CHERRY ~ Sweden Rock Festival 2024 ~>
1.Me and Mary Jane
2.When the Pain Comes
3.Like I Roll
4.Nervous
5.Blind Man
6.In My Blood / Island Jam
7.Cheaper to Drink Alone
8.White Trash Millionaire
9.Blame it on the Boom Boom
10.Lonely Train