【インタビュー】樽木栄一郎&中條卓、「ベースが変わることで、これだけ景色が変わるんだっていうのを皆様に体感してほしい」
樽木栄一郎が再び南青山BAROOMにてフルバンドでライブを行うことが決定した。今年7月、宮川剛(Ds)、千ヶ崎学(B)、島裕介(Tp/Flute)、ヤマカミヒトミ(Sax/Flute)といった手練れを仲間に、ソロ、デュオ、トリオ、カルテット、クインテットとさまざまな形態で、デビュー20周年記念に相応しいパフォーマンスを魅せてくれた樽木。12月に行うライブでは、ベーシストだけがシアターブルックでもお馴染みの中條卓に代わり、樽木曰く「ベースが変わることで、こんなに景色が変わることを楽しんでほしい」という、何とも気になるパフォーマンスになりそうだ。今回は樽木に加え、中條にも同席してもらい話を聞いた。
◆樽木栄一郎&中條卓 関連画像
──本日は12月のBAROOMでのライブに向けてお話を伺いたいと思います。最初に樽木さんにお聞きしたいのですが、7月のBAROOMでのライブは振り返ってみてどんな感想でしょうか?
樽木 なんかサーカスの一員になったような……しばらくは弾き語りでズーッと過ごしていたので、とにかく爆発したって感じで、本当に楽しかったですね。
──あの後、ああいう形のバンドセットはやられてないですか?
樽木 ないですね。翌日ぐらいからまた普通にひとりで旅に戻ったので、急に寂しくなった感じでしたけど。
──あのライブの後にソロでやるライブは、気持ちやライブスタイルに変化はありましたか?
樽木 プレイは変わりましたね、やっぱり。しばらくはあの周りの音が鳴ってるような感覚というか、弾き語りでやっていても、周りに音があるような感覚でやれたので、フルバンドでのライブは定期的にやれたらいいなって思いました。
──中條さんはそのときのライブは観られたり聴かれたりしたんでしょうか?
中條 いや、観てないんですよ。ていうか実のところ、樽木君と会ったのは何年ぐらい前だろう……10年とか前で、その後、僕はSNSを通じて彼がどういう活動してるかっていうのは把握してたくらいで、ライブを観に行ったりすることはほとんどなくって。音はたまに聴いたことはあったんですけど。本当にものすごいご沙汰で誠に申し訳ない感じです。
──おふたりとも2013年11月26日のMotion Blue YOKOHAMAでのライブ(樽木栄一郎×高橋てつや×KAZU OTOASOBI &アナロジー発売記念PREMIUM PARTY!)以来ってことしょうか?
樽木 そうですね、ちょうど10年前ですね。
──おふたりのそもそもの出会いはいつ頃なんでしょうか?
樽木 そのMotion Blue YOKOHAMAなんです。ミュージシャンがたくさん出てくるようなイベントで、中條さんはスペシャルゲストという形で参加していて、いろんなアーティストが入れ替わり立ち代わりする……
中條 そうですね。そのときは何人かのフロントミュージシャンの人のサポートみたいな感じでベースを弾いたんですが、それが樽木くんと会ったときの最初のきっかけですね。
──お互い第一印象はどんな感じでしたか?
中條 樽木君は割とストイックな……なんて言うのかな、本当に“音楽小僧”って言うと変なんですけど(笑)、自分の演奏とか歌とかに対してすごくこだわりが強そうだなって思いました。あとは自分のスタイルができている人。で、なおかつ僕は最初に一緒に音を出したときに、ギタリストとしての印象がめちゃくちゃ強くて。ガットギターをああいう感じで弾く人っていうのが周りにいなかったので、すごい新鮮でしたね。そこにあの歌を乗せる乗せ方がすごいやっぱり独特で。ちょっと周りにいない感じの人だなっていう印象はすごく強かったです。だからすごく印象に残ってるんです。
樽木 恐縮です。ありがとうございます。
──樽木さんは中條さんの第一印象ってどんな感じでしたか?
