【インタビュー】BLUE ENCOUNT、選んだ未来に手応え「20周年を迎えるバンドがまだまだ挑戦して青春している」

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辻村勇太(Ba.)がアメリカへ音楽修業に向かったことによって、今春から「2拠点での活動」という新体制となったBLUE ENCOUNT。この活動の形が良い刺激になっていることは、最新シングル「アマリリス」からもまっすぐに伝わってくる。TVアニメ『MIX MEISEI STORY ~二度目の夏、空の向こうへ~』のオープニングテーマとして書き下ろされた表題曲はもちろん、カップリング曲「ghosted」も、活き活きとした仕上がりだ。今作について田邊駿一(Vo. Gt.)、江⼝雄也(Gt.)、高村佳秀(Dr.)に語ってもらった。

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■自分達に対する期待も膨らんでいる

──活動拠点が2箇所になってから初めての取材なのですが、この活動の形に関してどのようなことを感じていますか?

⽥邊駿⼀(Vo. Gt.):今のところ手応えしかないです。この未来を選んで良かったと感じている現状ですね。4月に辻村が渡米した後、国内でのライブはゲストのベーシストをお迎えしていますけど、初めてバンドでスタジオに入ったような感覚になっています。すごく楽しくて、これまでに何百回も演ってきた曲なのに、初めてやるような感覚になるよね?

⾼村佳秀(Dr.):うん。新鮮ですね。

⽥邊:新たなゲストをお迎えする度に原点に立ち還れるような感覚もあって。ライブをしながら「BLUE ENCOUNT、いいなあ!」って自分たちで思うし、ゲストの方々もそう言ってくださるんですよね。そして6月に初めてアメリカでライブをした際に辻村と再会したんですが、お互いにはにかんじゃって(笑)。


──今回のシングルの特典映像で、その様子を観ました。

⽥邊:たった2ヶ月しか離れていないんですけど、久々に会うような感覚で。ビザの関係で6月のアメリカのライブで辻村は弾いていなくて、彼は客席でブルエンのライブを観たんです。感想を聞いたら「幽体離脱した気持ちだった」と。俯瞰で見た彼が感じたブルエンの良さ、改善点とかを話し合えたのも意義深かったです。そういう感じのことがずっと続いているので、今のところこの体制に関しては良さしかないです。デメリットを1個だけ挙げるならば、アメリカに行った時の時差ボケだけ(笑)。

──(笑)。高村さんは、近況に関してどのようなことを感じています?

⾼村:曲を作る時にクオリティを自分で求めるし、「もっとすごいパワーを注ぎ込めるんじゃないか?」「このままやっていったらすごい曲が生まれるんじゃないか?」っていう自分達に対する期待も膨らんでいます。辻村がアメリカに行って吸収したものから発揮される何かもあるだろうし、それに対して応えられる自分でもいたいですね。

──今のブルエンは「ニューヨーク支部がある」という感じですよね?

⽥邊:おっしゃる通りです。この前、「ニューヨーク支部も頑張ってるから日本支部も頑張らないとね」って言ったら、お客さんに「日本も支部なんだ?」ってつっこまれました。「本部どこやねん?」ってなりましたけど(笑)。今回のシングルのカップリングの「ghosted」は、辻村が向こうに行ってから初めて作った曲なんです。この曲も手応えがあって、楽しみが広がっています。

──江⼝さんは、最近の活動についてどのようなことを感じていますか?

江⼝雄也(Gt.):もちろん不便なところもありますけど、それもわかっていながら選んだ道ですからね。このやり方をサポートしてくれるチームや、ゲストでベースを弾いてくれる方々にもめちゃくちゃ感謝しています。いろんな人との繋がりがあるからこそバンドをやれていると改めて感じますね。

──ゲストのベースをお願いできるのも、ブルエンがバンドマンに一目置かれている証しだと思います。

江⼝:力を貸していただけるのが、すごくありがたいです。

⽥邊:ほんとその通りだね。「サポート」ではなくて「ゲスト」だからこその良さも感じています。「新訳としてブルエンを表現してください」とゲストのみなさんにお伝えしているんですけど、お互いの相乗効果で良いものができています。緊張感はあるんですけど重たくはなくて、すごく爽快なものを感じています。初めてスタジオに入ったり、初めてライブをする時のような甘酸っぱい緊張感があって、歌の乗せ方や気持ちいいポイントも変わってくるので、改めて自分の武器がわかってくる部分もあります。

