【インタビュー】BLUE ENCOUNT、選んだ未来に手応え「20周年を迎えるバンドがまだまだ挑戦して青春している」
■ “エフェクターを買って、最初に鳴らしたフレーズ”
──先ほど⽥邊さんがおっしゃっていましたが、江口さんはあだち充先生の作品のファンなんですね?
江⼝:はい。高校の時に好きになって、いろんな作品を読んでいます。僕は小学生の頃に野球をやっていて、スポーツ漫画はもともと大好きで、『H2』にはまったのがきっかけでした。周りの友達もあだち充先生の作品が大好きだったので、BLUE ENCOUNTがオープニングテーマをやるのを彼らも喜んでいると思います。
⽥邊:この前、久しぶりに親戚から連絡が来ました。「駿、お前『MIX』やってるな?」って。『タッチ』世代の人なんですけど、子供と一緒に観ているそうです。「駿兄ちゃんの曲がかかってる」と「あだち充先生の作品」という両方でリビングが盛り上がっているみたいで、嬉しいですね。でも……「1個だけクレームがある。うちの子はサッカー部なんだけど、このアニメ観て“野球やりたい”って言ってるよ。どうしてくれるんだ?」って(笑)。
──(笑)。「青春」という感じが伝わってくる仕上がりのサウンドも、『MIX』と重なるものをとても感じます。
⽥邊:個々のプレイも「青春」っていうことにフォーカスしましたからね。グルーヴに関しても綺麗に合わせるのではなくて、「軽音楽部で4人が、“せーの!”で鳴らしたような感覚をいかに出せるか?」を考えました。でも、それは下手に弾くということではなく、かといって頑張り過ぎるのも違う。とはいえ、「どうするのがいいんだろう?」って、漠然とした感じもありました。「青春ってなに?」ってなっていたので。
江⼝:こういうのって抽象的ですからね。そもそも「青春」っていうものに対して抱くイメージも、人それぞれなので。「もっと青春感たっぷりで弾いて」ってレコーディングの時に言われて、それを自分なりに考えて落とし込むのが難しかったです。
──ディレイをかけたギターの音色やフレーズは、青春感に繋がっている要素の1つだと思います。
江⼝:⽥邊がデモで使っていたディレイのフレーズをそのまま使ったんです。僕が考えると、もっと小難しいことをするんですけど、そっちの方が高校生が弾いているような感じがあったので。
──学生の頃は新しいエフェクターを買うと嬉しくて、やたらと使いたくなりますけど、そういう感じも醸し出されている気がします。
⾼村:新しい機材を買うと使いたくなる感じって、ありますよね。買った直後は、「新しく買ったから、これが一番良いに違いない」ってなっちゃうので。
江⼝:この曲のディレイも「エフェクターを買って、最初に鳴らしたフレーズ」みたいな感じですね。それがこの曲には絶妙にはまったと思います。
⽥邊:最初はストリングスを入れる案もあったんですけど、結果的にこの4人でやれたのも良かったですね。こういう「4人の音」っていう感じは久々だと思います。
──辻村さんは、データのやり取りで参加したんですか?
⽥邊:この曲は渡米前のレコーディングでした。渡米前も敢えて遠隔でやったりしていたんですけど、「こういうやり方もあるから」って、NYに行く前に教えたいことがプロデューサーさんにあったみたいで、辻村にスタジオに来てもらいました。
──この曲は、終盤の転調も効果的ですね。
⽥邊:ここはかなりこだわりました。ずっと悩んで浮かんだのがこれだったんですけど、昔、「MEMENTO」で1回やっている手法なんです。「敢えて原点に還る」という青春の力を借りた感じですね。
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