樽木 第一印象というより、シアターブルックはよく聴かせてもらって、もちろん存じ上げてましたし、一緒にやらせていただける機会に恵まれ、一緒に音を出し、「うん、中條さんだな」っていう感じでしたね(笑)。形容し難い存在感というか、音を出して余計にそれを感じましたね。
中條 ありがとうございます。ていうかね、あのとき、そんなに喋ってないよね? こう喋って話してみて、こういう感じの人だって今分かったんですけど、ちょっと嬉しい驚きでした(笑)。
樽木 ちょうど10年前のあの時期、僕が年に300本ぐらい全国を旅して歌っていたので、それこそストイックというか、自分の殻に閉じこもるような感じだったので、共演ミュージシャンと話をした覚えがほとんどないんですよね。それから10年経って今、少しずつ“ええ人間”になってきたという感じで。
中條 でも、その活動の感じ、例えばネットで樽木君が書いた文章を見ると、「この人ってめちゃくちゃ熱い人なんだな」っていうのは分かりました。自分で何か発信することに関して、ものすごく饒舌な感じはしないんですけど、それでもやっぱり言葉の選び方とか上手で、うちに持っているものがすごく熱い人だなというのは思ってましたね。
樽木 ありがとうございます。
──10年前にやったライブは何曲か一緒にプレイされたんですか?
樽木 少なかったですよね、確か2曲とかそんな感じかな。
中條 そうですね、すごい人数が出演していたので、多分2曲ぐらいだったと思いますね。
──いきなり一緒に演奏されて、やりやすいとかやりにくいとか、そういうのってあるんでしょうか?
樽木 リハーサルが一度あったんですよね、確か。
中條 そうそう。僕はやりやすかったですね。樽木君はすごくリズム感がいい人だなって思ったので。そういう意味でこっちがめちゃめちゃ支えないといけないっていう感じがない。その本人のリズムの感覚に、変な話、自分はリズム隊なんですけど、逆に乗っかれるというか、本人のペースがすごくしっかりしてるので、こっちで頑張んなきゃっていう感じがなかったかな。
樽木 僕は大体リズム隊の方と最初にご一緒するときは、間の取り方をものすごく集中して聴くようにしておりまして、リハーサルのときは、あえて僕がかなり強めにリズムを出すんですね。
中條 なるほど。
樽木 そうなったときに、こっちに委ねていただいたか、あまりそういうの関係ない人なのか、っていうのがすぐ分かるんですけど、先ほどの中條さんの話、そこを感じ取っていただいてたんだなっていうのが分かったので、割と無言ながらも俺のリズムはこれですよっていうのを伝えてたつもりだったので。
中條 うんうん、伝わってました。
樽木 それで歌を噛み合わせたときに、隙間を縫ってくれるという印象が中條さんのプレイには強かったですね。だから僕は本当に歌いやすかったです。
中條 それなら良かった。いや今度一緒にやったときに、あれ、なんか違うかも、ってならないようにします(笑)。
樽木 それはないです(笑)。
──では12月は、まるまる10年ぶりに一緒に演奏されることになりますが、どんなライブになりそうですか? 10年経ったおふたりが昔と一緒なのか変わったのか気になるところですが。
樽木 変わってないと思います。変わってないというか変わりようがないというか、僕がやってることも10年前とほとんど一緒だと思いますし。ただあとは僕の細かい抑揚の付け方だったり、リズムに対して、逆に中條さんに遊んでいただきたいみたいなところはありますね。
──ちなみに7月のライブとの違いって?
樽木 曲目と、編成がベースだけ千ヶ崎(学)さんから中條さんに変わったという形。大幅な変更を考えてはいたんですけど、どうせなら普段あまり経験しないような、前回も今回もしっかりとリズム隊がいる状態で、前回観た人も違いが分かって面白いだろうなって思って。
──ベーシストが変わると曲全体の雰囲気とかイメージも変わりますか?