⾼村:やる度に、いろんな発見があるんですよね。

⽥邊:ゲストさんによって「この曲は俺の鬼門だわ」っていう方もいらっしゃったりして。今のところベーシスト殺しって言われているのは「Survivor」です。みなさん、「腕がちぎれる。辻村すげぇ」っておっしゃっていて(笑)。それはメンバーとして嬉しいです。

──普段、家事をしてくれている母親が旅行に行った期間に、「家族のためにいろんなことをしてくれているんだな」って実感するあの感じにもなっています?

⽥邊:そうかも(笑)、その喩えはすごく腑に落ちますね。辻村のベースの良さが改めてわかったので、彼がもっと活きる曲、彼が得意とするノリの曲を作るアプローチも今後していけるのかなと。江口が言った通り不便なことももちろんあるんです。でも、今年はそういうことも含めた試金石の1年ですね。そういう時期を経て、来年は敢えて3人だけでやってみることもあるのかもしれないです。今後は4人で海外でやることもあるかもしれないし、選択肢が増えた感じがありますね。

──活き活きとバンドをやれている様子は、新曲の「アマリリス」からも伝わってきます。TVアニメ『MIX MEISEI STORY 〜⼆度⽬の夏、空の向こうへ〜』のオープニングテーマとして書き下ろしたんですね?


⽥邊:はい。僕目線で曲を書いた上でアニメの物語にきちんとはまったと感じています。近年書いた曲の中でも好きな上位に入りますね。もうライブでやっているんですけど、すごく良いクライマックスを作ってくれています。

──アニメを製作しているスタッフさんからは、何かリクエストとかはありましたか?

⽥邊:リクエストはなかったです。江⼝は、あだち充先生の大ファンなので、メンバーの中に有識者がいてくれるのは心強かったです。でも、まずは自分の思うメロディラインをいくつか作ってみて、その中でみんなが良いと言ってくれたのが、この「アマリリス」の最初の形でした。僕としてはあまり物語を意識し過ぎないようにしていたんですけど、この作品の「甲子園を目指す球児の青春」「家族の物語」「友達との日常」というものが自分にもすごく刺さって、レーベルのチーム、スタッフさん、メンバー、ずっと応援してくれているファンのみんななど、僕が思う大切な存在に対して書いていきました。

──僕はこの曲で描かれている大切な存在として、BLUE ENCOUNTをとても感じました。例えば《僕たちは虹のよう 違う⾊どうしの集まり 混ざり合うことはできない でも隣合って歩ける》は、バンドのメンバー同士のことにも当て嵌まると感じたので。

⽥邊:ある意味、遠くで頑張っているニューヨーク支部の彼に宛てた手紙でもありますね。でも、聴いてくれた人が主人公になれる曲なのかなと。ラブソングにもなり得るでしょうし、仲間や家族とかにも届けて欲しいです。今までのブルエンはたった1人に向けての応援歌だったり、時には自分に対してだったんですけど、今回は「全員がそうなればいいな」「全員が次に向かって一歩を踏み出してくれれば一番いいのにな」って思いながら書けたので、結構珍しいタイプの曲なんですよね。

──《君を悲しみから遠ざける⼒など持ってないけど 誰より近くで それを⼀緒に受け⽌める覚悟は持ってる》は、とても印象に残るフレーズの1つです。

⽥邊:ありがとうございます。「自分が大切に思っている相手が何かを失った時に、何を伝えられるかな?」って考えた時の自分なりの解釈ですね。綺麗事を言っても仕方ないし、自分の覚悟を伝えるのが一番良いのかなと感じて、そこを書きました。自分も大切な人に対してそうありたいので。歌詞は考えに考えを重ねて書いたんですけど、書き上がった時に達成感がありましたね。

▲配信「アマリリス」ジャケット


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