【インタビュー】SUKEROQUE、日本のポップスの王道に向かって突き進むユニークなアーティスト
SUKEROQUEとは一体誰か? それは作詞作曲とボーカルを手掛けるSHOHEIこと佐々木頌平によるソロユニットであり、日本のポップスの王道を極めるという壮大な目標に向かって突き進む、一つの乗り物のようなものと言っていいかもしれない。前身バンドを経ておよそ4年前に始動したSUKEROQUEは、『SUKEROQUE EP』やシングル「AQUARIUM」などスマッシュヒットを重ね、現在は7月から始まったマンスリー連続リリースの真っ最中だ。新曲「オリーヴの星」「蝸牛」(かたつむり)には屋敷豪太(Dr)らが参加してハイクオリティなサウンドを聴かせ、最新曲「COOL CHINESE」では、ユーモラスにハッチャケたミュージックビデオと共に真夏のポップスを謳歌している。心地良いメロディと詩的な歌詞、豊かな音楽体験から生み出されるサウンドが聴くものすべてを幸せにする、SUKEROQUEとは一体誰か? 当の本人、SHOHEIにたっぷりと語ってもらおう。
■自分が経て来たものが最近ようやく理解できてきた
■これまでずっと手探りでやってきたので
――アーティストネームがSUKEROQUEなので、「スケロクさん」と呼ばれることも多いですよね。きっと。
SHOHEI:そうですね、人の名前っぽいので。ヘタしたら佐々木スケロクだと思われてるかもしれない(笑)。
――正しくは「SUKEROQUEのSHOHEIさん」ということで。
SHOHEI:そうです。元々はバンドをやろうか、ソロプロジェクトをやろうか迷っていたんですけど、たぶんソロプロジェクトにしていくんだろうなという気がしていたので。人名っぽい名前だと、ソロプロジェクトに移行しやすい気がして、そういう理由で付けました。それで最初に思いついたのがSUKEROQUEだったんですけど。
――なぜSUKEROQUEだったんでしょう。
SHOHEI:英語は得意じゃないし、歌詞も日本語だし、日本っぽい響きの名前にしたいなと思っていろいろ考えていたんですけど、自分が大学の時に、「歌舞伎の歴史」みたいな授業があって。僕は日大の芸術学部の写真学科だったんですけど、ほかの学科の授業も受けることができて、演劇学科の授業を受けた時に、歌舞伎の演目に「助六」というのがあることを知って。それがパッと浮かんだので、その名前にしました。
――インパクトありますね。そして、「Q」がチャームポイント。
SHOHEI:そうなんです。Qって、アルファベットの中でも癖があるというか、普段ローマ字であんまり使わないし、インパクトあるなと思ってQを選びました。JAMIROQUAIもQを使ってるし、その雰囲気もちょっとイメージして(笑)。
――それが何年くらい前ですか。大学在学中ですか。
SHOHEI:いや、全然あとです。在学中は前身バンドで、4、5年前までやっていたんですけど、そこが解散する流れで移行したので。SUKEROQUE自体は4年ぐらいですね。
――音を聴いて、この人はバンド出身なのか、宅録出身なのかと思った時に、きっとバンド出身だろうと思ったんですね。ギターの入れ方とか、ライブっぽいグルーヴの出し方とか。
SHOHEI:もろバンドでした。いろんなところで、月に7本ぐらいライブをやってました。泥臭く、ライブをいっぱいやってるタイプのバンドでしたね。スパインズというバンドです。
――ホームグラウンドは、どこのライブハウスでしたか。
SHOHEI:渋谷のSTAR LOUNGEが多かったです。でもその頃から、渋谷のライブハウスシーンというか、自分を取り巻く環境が変わってしまって、合わなくなってきたんですよ。そこからSUKEROQUEになって、下北沢のほうが多くなって…という感じでした。
――渋谷のシーンが変わってしまった、というのは?
