【インタビュー】THE FRANK VOX、「4人で最高の一日を積み重ねていければ」
▪️かけがえのない友達に届ける歌にしたかった
──では、一曲ずつ順番にお聞きしていきます。オープニングはグループ名の“フラボ”と掛けた感じのタイトルになっている「Bravo!!」。いきなり底抜けに明るいラテン調のナンバーで、のっけから心を掴まれました。
SNG:まさに、THE FRANK VOXの略称“フラボ”×長友佑都選手がサッカーワールドカップのときに叫んだ“ブラボー!”で「Bravo!!」なんです。「この2つを掛け合わせたら絶対に面白い!」って、RYOがずっと言っていて。曲が生まれるきっかけとしては、いつもかわいがっていただいている関西の先輩、ベリーグッドマンさんに「アップチューンをいっぱい作りや!」とアドバイスしてもらったのも大きいですね。
RYO:THE FRANK VOXの名前を決めた結成当初から「Bravo!!」っていう曲を作るしかないと思ってました(笑)。僕もSNGもRYO-TAもサッカー経験者だし。
YASU:ちなみに僕だけサッカー経験がなくて、阪神タイガースの大ファンです(笑)。ここまでBPMが速い曲もフラボ史上初やろ?
RYO-TA:そうやな。メンバー各自がサビを持ち寄ってオーディション制で決めるのをほとんどの曲でやっているんですけど、この「Bravo!!」はアップテンポの曲に採用されたい気持ちも強くて、みんなのネタが揃う前に僕がフライングでめっちゃ早くサビを作ってきたんですよ。それをブラッシュアップして今の形になりました。ラップの部分は、SNGとタンクトップ一枚ではっちゃけながら案を出し合えたのが楽しかった(笑)。
──デスクで考えるとかじゃなく、超ハイテンションな感じで。
SNG:どっちがいいラップをかませるか。2人でバトルみたいになったのがよかったですね。RYO-TAがガツンとくるのを思いついたら、「悔しい!」とか言いながら作ってました(笑)。
──三笘薫選手や久保建英選手の名前を引用したサッカーネタがありつつ、ところどころに下ネタもうまく入れてますね。
RYO-TA:フラボらしさ全開でやらせてもらってます。下ネタは露骨にならないギリギリのラインも追求したので、探してみてください!
YASU:滑舌が悪くて苦労してましたけどね、RYO-TAは。
SNG:RYOにめっちゃ怒られてたよな(笑)。
RYO:レコーディングでいちばん時間がかかったのは「Bravo!!」です。
──そんな裏話も。
RYO-TA:自分では聴き取りやすく歌えているつもりなんですけど、録ったテイクを確認すると「何言ってんねん、コイツ」みたいな(笑)。それなのに“新春シャンソンショー”とか、早口言葉もノリでつい入れちゃいました。
──どことなく和風な味わいのサビメロも印象的です。
RYO:僕も最初にサビを聴いたとき、なんか演歌っぽいメロディやなと思ったんですけど、だんだんとクセになる魅力があって。やっぱり日本人に馴染みのある、耳に残りやすい感じがいいですよね。
RYO-TA:ストレートにハモリを付けると歌謡曲っぽさが強くなってしまうので、そこはRYOとYASUが工夫して歌ってくれました。
──2曲目の「フロアコースター」は、エキゾチックな感じのトラックやナチュラルに踊れるリズムが際立っています。
RYO:もともとはコロナ禍の真っ只中にSNGと遊びで作ったトラックなんですよ。ワクワクするような2ステップのリズムにしたのは、いつかまた有観客でやれる未来を想像したり、「お客さんと声を出せる、ジャンプできるライブを忘れたくないよな」と話したりしながら形にしていったからですね。その流れで「フロアコースター」という造語も生まれて。
──どういう意味を込めた言葉なんですか?
