【インタビュー】FAKY、「これから“DEPARTURE”だねって一緒に思えるように」

◾️全ての魂を、私はこの日のZeppに置いて帰りたい

──2曲目の「To The Stars」は、“To The Top”で頂点を目指して突っ走るのではなく、“Stars”になるまで人生かけて燃え尽きろといっているところがエモかったです。しかも歌詞には“FAKY”まで歌いこんである。これは歌っててメンバーもガンガンにスイッチが入るんじゃないかなと思いました。

Mikako：うん。入りますね。

Lil’ Fang：楽曲を書いて頂いたYoheiさんは、私が10代の頃にクラブに歌いに行ってる頃からの知り合いで。みんなで意見を出し合ってこういう曲がいいって言っていたものを細かく反映してくれてたんですよ。ちなみに私は「FAKYって言葉を入れたいです」って言ったんですけど。

Hina、Mikako：私も！

Lil’ Fang：えー！　いま初めて知った（笑）！

──みなさんの想いを感じての“FAKY”の歌い込みだったんですね。3曲目「大丈夫 [Prod. ☆Taku Takahashi (m-flo)]」はアッパーな一曲で。

Lil’ Fang：聴いて耳が楽しくなる曲です。

──これは特にHinaさん、Takiさんが今までとは違うボーカルアプローチに挑戦しているように思えたんですが。

Taki、Hina：嬉しい！

Lil’ Fang：2人もそうだけど、みんなそれぞれの新しい扉が開いた感じですよね。だから私、今回の作品のなかで何回も聴きたくなるのはこれ。

Mikako：面白いよね。

Akina：面白い。

Hina：私はいつもだったらファルセットでエアリーなパートが多いんですけど、この曲では声を張ることにトライしました。


──2番のAメロ、歌い出しのところですよね。

Hina：はい。FAKYはみんな歌がうまいし、自分の知らないことを知ってるから日々良いところを吸収させてもらってるんですけど、メンバーのレコーディングもそうで。他のメンバーが歌っているのをみて「こういう風にやるとこうなるのか。今度やってみよう」ってトライしてみるんです。それで「自分でもできた」というのもあれば、その子にしかできないこともあって。なので、日々みんなの歌い方からめちゃくちゃ学んでます。

Lil’ Fang：逆もしかりです。「Departure」ではHinaの歌い方を真似しました。私、毎回1曲通して全員のモノマネで歌ってみるんですよ。

Akina：してる！

Lil’ Fang：モノマネしてみると、歌い方の引き出しが増えるから楽しいんですよ。

──4曲目の「モノクロ」はミディアムバラードですが、ダンスはしっとり系ではないところがポイントですよね。

Akina：本格的にちゃんと踊る振り付けがありますね。

──そして、「モノクロ」といえばなんといっても、MVのラストでMikakoさんがキスを……！

Lil’ Fang：私、MVが送られてくるまで知らなかったんですよ。それで、スマホで見てたらびっくりしちゃって。もっと大きい画面で確かめようと思ってPCで見たもん。

Mikako：やめてよぉ〜（笑）！

Taki：私は当日現場でドキドキしました。撮影してるのをモニターで見てて、「2人の距離が近いな〜」と思ってたらキスしてるから「え！？」ってなって。でも素敵過ぎて見ててドキドキしました（笑）。

Mikako：Masakiとの撮影でしたので、二人で監督さんと話して素敵な作品にしようねって話しました！



──観るほうもちょっと照れました。

Mikako：自分がキスしてるところを家族のような存在のメンバーたちに見られるのって一番恥ずかしいです。しかも、現場で見られてたのが超恥ずかしかった。

Lil’ Fang：そりゃそうだ。Takiがチラチラ視界に入る訳でしょ？　

Mikako：そう（笑）。

Lil’ Fang：でも、映画のシーンみたいで素敵でした。

──美しかったですね。続く「Summer Dive　[Prod. ☆Taku Takahashi (m-flo)]」はFAKYのサマーアンセム。ダンスを真似して踊って、コール＆レスポンスでも盛り上がって、後半にはタオルも出てくるアップリフティングなパーティーチューン。

Lil’ Fang：いろんなバージョンで楽しんでもらおうと思ってつめこみました。

──ラストを飾る「Rock, Paper, Scissors」はDa-iCEの花村想太さんの楽曲。これもシンガロングで盛り上がる曲ですね。

Lil’ Fang：集めていただいたデモを聴いた中で「この曲すごくいいじゃん」思った曲が、花村さんの曲だったんです。

──“手のひらに〜”の歌い出しから「これ、Da-iCEの想太さん？」って勘違いしました。

Lil’ Fang：わぁ！　花村さんと勘違いしていただけて嬉しいです！



──これはタイトル通り、ブレイクのところにじゃんけんの振り付けがでてきますが。Takiさん、フランス語ではじゃんけんはどんな風にいうんですか？

Taki：ピエール、パピエ、スィゾォ。日本みたいな「最初はグー」とかはないです。

──ではAkinaさん、アメリカは？

Akina：ロック、ペーパー、シザー、シュート！　shootは歌詞にも入っていて、アメリカではシュートで出すんです。「いけー！」みたいな感じですね。

──ちなみに、5人の中でじゃんけんが強いメンバーは？

Lil’ Fang：この前、Mikakoが強さを発揮してました。Hinaの地元でライブをやったときにビンゴ大会をやったんですけど、まず黒毛和牛を当てたんですよ！

Mikako：しかも、すごいでっかいのを！

Lil’ Fang：そのあとに私たちの代表を決めるじゃんけんでもMikakoが勝ち、Mikakoと一般の方々で王様じゃんけんをしたら、一回戦で半分以上の方が負け落ちて。