樽木 変わると思いますね。振り幅っていう言い方でいいのかな、楽曲自体はそのままで、僕がやることもアプローチは変えないつもりでいて、それに対して──一度リハーサルはする予定なんですが──基本的にはプレイヤーにすべてお任せでやりたいと思ってるんです。なので余計にその違いが出てくると思うんですよね。
中條 そういう意味では僕としては責任が重いなと思っておりますが(笑)。
──中條さんはバンドのグルーブをどういうふうに変えてやろうとか、意気込みみたいなのはありますか?
中條 特に変えてやろうっていうのはないんですけど、誰かと全く同じやり方にはならないし、その人の持ってる感じでなるようにしかならないとは思うので、自分の今までいろいろやってきた中のものを樽木君の音楽にうまく合わせていくじゃないですけど、一緒に組み合わせたときにどういうふうになるのかなっていうのが純粋に楽しみ。僕はそういう感じでやりたいとは思っています。だからバンドのメンバーの人とか、樽木君本人はもちろんですし、樽木君のバンドのセットを今まで観てきた人たちが、どういうふうに感じるか。結果的に外側からみて、「この人がメンバーだとこういう感じになるんだ」って、ちょっと怖いですけど(笑)、そういうところを楽しみにしてます。
──観に来られるお客様にメッセージがあればお願いします。
中條 今回、樽木君と一緒にバンドのライブに出演させていただきますベーシストの中條です。樽木君と本当に10年ぶりに一緒に音を出すっていうことで、自分の中である程度、どういう感じになるかなっていうのはなんとなくイメージとしてはあるんですけれども、その自分の思ってる感じをうまく出せるように頑張ります。それが新しい樽木君のバンドセットのサウンドとしてうまく出せればなとは思います
──ありがとうございます。樽木さんはいかがですか?
樽木 前回と全く違う景色が見えると思います。ベースの方が、そこだけがピンポイントで変わることによって、これだけ景色って変わるんだっていうのを皆様に体感してほしい。前回参加した方も観に来ていただけると、2倍3倍4倍、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。ぜひともご参加ください。
──ありがとうございます。最後に今度デビュー曲「I'm a loser」の2023年バージョンが出ますが、それについて一言コメントをいただいて終わりたいと思います。
樽木 20年ぶりの再録という形で、リアレンジした作品です。元の音源をあまり崩すことなく、現代の20年後の樽木が歌ったらこうなるという、そし今回は管楽器以外すべて自分で打ち込みを使って作ったので、昔からのファンの方もそうですし、弾き語りから入った方々にも、こういう引き出しも持ってるんだというのが分かってもらえると思うので、ぜひ聴いていただきたいですね。
<樽木栄一郎>
南青山BAROOM
OPEN 18:00|START 19:30
・客席入口よりステージ前を通ってご着席いただきます。開演時間に遅れないようご注意ください。
■料金 / PRICE
HALL TICKET(全席指定)
[前売] ¥6,000 │ [当日] ¥6,500 *1ドリンク別
・受付にて1ドリンク代(¥1,000)を別途お支払いいただきます。(エントランス時のみ現金支払い)
・お座席は事前に配席され、当日開場時間より受付にて座席引換券をお渡しいたします。
・お客様都合によるチケット代の返金/キャンセルは承っておりません。予めご了承ください。
■出演 / CAST
樽木栄一郎[Vocal,Guitar]
宮川剛[Drums]
中條卓[Bass]
島裕介 [Trumpet/Flugelhorn/Flute]
ヤマカミヒトミ[Sax/Flute]
■共催 / CO-SPONSORED
株式会社マッチファインダー / 株式会社フェイス
「I'm a loser 2023」
※当日CD-Rで100枚会場限定販売
FIRST CALL RECORDINGS
◆樽木栄一郎 オフィシャルサイト
◆中條卓 Twitter
◆BAROOM オフィシャルサイト
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