【インタビュー】moon drop、ラブソングだけを歌い続けるバンドの四季折々「実らなかった恋にも間違いなく意味があった」

■自分たちがこれから先に作っていく曲
■そこへの期待に繋げることもできた

──アルバムの曲順だと「晩夏の証」の次が「Let “moon drop” down?」。これはアルバムならではの曲のひとつだと思います。

浜口：僕らだけじゃなくて、他のバンドに関することを見て感じたものもすごく入っています。ファン同士の論争とかを見ていて、“そういう考えは他の人に強要するものじゃないんじゃない？”って思ったりするので。

──“新規vs古参”みたいな対立とか、“人気が出ちゃったから聴かない”とか、そういう感じのことですよね？

浜口：はい。好きだからこそ、その人それぞれの正義があるんでしょうけど、そういうのは自分の中で大事にするだけでいいんじゃないかなと。普段はお客さんが共感してくれるような曲を書いているんですけど、「Let “moon drop” down?」に関してはバンドマンが共感する部分が多いんじゃないかなと思っています。

原：SNSやYouTubeのコメント欄とかを見ると、いろいろなことを目にしますからね。それに対しては、僕もこの曲と同じ気持ちです。

坂：ファン同士が揉めていたりするのは、僕も見たくないです。

清水：僕もそういう揉め事は見たくなくて、SNSを見るのをやめていた時期がありました。

──バンドに対する気持ちから生まれる争いを描いたという点で、「Let “moon drop” down?」もラブソングの一種なのかもしれないです。

浜口：おっしゃる通りですね。新しい一面を出せた曲にもなったと思います。


──「excuse!excuse!」は、十八番の作風ですね。男女の口論を描いた「doubt girl」や「kiiteruno?」とか、過去のアルバムに収録した曲に通ずるものを感じます。

浜口：アルバムには、激しい曲も入れたいんです。こういうのが好きなお客さんも多くて、恒例になってきている感じがありますね。今回のアルバムに収録される曲のタイトルだけが発表された段階で「Let “moon drop” down?」と「excuse!excuse!」は、お客さんから“激しい曲じゃないかな？”っていう反応になっていました。

──「excuse!excuse!」は、気持ちよく踊れそうな音に仕上がっているのも面白いです。

原：バスドラムがずっと4つ打ちですからね。ライブでやったら気持ちいいと思います。

──かなり幅広い作風が発揮されているアルバムですが、ラストの「青春はいつだって」は、ストレートにmoon dropらしさが表現されているという印象です。“愛だの恋だのラブソングだけを歌い続けるバンド”というのが、まさに表れている曲じゃないですか？

浜口：そうですね。moon dropは、幸せなラブソングを作るだけではないんです。実る恋がある一方で、散っていく恋もあるので、報われなかった想いも支えられるような曲をこれからも書いていきたいと思っています。そういう想いをこの曲に込めています。良い恋をするだけが恋の全てはないですし、「実らなかった恋にも間違いなく意味があったよ」と言ってあげられるバンドでありたいんですよね。

──作曲は浜口さんと坂さんのお二人が中心となって進めているとのことですが、「青春はいつだって」についてはいかがでしたか？

坂：moon dropらしい曲調なので、悩むことなくストレートに作れました。

浜口：歌い出しの部分がもともとあって、それを(坂)知哉に聴いてもらった時、「この曲、作りたい」って言ってくれたんです。そこから広がっていきました。

清水：サウンドも歌詞もストレートですね。ギターも思いついたままフレーズをつけていきました。ド直球みたいなイメージです。

原：この曲だけ、ドラムが2タムなんです。シンプルでありつつ、それだけだと何かが違うなと思って、フィルは練りました。手順は簡単なんですけど、ちょっと味付けを加えることを意識しています。いつもお願いしているドラムテックさんがいて、そのテックさんがいるから“2タムで挑戦してみたい”という気持ちもあったんです。

浜口：支えてくれるスタッフさんは僕らの曲にすごく寄り添ってくれるので、すごく楽しくやれています。今回のアルバムは今の僕らが作ることのできる一番良いものに仕上がっただけじゃなくて、自分たちがこれから先に作っていく曲への期待に繋げることもできています。


──アルバムをリリースした後は、3月21日の愛知・DIAMOND HALLを皮切りに5月16日の東京・LINE CUBE SHIBUYAがファイナルとなる全国ツアー＜前途洋々ラブストーリー＞ですね。ライブハウスとホールが混在していますが、ホールワンマンは、これが初めてですか？

浜口：初めてです。ホールでもライブハウスでも戦えるバンドだと示せるように、ツアーの1本ずつを大事にしていきたいです。

清水：ワンマンツアーも初めてなんです。10周年という節目でこういうツアーをすることができて嬉しいです。初日がバンド結成日なんですよね。今までのmoon dropを更新できるようなツアーにしたいです。

坂：みんなで楽しく、怪我することなく、仲良く、各地を回りたいです。

原：ワンマンは東名阪しかやってこなかったので、それ以外の場所でもやれるのが楽しみです。1本1本で成長していきたいです。

──＜前途洋々ラブストーリー＞というツアータイトルは、インパクトがありますね。

浜口：道が少しずつ開かれていることに対する期待があるので、このタイトルになりました。この先に繋がっていくツアーにしたいと思っています。

取材・文◎田中大




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