【インタビュー】aiko、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』主題歌「相思相愛」は「初めましての人にいっぱい出会える魔法」

◼️「私を生かしてくれてありがとう」ってライブをやる度に思います

──「相思相愛」というタイトルは、aikoさんとファンの関係にもつながっている気がします。ライブの最中、観客のみなさんとしっかりつながっている、想い合ってるなと感じることはありますか？

aiko：めっちゃありますね、それは。会場に来てくれたお客さんに歌を手渡すという感覚があまりなくて、私自身がみなさんからたくさん受け取ってるんです。ライブのときに“つながってるな”と思うのは、たとえば目が合うのもそうだし、一人のお客さんの表情を見ることで「この一小節、めっちゃがんばれる」という瞬間が何度もあって。手を振ってくれたら私も同じように振り返したり、ウチワ持ってる子に向けてウチワ持ってるようなポーズしたり、同じノリ方、動き方をしたり。そうすると「今私のこと見てる」「俺やん！」ってわかるじゃないですか。そういうやり取りを通して、「ありがとう」を伝えられたらいいな、と思っています、ずっと。

──オーディエンスのみなさんも嬉しいですよね。

aiko：そうだといいな。なので“つながっている”と感じる瞬間はいっぱいあるし、私にとってはそれがいちばんの幸せなんです。例えば体調が万全じゃない日があっても、来てくれたお客さんの顔を見ているだけで乗り越えられるし、「私を生かしてくれてありがとう」ってライブをやる度に思いますね。

──aikoさんのライブはすごく温かい一体感があるし、お互いを思いやってる雰囲気があって。

aiko：みんな優しいんです。私のグッズのＴシャツを作ってくれてる方が名古屋のライブに来てくださったんですけど、私のライブの帰りにコンビニに寄ったんですって。お店にaikoのファンの人たちがいっぱいいたらしいんですけど、「全員、店員さんにめっちゃ丁寧に接してて、感動しました」って教えてくれたんです。ライブやってても「みんな優しいな」ってすごく思うし、たぶん、いちばん腹黒いのは私ですね（笑）。

──そんなことないです（笑）。

aiko：（笑）それくらいみんな優しいから「みんながもっと楽しくなるためには、どうしたらいいやろう？」って前向きになれるんです。私、ライブがなかったらもっと自堕落になってたと思います。自分を甘やかしまくって、たぶん95キロくらいになってたんじゃないかな（笑）。ライブは自分を自分でいさせてくれる場所だし、私がいちばん感謝してます。ただ、「ちょっとライブが長すぎるかな」と心配してて。Ｘ（旧Twitter）見てたら、ファンの子が別のアーティストのライブに行って、「aikoのライブに慣れてたから、すぐ終わって焦った」って書いたんですよ（笑）。長い中でもみんなが楽しく過ごせるようにこれからもがんばりたいです。

──「相思相愛」はコナンのファンにもしっかり届くだろうし、aikoさんの音楽の魅力を再認識するリスナーもたくさんいると思います。

aiko：「こんなにいいことがあって、この後大丈夫かな」と心配になるくらい、本当にうれしいです。ときどき「寝て起きたら、aikoの曲を初めて聴いてくれる人にいっぱい出会える奇跡が起きないかな」って考えたりするんですよ。「花火」（1999年）のときがまさにそうで、初めてテレビの音楽番組で歌わせてもらって、「aikoって誰？」っていう人たちに聴いてもらえて。あのときも「こんな経験、なかなかできないな」と思ったし、その後もずっと「たくさんの人に聴いてもらいたい」と思ってるんですよね。もちろん自分らしい曲、自分が好きな曲を作って歌っていくことも大切にしたいし、音楽が好きという気持ちは変わらないんだけど、ちょっと落ち込んだりすると「初めましての人にいっぱい出会える魔法とかないかな」って。「名探偵コナン」のことが大好きな皆さんと“初めまして”って出会えるチャンスをいただけたのはめちゃくちゃ幸せだし、ありがたいですね。

取材・文◎森朋之