RYO:ライブハウスのフロアに、ジェットコースターのワクワクを重ねたようなイメージですね。2つが合わさった感じでハッピーになれたら最高やし、テーマパークへ行ったときに湧き上がってくる、言葉じゃ説明できないときめきも表現したかったんです。メンバーの反応がよかったので、THE FRANK VOXの楽曲としてみんなで仕上げました。
──サビのハーモニーも気持ちいいですね。
YASU:4人がユニゾンで歌うサビが普段は多いんですけど、「フロアコースター」は僕とRYOがメインのサビになっているので、よりハーモニーがきれいに聴こえるんだと思います。
──「Bravo!!」とはまた違った感じで踊れる曲でもあって。
SNG:「フロアコースター」は煌びやかというか、ダンス&ボーカルグループのようなスマートさも立っているんじゃないかな。
──THE FRANK VOXの魅力としてYASUさんが先程おっしゃってくれた声の重なりは、締めに来る“フロアコースター”のハモリでわかりやすく伝わると思います。
YASU:ありがとうございます! 嬉しいです。
SNG:めっちゃ聴いてくださってますね! ちょっと一回、やっとこか? せーの!
全員:(4人でハモリながら)フロアコースター♪
RYO-TA:これ、どうやって文字にすんねん!
──3曲目は『VOX GIFT』のリード曲になった「友よ。」です。
SNG:この曲は完成の仕方がよかったよね?
RYO:えっ! 俺が説明するんか(笑)? 当初は別の候補曲があったんですよ。でも、制作がどうにもこうにも煮詰まってしまい、スタジオもシーンと静まり返って……SNGがいったんトイレに行ったんよな? ほんで戻ってきたと思ったら、いきなり「友よ。」のサビをギター弾き語りで歌い出したんです。
──どういうことですか?
RYO:その時点で誰も聴いたことがない曲を、もう完成した今のまんま、急にフワッと歌い始めるっていう、ワケわからない事態ですよね(笑)。でも、一瞬で「これはいいぞ!」と思っちゃったんです。締め切りもギリギリだったけど、「煮詰まっていた曲はボツにしようや」と僕がメンバーにゴリ押しして。
YASU:でも、僕らも「友よ。」にすごく可能性を感じましたね。
RYO-TA:レコード会社に迷惑をかけてしまうけど、これは言うしかないやろと。嫌われる覚悟で曲を差し替えたい旨を伝えたら、思いのほか「この曲いいやん!」という感じで僕らの考えを尊重してくれました。
SNG:めっちゃありがたかったです。「みんなでいいものを作ろう」と言ってくださったんで。負の連鎖みたいな空気を断ち切りたくて、“まったく違うことをしたらメンバーはどんな反応をするかな?”と思ってやった行動が、奇跡的にうまくハマりました。
──その話を踏まえると、リード曲にしたくもなりますね。
RYO:もっと幅広い年齢層にTHE FRANK VOXを聴いてほしくて、「友よ。」をリードに選んだところもあります。友達感が強い時期って、おそらく学生か20代前半くらいまでなんですよ。20代後半からは仕事の付き合いとかに変わっていって、友情というものをあまり感じられなくなってくるんだろうなと。逆に捉えたら、若い人たちにはすごく刺さる曲なのかもしれない。フラボは僕らと同世代や親子連れのファンが多いけど、若者たちにもっと届けられるかもしれない。そんな期待を持っていたりもするんです。
──案外、年齢を問わずに聴ける曲なのかなって。
RYO:リリースしてから、意外とそういう反応もいただくんですよね。「この歳で聴いたら、改めて友達の大切さに気づけました」とか「昔の楽しい思い出が蘇りました」とか。
SNG:若い頃って、楽しいときを共に過ごすことが友達の定義やと思うんです。でも、年齢を重ねるとそうじゃないのがわかるじゃないですか。悪いときにいっしょに居てくれる人こそ、ホンマの友達やなって感じられるようになる。メンバーの実体験も含めて書いてるし、かけがえのない友達に届ける歌にしたかったんですよね。
RYO-TA:各々が歌うバースにメンバーの実体験を反映させているんですけど、内容があまりにも個人的すぎると何も共感してもらえない。かと言って、わかりやすすぎても面白くない。そこのバランスはみんなでミーティングを重ねて、最終的にいい形になったと思います。
──“かしこまって言うけど”とか“別に酔ってるわけじゃないぞ”とか、照れ臭さが滲み出ている歌詞は特に共感できました。
SNG:友達に「ありがとう」を伝えるのって、けっこう難しいですもんね。だから“かしこまっちゃうことをわかった上で俺は言ってますよ”みたいな感じをあえて出したり、お酒の力をちょっと匂わせてこういう表現にしたり。たどたどしくも生々しい歌詞になりました。
──ラストは「あの日はBad day, ある日はGood day」。「友よ。」と同じくセンチメンタルでじんわりと浸れるような曲です。
RYO-TA:仮タイトルが「GIFT」で、『VOX GIFT』の裏テーマ曲という位置づけやったんですよ。SNGの家で“贈り物って何だろう?”から真剣に考え始めた結果、めっちゃ気持ち悪い作り方なんですけど、“幸せとは?”みたいな言葉を付箋に書いて、部屋の壁にペタペタと貼っていくことになり……。
RYO:連想ゲーム的な感じで、“贈り物”→“あったかい”とか“受け手がいないと成立しない”とか。SNGがそうやってどんどん書き出していったんですよ。
YASU:画的にえらいことになってました(笑)。
SNG:裏テーマと言えるくらいの強い曲にするためにも、全員のイメージをできるだけいっしょにしたかったんです。
──「友よ。」が生まれたきっかけもそうですけど、SNGさんの閃きによって局面が打開されることって多いんですか?
