【ライヴレポート】MUCC、ツアー<「Timeless」~カルマ·シャングリラ~>「いろんな思いを乗り越えて、ここにいることが素晴らしい」
MUCCが11月11日、大阪・なんばHatchにて<MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」~カルマ・シャングリラ~>の最終公演を開催した。同ツアーは過去のアルバムを再構築したセットリストで全国を巡る結成25周年コンセプトツアー<Timeless>の第4弾であり、結成25周年イヤーのツアーセミファイナル公演となるものだ。
◆MUCC 画像
これまで<是空・朽木の灯><鵬翼・極彩><志恩・球体>といった<Timeless>シリーズを重ねてきたMUCC。<カルマ・シャングリラ>ではアルバム『カルマ』(2010年発表)および『シャングリラ』(2012年発表)を軸として開催、10月1日の仙台公演から全国13公演を巡り、大阪公演でファイナルを迎える。
ミヤ(G)が選曲した開場BGMは、ユクセック、レディー・ガガ、ダフト・パンク、ケミカル・ブラザーズなど、踊れるナンバーが続き、アルバム『カルマ』『シャングリラ』の作品イメージを彷彿とさせるもの。開演前から会場がほどよく熱を帯びていくと、定刻にSEとして「鼓動」が鳴り出した。タイトルどおり心臓が脈打つように照明が点滅を繰り返し、オーディエンスのハンドクラップを煽るようにBPMが速まる。
ステージにメンバーが登場し、逹瑯(Vo)がマイクスタンドを高々と掲げると、『シャングリラ』収録1曲目の「Mr.Liar」へ。レーザーやミラーボールがギラギラとした光を放ち、フロアがライヴハウスからクラブへと変容していく。そのギラつく光は『シャングリラ』のジャケットそのものだけれど、響く歌声は光と相反するように低く轟き、オーディエンスの興奮を底から煽っていく。
今回のツアーは会場ごと、『カルマ』『シャングリラ』両作品のいずれかをメインにしたセットリストで構築されていた。大阪公演は1曲目からわかるように、『シャングリラ』を中心としたもので、続く「G.G.」もアルバムの流れに沿うようにAllen (Support Dr)がマーチングドラムを軽快に鳴らし、吉田トオル (Support Key)の多彩なピアノとシンセサイザーが昂りをさらに高めていく。逹瑯が足を振り上げると、観客の掛け声も一層大きく響いた。ミヤのエレクトロ的で浮遊感のあるギターリフが堪らなく気持ちいい楽曲だけれど、11年前のリリース当時よりもタフさが増しているように感じた。
サイレンが鳴り響き、警告灯がフロアを真っ赤に照らす。「狂っちまえば?」──逹瑯の不敵な笑みから繰り出した「サイレン」は、ツアー<カルマ・シャングリラ>会場限定発売シングルの表題曲だ。大股開きでしゃがみ込み、ダークでポップなメロディを淫靡に歌い上げる逹瑯。負のイメージはバンド初期を彷彿とさせるけれど、現在進行形のMUCCサウンドがしっかりと詰まっている。これまでのツアーで夢烏(MUCCファンの呼称)に十分に浸透してきたのだろう。何も言わずとも、息ぴったりにフロアが沸き上がっていく。
「ネガティブダンサー」ではコーラスだけでなく、オーディエンスの掛け声も相まってフロアのテンションがヒートアップ。『シャングリラ』はコーラスがいつも以上に多用されたアルバムだが、同作品が中心のセットリストとなると、ライヴが一層華やかさを増す。続く「ブレア・ラビット」は2012年リリースのライヴDVD『-MUCC 15th Anniversary year Live-「MUCC vsムック vs MUCC」不完全版『密室』』に収録されたレア曲。『シャングリラ』と同時期に制作された楽曲であり、改めてバンドヒストリーに沿ったライヴなのだとわかる。
「いいかい、大阪。今日はファイナルってだけじゃねぇんだ。<Timeless>ツアーのセミファイナルだ! (記念すべき日に)大阪を選んでやったんだ。ありがたく楽しめよ! 楽しませてくれよ!」──逹瑯
逹瑯が声高らかに叫び、「フォーリングダウン」へ。ビカビカに光り輝くミラーボールのもと、ダンサブルなロックサウンドがオーディエンスを揺らす。「under the moonlight」は「サイレン」同様、今ツアーから披露されている新曲だ。1980年代を彷彿とさせるニューウェイブ風ビートロックは、最新作ながら『シャングリラ』の世界にもぴったりとハマる。今回のコンセプトツアーでは歴代アルバムを軸に多彩なMUCC像を見せたが、『シャングリラ』『カルマ』はライヴで踊る楽しさを教えてくれた作品だったようだ。