SHOHEI:バンドとアイドルの間というか…もちろんバンドをやっているんですけど、ライブと、その後のお客さんとのコミュニケーションの比率の重要度が同じくらいのバンドと言うんですかね。何て言っていいかわからないですけど、そういうバンドがすごく多くなってきたなという感じでした。そういうシーンと、音楽性的にも合わなくなってきたので。
――その流れで、ソロユニットへと移行してゆく。
SHOHEI:きっかけは、メンバーが2人抜けるタイミングだったので。当時のメンバーのスキルに合わせた曲作りをしていたので、抜けるタイミングで、より自分の作りたいものを作れるメンバーを入れてやり直そうと思って、SUKEROQUEを始めました。
――大きなターニングポイントですね。それでもSHOHEIさん本人は、ずっとプロ志向だったわけですよね。メンバーがどう変わろうと。
SHOHEI:そうですね。
――それって、元々のきっかけはありますか。俺は絶対音楽で生きていくと決めた動機は。
SHOHEI:高校の時にバンドをやり始めて、軽音部だったんですけど、そこの先生がきっかけでバンドにのめり込みました。スキンヘッドで体のデカい、ドラムを叩く英語の先生で、英語の授業で「女の口説き方」を教えてくれるみたいな先生だったんですけど(笑)。
――ファンキーですね(笑)。それは人気出そう。
SHOHEI:その先生にいろいろバンドのことを教えてもらって…曲は高1ぐらいからなんとなく作っていたんです。家にピアノとギターがあったので。それからバンドを始めて、高3ぐらいには「自分はバンドで生きていくんだろうな」と思って、進学のタイミングで親にも話して、「音楽やろうと思うんだよね」って。そしたら父親から「じゃあ日芸(日大芸術学部)に行ったらどうだ。変な人が多いから」って勧められて、行きました(笑)。
――素晴らしい。親公認のバンド人生。
SHOHEI:「その代わり自分で責任取れよ」とはずっと言われていました。「どんな人生になっても自分で責任取れるなら、やったらいいんじゃないか」って。
――めちゃくちゃ良いお父さんじゃないですか。音楽に関しては、元々どんなものが好きだったんですか。小中学生の頃とか。
SHOHEI:小学校の時に、最初に買ったCDがCHEMISTRYだったんですけど。それより前、子供の頃は、父親が聴いていた山下達郎さん、ユーミンさん、スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソンとかが家で流れていて、そういうものがおそらく根底にあると思います。CHEMISTRYはちょっとR&B要素のあるJ-POPなので、たぶん自分の中で何かが繋がって、好きになったと思うんですね。そこからいろいろ聴きはじめて、ポルノグラフィティ、スピッツ、フジファブリックとか、大好きでしたし、中学の時にはUKロックが好きになって、ミューズ、トラヴィスとかをよく聴いていました。そこからだんだんアメリカっぽいものも聴き始めて、高校の時にはプリンスにハマりました。
――プリンスの要素は、今のSUKEROQUEの楽曲を聴いてもかなり強く感じます。ギターのフレーズとか。今挙げてもらったアーティストで言うと、基本的に王道でポップなもの、メロディが良いものが好きというふうに思えるんですけど。
SHOHEI:確かに、王道は好きですね。
――基本的にポップ志向なんですかね。マニアックなものが好きな俺が好き、みたいな屈折はなく。
SHOHEI:そういう時もありました。レディオヘッドを聴いていた時は、そういう自分がかっこ良いなと思っていました(笑)。でも久しぶりに聴いて、『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』とか、すごく良いなと思います。『OKコンピューター』は、未だによくわからないです(笑)。行きすぎていて理解できないというか。
――話を戻して、高校の軽音部のドラマーの先生は、どういうものを教えてくれたんですか。
SHOHEI:ハードロックが主でしたね。ディープ・パープルとレッド・ツェッペリン。ディープ・パープルは父親も好きで、家にCDとDVDがあったので、高校になって聴き始めました。初期のディープ・パープルが特に好きですね、『ハッシュ』とか。そこからハードロックを聴き始めて、ホワイトスネイクとかも聴いていました。その先生には、「どうすればバンドの演奏が成り立つか」という方法論みたいなものも教えてもらいました。「ドラムがこうでベースがこうなら、ギターはこうやればバンドはだいたいうまくいく」とか、すごくためになりました。
――プロデューサー思考ですね。その先生は恩人ですね。
SHOHEI:その先生がいなかったら、たぶんバンドをやっていなかったです。
――ここまでに出て来た、日本の70年代ポップスから始まって、UKロック、ハードロック、ブラックミュージックからJ-POPまで、すべての要素が現在の楽曲に含まれているなぁと感じます。
SHOHEI:自分が経て来たものが最近ようやく理解でききたというか、辻褄が合ってきた気がしますね。これまでずっと、手探りでやってきたので。
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