Mikako：はははっ。

Lil’ Fang：あの日のMikakoはじゃんけんの神が降臨してました（笑）。

Mikako：そうね。あの日は降りてたかも。


──ちょっと脱線してしまったので、また作品の話に戻りますね（笑）。今作はCD以外に今年開催したあのショーアップされたLIQUIDROOMのライブ映像が観られる形態もあるそうですが。

Mikako：映像のここを観て欲しいというポイントは上げたらきりがないほどあるんですけど、私がすごく印象的だったのは、カメラに映ったファンの方たちの姿でした。コロナ禍を経て、あの日は有観客有歓声でのワンマンだったんです。「やっと一緒に声を出して歌えた」という感動がありましたし、みんなも同じ気持ちなんだ、と分かったファンの皆さんの表情が私はすごく印象的で。“Rord To 800”を経てのあのライブだったから、この方たちがいてくれて本当によかったなと思いました。ファンの方々がいないと私たちはステージに立てていない訳だから……。あの日来てくださったファンの方たちも「このとき、こういう表情してたんだ」という感じで観ていただくと、また楽しめるんじゃないかと思います。

Akina：私も改めてこの映像を観て、本当にやりきったライブだったなと思いました。リハのときは鏡を見れば全員が揃ってるのは分かるんですけど、ステージでは自分たちを見ることができないから感じるしかないんですね。だけど、映像を観たら５人がパッとキメで揃ってる瞬間がいくつもあって。ここは心が通じ合ってたんだと思うと、私自身、メンバーですけどマジでエモかったです。5人の絆を何回も感じられました。

──そして、来年1月13日にはついにFAKY初のZeppワンマン公演＜FAKY ONEMANLIVE 2024 -DEPARTURE-＞が開催されます。こちらはどんなライブになりそうですか？

Mikako：今日もどういうセットにしたいか、どういう衣装にするのかとか、みんなで案を出しながら朝からミーティングをしてました。冒頭でLilも話していましたが、わざわざ時間とお金を使って集まってくれるのは当たり前のことではないので、その方たちへの「ありがとう」を伝えたい。その気持ちでやりきりたいです。全ての魂を、私はこの日のZeppに置いて帰りたい。


──ロックミュージシャンのような、パッション溢れる熱い発言！

Lil’Fag：これこそがMikakoなんですよ！

Mikako：だって、逆に私たちはみなさんの魂を貰ってるんですから当然です。だから「私たちはこうよ」っていう一方的な感情を見せつけるのではなく、お客さんと遊びながら、前を向いて、これからDEPARTUREだねって一緒に思えるようなライブにしたいです。いまから私はワクワクしてます。

Taki：Takiももちろんワクワクしています。私たちはいろんなところで日々ライブをさせてもらって成長してきているので、そこよりもさらに上のレベル、いままで見せられなかったところを含め、いい意味で新しいFAKYを出せたらいいなと思ってます。LIQUIDROOMとは倍以上大きさが違うので、いつものFAKYが100％だとしたら、このライブは200％感情を振り切ってパワーを出していきたいと思います。

Hina：私はワンマンライブ中に、その場所よりも大きなところでライブをやることを発表するのが１つの夢だったから、前回のLIQUIDROOMでそれを叶えられたのがめっちゃ嬉しかったんですよ。あのときから私もファンの方もすごく楽しみにしているので、その期待以上のパフォーマンスを観せたいと思ってます。それから、LIQUIDROOMは私とTakiが加入することを発表した会場だったんですけど、今回のZeppワンマンは、この５人で本当に初めて立つ場所なので、ネクストレベルのFAKYのライブを観せたいです。

Akina：先輩のライブを何度も観に行ってる会場だから緊張はするんですけど、最初に話していたストリートライブやインストアでファンの方と近い距離でとっていたコミュニケーションを、もっと大きな場所にもっていけるのは嬉しいこと。ずっと応援してくれてるファンのみなさんにも、私たちの成長した姿を観てもらえるのも嬉しい。でも、それもファンのみなさんがいてくれないと私たちはこのステージにさえ立てないんだと心から思ってるから、Mikakoがいっていたように、感謝の気持ちをもって皆さんに恩返しをしたいです。そこがマスト。そして、このライブもFAKYとしてとことんやりきりたいと思っています。

Lil’ Fang：1stシーズンから歴史があるFAKYなんですが、この5人が集まって始まったことは本当に意味があると思うんです。私たちの人生もそうだし、出会えたファンのみなさんもそう。Hinaがさっきいってたけど、この5人で立つ初めてのZepp。だから、この5人で歩んできたことの意味がすごくつまったライブになるだろうなと思ってます。「FAKYってどんなグループ？」って聞かれたら、いま私は「包み込むようなグループ」だって答えます。FAKYのライブはすっごい泣いたりすっごいはしゃいだり、すっごい笑ったりいっぱいするんだけど、最後は笑顔なんですよ。そういう前向きな私たちでいられるのはファンのみなさんがいるからな。このライブで、私たちとみんなでまた一緒に、次のステージに向かってDEPARTUREできたらいいなと思ってます。

取材・文◎東條祥恵