YUKKE(B)のアップライトベースが冴える「ピュアブラック」ではジャジーな音色の中、逹瑯がエロティックに声を絡ませていく。かと思えば「狂乱狂唱~21st Century Baby~」では陰陽が急展開していく歌唱でフロアを圧倒。飴と鞭を織り交ぜた展開に必死に食らい付く夢烏。完成度が高まったツアーファイナルだけあって、互いに負けん気を見せる攻防戦のようなライヴに場内の熱気は高まるばかり。
「終わっちゃうねぇ…。(終わるのは)嫌だー!」──2022年4月から始まった<Timeless>シリーズツアーを思い返し、思いを吐露する逹瑯。
「愛おしい過去、見たくない黒歴史もいっぱい。でも、いろんな思いを乗り越えてここにいることが素晴らしい。いつまでも無邪気で汚い笑顔を見せて空を飛んでいこう!」──逹瑯
相変わらずの天邪鬼なセリフだけど、そこにたっぷりの愛が詰まっていることを夢烏たちは知っている。夢烏の想いを乗せた「MOTHER」では客席が手を高く掲げ、優しさに満ちた壮大なロックを全身で受け止めた。
「アルカディア」「約束」では変幻自在なMUCCサウンドをこれでもかとみせつける。「アルカディア」発表時はあまりのサウンドの変貌ぶりに驚かされたが、芯にある哀愁を感じさせるメロディは彼ららしく、逹瑯が描く詞世界は想いを丁寧に拾い上げて優しい。「行こうか!」とミヤが声高らかに叫び、「ニルヴァーナ」へ。感情を揺さぶるミヤのギタープレイを極限まで高めるYUKKEとAllenのグルーヴ。鉄壁なバンドの音を背に、逹瑯が伸びやかな歌声で想いを昇華させる。ライヴは『シャングリラ』の流れを汲むように「You&I」「シャングリラ」で本編を終了した。
「バンドもファンも、いろんな人の見せ場が多かったツアー。コロナ禍を経て、歓声や拍手にも変化が出て、いろんな楽しみ方ができた」──逹瑯
アンコールで改めて<Timeless>ツアーを振り返った3人。25周年イヤーとして開催したライヴの本数は70本。さらにツアーの合間には対バンツアーやフェスにも出演するなど計85本を超えるステージを駆け抜けてきたというから、5日に1本の割合でライヴを重ねてきたこととなる。それでもYUKKEは、「あっという間に終わってしまった」と、バンドにとって充実した期間だったことを語った。
「今年もお世話になりました! もうひとつお世話になりたい!」と、12月28日に東京国際フォーラムにて開催されるツアーファイナル<MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to『Timeless』&『WORLD』>についてもアナウンスした逹瑯だが、ここではさらに嬉しい報せも続々と届けられた。
まずニューアルバム『Timeless』リリースだ。25周年記念ツアーでリリースされた会場限定シングルはもちろん、過去の楽曲を厳選して『Timeless』版として新録。アルバムと同名の「Timeless」という新曲も作り上げたという。また、結成25周年を記念したアニバーサリーブック『MUCC 不朽』のリリースも決定。どちらもツアー千秋楽と同日の12月28日に発売されるなどアニバーサリー感たっぷりだ。さらに、2024年2月14日には結成25周年コンセプトツアーの一部を収録した映像作品『MUCC ライヴクロニクル5 25TH ANNIVERSARY 上巻』もリリース。過酷なスケジュールのなかでこれらを作り上げたことに「すげーだろ!?」と逹瑯がドヤ顔を見せると、観客は大喜びで拍手喝采。
そしてアンコールはトドメを刺すように「MAD YACK」「蘭鋳」といったタフでアグレッシヴなナンバーを投下。「無事ここまで来られた! 残り少ないけど、最後までよろしく!」と逹瑯。ラストは「WORLD」だ。ステージ背後のスクリーンには歌詞が映し出され、オーディエンスともに大きく温かな歌声を響かせる。メンバーも夢鳥も多幸感たっぷりの表情を見せてセミファイナルが終了した。
長かったツアーを経て、ツアーファイナル<MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to『Timeless』&『WORLD』>ではどんな楽曲が披露されるのか。新曲「Timeless」については、「共に歩んでくれた人へのラヴソング。愛を受け取ってほしい。みんなで歌えるところもあるので、ぜひ歌ってほしい」と逹瑯が語っていた。MUCCらしさ溢れる楽曲に仕上がっていることは間違いないだろう。25周年記念ツアーを締めくくる東京国際フォーラムの舞台に期待が高まる。
取材・文◎黒田奈保子
撮影◎冨田味我
■<MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」~カルマ・シャングリラ~>2023年11月11日(土)@なんばHatch セットリスト