YASU:アイデアマンではあるね。
RYO:確かに、よくなるケースは多いもんな。たまにめっちゃムカつくときもありますけどね。“今さら言うなや!”みたいな(笑)。
SNG:なんか恥ずかしいですけど、ありがとうございます。
──歌詞のテーマは人生を描いた感じになりましたね。
RYO-TA:付箋をあちこちに貼りまくって考えた末、究極の贈り物は自分自身なんちゃうかなと思ったんです。それを表現するために、僕らのことでもあり、聴いてくださる方たちをも投影した存在として、“絵描き”をメインに据えました。人生はたくさんの色を重ねていくものだけど、最初に親からもらった真っ白な状態でそもそも素晴らしいということ。そのキャンバスは時間が経つほどカラフルになるということ。時に汚くなるのも含めて美しいよねっていうこと。そんな想いを歌ったメッセージソングです。
──調子がよくないときにも寄り添ってくれそうな。
SNG:ライブで歌っていても、涙を流してくださる方がいらっしゃって。聴き手の気持ちに寄り添えているのなら、それはめっちゃ嬉しいことですね。
RYO-TA:「あの日はBad day, ある日はGood day」は、RYOの高音の美しさとYASUの中低音の重厚感をより際立たせているので、その壮大な耳当たりも楽しんでもらえたら。Dメロの“彩る何かを探す旅”からの後半のパートです。
YASU:ここはハモリというより、RYOと同じ音量でぶつかり合うように歌ってます。そうすることによってお互いの魅力を出しつつ、ラスサビも盛り上がる展開にできたんじゃないかな。
RYO:主旋律とハモリみたいな考え方じゃないボリュームの付け方だよね。ミックスの段階でエンジニアさんと相談して、僕とYASUの両方が主役に聴こえるように作りました。
──アレンジのこだわりなどは?
RYO:イントロを聴いた瞬間にグッとくる曲にしたくて、印象に残るピアノリフを考えました。それでいて、曲のテーマに沿ったあったかさもしっかりと伝わるようなサウンドですね。苦労しましたけど、シンプルかつキャッチーなトラックができたと思ってます。
──9月に開催される岐阜、愛知、東京、大阪でのリリースツアー<THE FRANK VOX VOX GIFT TOUR 2023 〜フラボのギフト、お届けに参りました。〜>は、どんなライブにしたいですか?
RYO-TA:フラボ史上最大規模のツアーです。『VOX GIFT』を贈り物として、ちゃんとライブでも届けられるように、一つひとつ大切にやっていきたいですね。4人で最高の一日を積み重ねていければ、ツアーの成功はもちろん、大阪城ホールでのワンマンにも近づけると思うので、全力でがんばっていきます!
取材・文◎田山雄士
EP盤「VOX GIFT」
TECI-936/¥1,500(税抜価格¥1,364)
1.Bravo!!
2.フロアコースター
3.友よ。
4.あの日はBad day, ある日はGood day
<THE FRANK VOX VOX GIFT TOUR 2023〜フラボのギフト、お届けに参りました。〜>
2023年9月17日(日)愛知・今池3STAR OPEN 16:30/START 17:00
2023年9月18日(月・祝)東京・Shibuya eggman OPEN 16:30/START 17:00
2023年9月30日(土)大阪・梅田 Shangri-La OPEN 16:30/START 17:00
・チケット
一般:¥4,500(税込)+1D別
学生割引:¥3,500(税込)+1D別
ピクチャーチケット:¥6,000(税込)+1D別
一般発売日:2023年9/4 (月)12:00〜
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