【インタビュー】現代型ジャズギタリスト・竹内勝哉とは? 音楽人生と1stアルバムに込めたアイデンティティ

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◾️ロックのバンドとは違って、コラボレーションみたいな感覚があります

──竹内さんの曲って、自分のギターばかりが前に出るわけじゃなくて、ピアノ、ベース、ドラムのトリオ編成みたいになる時間も少なくないなと思ったのですが。

竹内:ピアノの演奏もすごく好きなので、必要に応じてそうしたくなるんですよね(笑)。いろんな考え方があると思うんですけど、僕はエレクトリックな音が多めのギタリストだし、ピアノのきれいな音にギターをあまり被せたくはない。だから、時には後ろでワウとか効果音っぽい弾き方をして、ピアノを活かすようにしています。

──音がぶつかる感じになるよりは、きれいな響きや参加メンバーの個性を活かしたいってことですね。

竹内:そのほうが僕も楽しいんです。これまで何度かいっしょにライブをやってきて、今年だいぶ仲良くなったメンバー(※Pf:平手裕紀、Ba:荒川悟志、Dr:杉山寛)なんですけど、年齢も近いですし。ジャズ系のミュージシャンってそれぞれに作品を出していたり、独立した音楽性を持っていたりするので、距離感も非常に心地いいというか。ロックのバンドとは違って、コラボレーションみたいな感覚があります。



──「Interstellar」と同じく先行配信された「886」は、またガラッと曲調が変わって。

竹内:「886」には、自分の好きな邦楽ポップスからの影響が表れています。ユーミン(松任谷由実)さんとか、きのこ帝国とか、最近のボカロものでもよく使われるコード進行と、ジャズのポピュラーなコード進行を混ぜ合わせてみた曲です。この切なくエモーショナルで、明るくも暗くもあるような、思い出が美化されるような不思議なサウンドに、僕は日本的なものを感じていて。そんなニュアンスが伝われば嬉しいですね。

──より歌っているギターのメロディにも惹かれました。

竹内:ギターが歌の役割も兼ねるようなイメージで弾いています。

──曲の後半には“ズンチャッチャ”っていうワルツ調のリズムも入ってきたり。

竹内:ああいうのが、まさにアドリブです。メンバーが咄嗟に雰囲気を変えてくれたのを活かしました。

──それがそのまま音源になっているんですね。

竹内:だいたいの曲尺、コード進行、大枠のリズムは決まっていたんですけど、細かいプレイ内容は彼らに委ねているので、こういったアドリブが生まれるんです。レコーディングもアイコンタクトを取りながら演奏しました。

──レコーディング映像を拝見したんですけど、まさに4人がアイコンタクトを取りながら演奏されていて。しかも、すごく楽しそうに。

竹内:あははは(笑)。“次の展開に行くよ”と目線で伝えるとか、こういうのもアドリブの醍醐味です。「886」の終盤は感情を全面に出すようにギターを弾いていて、ロックテイストに振り切っていたりもしますね。



──先程「ロック的なフィーリングの曲もある」とおっしゃってましたけど、「Erupt」なんかはまさにそっち系で。

竹内:メタル好きがあふれ出ちゃってますからね(笑)。ジャズでギターリフ、しかも低音弦のパワーコードから始まる曲なんてほとんどないですよ。「Erupt」に関しては、もはやジャズとも思ってないかも。

──途中でブライトなシンセが入ってきたりと、いろいろ混ざり合っている感じがします。

竹内:こういった曲こそ、自分らしくて面白いのかなと思います。すごくストレートなジャズやロックをやっている人からしたら、僕の音楽はそのどちらでもないと言われそう。

──クロスオーバーした中性的な感じがいいですよね。

竹内:これまでに取り込んできたいろんな音楽をミックスさせて、自分なりの形で昇華させたい。そういう気持ちがいちばん強いです。

──他に、竹内さんが思うアルバムの聴きどころは?

竹内:ぶっ飛んだ「Erupt」みたいな曲もあれば、「Play is Work」や「Tears of Rainbow」のようなジャズ要素が強めの曲も入っているところとか。「886」「Timeline」「Iriai」では、邦楽ポップス的なサウンド、わかりやすいメロディを意識していたり。やっぱり自分の好みを顕在化させながら、カラフルにまとめられたところですかね。



──ジャズが好きな人だけじゃなく、幅広いリスナーに聴いてもらえそうなアルバムになったんじゃないですか?

竹内:たとえば、SPECIAL OTHERSのようなインストバンドとか、残響レコードに代表される変拍子の効いたポストロックとかが好きな方にも、気にしてもらえたら嬉しいですね。ジャズはもちろん、そういった音楽も僕は通ってきたので。

──確かに、「Maze」はスペアザ的な心地よさを感じました。

竹内:出てますよね、どことなくそういったテイストが。聴きやすいアルバムになったと思うし、普段ロック&ポップスがメインの方もよかったらチェックしてみてほしいです。

──現段階で決まっている今後の予定などは?

竹内:1月12日に名古屋の鶴舞K.Dハポン-空き地-でレコ発ライブが決まっていて、レコーディングメンバーで新作のオリジナル曲をたっぷり演奏する予定です。音源の感じもありつつ、その日限りのプレイもアドリブで入ってくるような、楽しい内容になるんじゃないかなと。ミスを恐れずにトライするので、いい意味でハプニングが起きるかもしれません(笑)。

──まずは、配信リリースされたアルバム『Yoi/宵』を聴いてほしいですね。

竹内:ぜひ、お願いします! 次の春あたりには、今回のアルバムをCDリリースできればいいなって。東京とかでもライブをやりたいです。

取材・文◎田山雄士

使用機材

・使用ギター
Westville Vanguard SC

・使用エフェクター
Strymon Bluesky
Strymon El Capistan
KLON KTR
Bondi Effects Sick As
Bananana Effects MANDALA 等

リリース情報

■1stアルバム『Yoi/宵』
2023年12月13日リリース
配信リンク:https://distrokid.com/hyperfollow/katsuyatakeuchi/yoi

収録内容
1.Lift Off
2.Interstellar
3.Timeline
4.Maze
5.Play is Work
6.Iriai
7.Erupt
8.886
9.Tears of Rainbow

■先行配信「Interstellar」
配信リンク:https://distrokid.com/hyperfollow/katsuyatakeuchi/interstellar

■先行配信「886」
配信リンク:https://distrokid.com/hyperfollow/katsuyatakeuchi/886-2

<Katsuya Takeuchi Quartet 1st Album “Yoi” Digital Release Party>

2024年1月12日(金)
18:30 Open / 19:00 Start
3000yen(Drink代別)
※予約は各出演者、またはKD・ハポンまで。
会場:KD・ハポン (ケーディ・ハポン)~空き地~

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