【インタビュー】MADz’s、「Changes」で見せた飛躍「僕らでしかできない込み入った構成の曲」

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■ある日突然、tofubeatsさんから連絡がきて
■「え!?」と思って二度寝しました、訳が分からなすぎて(笑)


──MADz'sという名前はどこから?

SHIÓLA:あ~、どうなんやろう。でも一緒に考えたよね。

Kohjiya:LINEで話し合ったよね。「MADを入れたいわ」というのは俺が言ったと思う(笑)。ヒップホップスラング辞典みたいなのを見たら、「z's」が「~~な奴ら」みたいな意味だったんで、その2つをくっつけると造語みたいでめっちゃいいな、って。その時に「どういう感じの曲をやってこう」とか、いろいろ話し合いましたね。普段話してるような「こういう曲良かったよ」みたいな、そういうことで趣味とか方向性が固まっていった部分もあるし。

──そこで意識が擦り合っていったというか。SoundCloudなどに発表した楽曲の反応や反響はいかがでしたか?

SHIÓLA:割と反応は良くて、中学生でBoom Bapの音源をアップしてた時も、2~3万ぐらい再生されてましたね。それからローカルで有名な人からビートを買って制作するようになってからも、その名前ありきでちょっと伸びる感じもあって。

──Boom Bapから今の形になっていったキッカケは?

SHIÓLA:だんだんですね。Boom Bapから新しめのビートでラップするようになって、そこでどんどん歌っぽい部分も取り入れたり……とか、そういう感じじゃない?

Kohjiya:そうだね。僕らの中でクラシックなアーティストが、Fla$hBackSやKANDYTOWNなんですね。

──手法や精神性の部分ではBoom Bapを受け継いでいるけど、アプローチや音像は、新しい方向性に進んでいるようなグループですね。

Kohjiya:Fla$hBackSとかKANDYTOWNって、グループとしてはBoom Bapに近いけど、それぞれのソロとかでは、現行の音楽や、TRAPにも進むメンバーがいたじゃないですか。

▲Kohjiya

──それこそ3人が影響を受けた時期には、KEIJUでいえば、Awich「Remember feat. YOUNG JUJU」やtofubeats「LONELY NIGHTS feat. YOUNG JUJU」のような動きを通して、新しいアプローチを見せていましたね。

Kohjiya:もともと、Boom Bapが興味の中心で、流行りの音楽はあまり聴いてなかったんですけど、そういう曲を聴いて「こういうのもいいな」って。プラス、タイプビートがどんどん出てきて、もっと今っぽいビートで、クオリティ高いビートで、自分たちも制作できるようになったというのもありますね。

──3人とも、その時は高校生ぐらいだから進化の途中だし、スタイルも当然変わっていくし、アップデートしていくのは当然ですね。楽曲の制作に加えて、MVやアートワークなども3人プラス、クルーのメンバーで作られているそうですが、そういったミニマムな動きを展開する理由は?

Kohjiya:長崎はクラブも一つしか無いし、シーン自体がそんなに大きくないんですね。だから、人に任せるよりも、個人個人がやれることをやらないと、回らないという部分があって。だから僕はジャケットの制作もしてたし、映像とかやミキシングとかも、メンバーのみんなや、同世代のクルーで分け合ってやってるみたいな感じでした。単純にやってみたら面白かったし、それが続いてるという感じでもありますね。

──長崎のシーンはどのようなものですか?

SHIÓLA:やっぱり同世代はいなくて、ほぼ一回り上ぐらいの年上が中心ですね。

Kohjiya:結構特殊なシーンな気がします。俺らが中高の頃は、ローファイなヒップホップが結構強くて。今でこそ、ローファイヒップホップ、ローファイビートは注目されてるけど、長崎はそれがずっと強いイメージですね。でも、長崎市はそういう感じだけど、佐世保は基地がある関係で、またちょっとシーンが変わる部分もあって。

──ローファイが強い土地柄というのは面白いですね。

SHIÓLA:僕らがSPを買ったのは、その影響も大きかったですね。

──確かに、ローファイヒップホップの祖とも言えるJ DillaやMadlibがSP-303を愛機にしていたという事実もありますが、機材としてはシンプルで使いやすい反面、エディットなどは難しい機材でもありますね。

SHIÓLA:一番使いこなすのに手間がかかる機材(笑)。

Kohjiya:STUTSさんがニューヨークの路上でMPC1000を手打ちで披露する映像もバスってたから、実機のドラムマシンが欲しかったんですよね。でもMPCは高かったんで、SP-404を選んだという部分もありますね。

──そして2019年には、tofubeatsくんがパーソナリティを務める資生堂のウェブ企画「花椿アワー」にて、「No Boasting」がそのプレイリストに入ります。

SHIÓLA:ある日突然、tofubeatsさんから連絡がきて、「楽曲を使ってもいいですか?」って。別に曲がバズってたり、超伸びてたわけじゃないよね。

▲SHIÓLA

Kohjiya:うん。トーフさんがディッグって(いい音楽を探すこと)見つけてくれて。

──突然tofubeatsから連絡があった時の心境は?

Kohjiya:びっくりしましたね。起きたらトーフさんのアカウントからDMが来てて、「え!?」と思って……二度寝しました、訳が分からなすぎて(笑)。

SHIÓLA:夢かと思って(笑)。あれが高校1年生のときだね。

──彼も高校生の時に音楽イベント<WIRE>に出てるわけだから、その時の彼と同じような世代をピックアップするのは、おかしくないと言えばおかしくはないんだけど、彼のディグの広さは驚きますね。

SHIÓLA:自信になりましたね、めちゃくちゃ。

──あの曲では“サグじゃない、むしろギーク”とラップしていますが、そのマインドのあり方も面白いなと。

Kohjiya:「オラついてる方がダサいよね」みたいな感じもあったし、実際、高校生で音楽作ってるのは、趣味がマニアックな、ある意味ギーク側だよなって(笑)。あと、普通の人からも評価されたいし、ヒップホップ以外のリスナーにも聴いて欲しいというのがあったと思います。

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