ミスター・バングル、ついに日本初上陸、奇想天外な異形のスラッシュ・メタルを体感せよ
いよいよミスター・バングル(MR.BUNGLE)が日本上陸! 2024年2月28日には東京・豊洲PIT、29日には大阪・なんばHatchにて待望の初来日公演が実現する。
1985年に結成され、2000年にはひとたび終焉を迎えているこのエクスペリメンタルでアヴァンギャルドなロック・バンドは、2019年にスラッシュ・メタル・バンドとして復活を遂げ、2020年には『ザ・レイジング・ラス・オブ・ジ・イースター・バニー・デモ』と題されたアルバムを発表している。タイトルにデモという言葉が含まれているのは、この作品が、1986年に制作された伝説的というべきデモ音源を再録音したものだからだ。
このバンドの現在のラインナップはマイク・パットン(Vo)、トレイ・スプルーアンス(G)、トレヴァー・ダン(B)というオリジナル・メンバー3人に加え、スコット・イアン(G)、デイヴ・ロンバード(Dr)という豪華というか掟破りというか、想像しただけで鼻血が噴き出しそうな顔ぶれ。メンバー個々の経歴については改めて説明するまでもないはずだが、要するにフェイス・ノー・モアとアンスラックス、スレイヤーが時空を超えて合体したような成り立ちになっているのだ。
結成当初からのメンバーでありメルヴィンズなどでの活動歴も持つトレヴァーは、スラッシュ・メタル・バンドとしての復活に至った理由について「俺たちは今でも1980年代に書いた曲を信じているし、それをもっと上手く、より正確に、もっと確信をもって、本物のスタジオで録音すべきだと考えた。そもそもはスラッシュ・メタル・バンドとしてスタートしたバンドだし、自分たちのルーツを洗練された形で発表したかった」と述べている。つまり“初期衝動の奪還”みたいなことをテーマに掲げながら単純にガレージ・バンド的発想に戻っていったわけではなく、根源にあったものを新たな次元へと昇華することに成功しているのだ。また、彼は「スラッシュ・メタルは自分たちにとっての文化の一部。ジャズやクラシックについて学ぶのと同時に、それについても学んできた」とも語っている。
彼らはこの復活アルバム発表後、南米でのフェス出演などを除けばアメリカ国内のみでライヴを行なってきた。その機会はかなり限定的ともいえ、2023年の年間を通じての全公演本数は20本にとどまっている。今回の来日公演は、彼らにとって2024年最初のライヴにあたるものだ。そして、ここで敢えて言っておきたいのは、この来日公演に向けてミスター・バングルの過去の作品を聴き込んで復習しておく必要はさほどないということ。むしろ前述の『ザ・レイジング・ラス・オブ・ジ・イースター・バニー・デモ』だけを聴いておくべきだろう。
2023年のアメリカ・ツアー時の演奏内容について確認してみると、1991年発表のデビュー作(原題は単純に『MR.BUNGLE』だが、当時は『オペラ座の変人』という邦題が伴っていた)からも1曲演奏されてはいるものの、セットリストの大半は復活作からの曲で占められており、それ以外はスレイヤーからサークル・ジャークス、スパンダー・バレエに至るまでのさまざまなカヴァーとなっている。もちろん彼らの演奏内容は臨機応変なものであるはずだし、日本公演に向けて特別な選曲が考えられている可能性もある。ただ、いずれにせよ単純な予測は不可能といえるし、むしろ真っ白な気持ちのまま超人たちの奇想天外な演奏を楽しむべきかもしれない。
とにかく何が起きるかわからない、この奇跡的初来日公演。刺激に飢えた人たちは是非、会場に足を運んで欲しい。この機会自体が貴重だというだけではなく、他のライヴでは絶対に味わうことのできない何かを体験できるはずだから。
文◎増田勇一
ミスター・バングル初来日公演
2024年2月28日(水)@東京 豊洲PIT
18:00 open/19:00 start
2024年2月29日(木)
@大阪 なんばHatch
18:00 open/19:00 start
◆MR.BUNGLE UDOサイト