02. G.G.
03. サイレン
04. ハニー
05. ネガティブダンサー
06. ブレア・ラビット
07. フォーリングダウン
08. under the moonlight
09. あすなろの空
10. ピュアブラック
11. 狂乱狂唱~21st Century Baby~
12. 夜空のクレパス
13. MOTHER
14. アルカディア
15. 約束
16. ニルヴァーナ
17. You & I
18. シャングリラ
encore
en1. MAD YACK
en2. 蘭鋳
en3. WORLD
■ニューアルバム『Timeless』
2023年12月28日(木)発売
【特別特装盤(朱ゥノ吐+会員限定生産盤 )】6,900円(税込 / 送料別)
予約受付中:https://fanicon.net/web/shops/4122
※朱ゥノ吐+会員限定/数量限定での受付となります
▼特典
(1) <MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」~カルマ・シャングリラ~ - Official Bootleg->(2023.11.05 名古屋ボトムライン)
「Chemical Parade ~フォーリングダウン」~「ケミカルパレードブルーデイ」~「零色」~「サイレン」~「under the moonlight」~「A.」~「楽園」~「終着の鐘」~「アイアムコンピュータ」~「堕落」~「月の夜」~「ポラリス」~「羽」~「約束 -Original Lyric ver.-」~「ライオン」~「フリージア」
(2) The Making of Timeless ※Blu-ray (レコーディング、MV撮影などの風景を収めた制作ドキュメンタリー)
(3) 撮り下ろしブックレット
【通常盤】3,520円(税込)
▼CD収録曲 ※特装盤/通常盤共通
01. サイレン
02. G.G. -Timeless Ver.-
03. under the moonlight
04. 99
05. リブラ -Timeless Ver.-
06. 想 -so-
07. ガーベラ -Timeless Ver.-
08. 死の産声
09. 耀 -yo-
10. 路地裏 僕と君へ -Timeless Ver.-
11. Timeless
12. 空 -ku- (JaQwa Remix)
■『「Timeless」発売記念インストアイベント「MUCCサンタからのプレゼント大お渡し会!」』
▼2023年
12月02日(土)17:00~ エンタバアキバ(逹瑯参加)
12月03日(日)15:00~ タワーレコード仙台パルコ(YUKKE参加)
12月09日(土)17:00~ エンタバアキバ(ミヤ参加)
12月10日(日)15:00~ 名古屋fiveStars(逹瑯参加)
12月15日(金)17:00~ タワーレコード梅田NU茶屋町店(ミヤ参加)
12月24日(日)17:00~ エンタバアキバ(YUKKE参加)
※サンタクロースに扮したMUCCメンバーがプレゼントをお渡しします
※参加券1枚につきプレゼント内容を下記より1つ選択可能
・握手
・ツーショット写真撮影
・ツーショット動画撮影(10秒)
・私物サイン
・直筆クリスマスカードのお渡し
■映像作品『MUCC ライヴ クロニクル5 25TH ANNIVERSARY上巻』
【朱ゥノ吐+会員限定盤 】39,250円(tax in)
受注開始日:12月1日(金)〜
▼収録公演
●2022年05月04日:<MUCC 結成記念日〜Beginning of the 25th Anniversary〜Special Acoustic in 味園ユニバース公演>
●2022年08月22日:<MUCC TOUR 2022「新世界」~Beginning of the 25th Anniversary~京都KBSホール公演>
●2022年10月31日:<MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」~是空・朽木の灯~ CLUB CITTA’公演>
●2022年11月05日:<MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」~是空・朽木の灯~ 神戸 Harbor Studio公演>
●2022年12月14日:<MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」~是空・朽木の灯~ KT Zepp Yokohama公演>
●2023年02月14日:<MUCC 25th Anniversary Special Liveムック試験導入公演その5.暴れて、感じて、声出しOK。『咆哮』GORILLA HALL OSAKA公演>
※詳細は後日発表
■アニバーサリーブック:結成25周年記念スペシャルエディション『MUCC 不朽』
3,960円(税込)
※タワーレコード独占販売
※予約開始日は後日発表
発行:(株)音楽と人
■<MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to「Timeless」&「WORLD」>
12月28日(木) 東京国際フォーラム ホールA
open17:00 / start18:00
▼チケット
・夢烏席(通常指定席):7,800円(税込)
・御祝席(※1F後方または2F後方席):5,569円(税込)
※営利目的の転売禁止、未就学児入場不可
一般発売日:2023年11月26日(日)
■ライヴ/イベント出演
11月24日(金) 新宿BLAZE ※SOLD OUT
<響都超特急2023 ~KYOTO ULTRA EXPRESS~>
12月16日(土) 京都パルスプラザ
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