【インタビュー】奥 智裕、1stミニアルバム『Homely』は「日本人が好きだと思うポップスの心にも寄り添えてる」
■この先はもっともっと新しい自分に挑戦したい
──恋愛のこともストレートに歌ってますよね?
奥:今回の恋愛の曲は、全部同じ人の曲なんです。結婚しようっていうぐらいまで想っていた彼女との別れだったので、その喪失感が全部、曲を作る源だったかなって思います。
──そう聞くと、最後の「生活はつづく」は、一つけじめをつけたような終わり方に聴こえます。
奥:そうですね。これは一番自分らしい曲が書けたなって思ってます。よく人に、君は年柄年中落ち込んでいるね」みたいに言われるんですよ。さっきも自販機に140円入れたら飲み物が出てこなくてお金も戻ってこなくて(笑)。そういうときに、「ああ、俺は本当にこういう元に生まれた人間なんだな」って、全部自分フィードバックして落ち込みに繋がっちゃうんですけど、「生活はつづく」にもそれは色濃く出てるなって。「遠く光るビルの赤と 幸せに笑う映画と」っていう歌詞が出てくるんですけど、「アリとキリギリス」ってあるじゃないですか?冬になってアリが家の中で温かくクリスマスを迎えて、キリギリスは寒い外から家の明かりを見て羨望感を感じるっていう。遠くに光るビルの赤いライトとか幸せな映画やホームドラマとかが、そこに重なって、自分にとって孤独と幸せの象徴になってるんです。でも、結びとして希望は書きたいなと思っていたので、「あの日には戻れないよ あの日には戻らないよ」って歌っているんです。女の子のこともそうだし、自分の不器用さとかそういったものと全部決別しようと思って最後に作った曲なので、この先はもっともっと新しい自分に挑戦したいから、それこそこのアットホームで家庭的な不器用なアルバムはもう作らないっていう意味も込めてます。
──このミニアルバムを作ったことで、今の自分の気持ちは全部閉じ込めた?
奥:もう完全に閉じ込めたっていう感じですね。
──となると、やっぱりミニアルバムとして1枚通して聴いてほしいですよね。
奥:通して聴いて欲しいですね。今回、弾き語りのツアーをやるんですけど、出会って「いいな」って思ってくれないと、アルバム(CD)は手に取らないじゃないですか?コレクションとして持っていてくれてもいいし、そうしたらアルバムとしてちゃんと聴いてくれる機会ができるかなと思うので、焦らずに地道に最終的に5曲通していいなって言ってくれるようになれたらいいなって思います。
──ツアーが始まっていますが、手ごたえはいかがですか?
奥:すごく楽しいです。今回弾き語りっていう形態をとったのも、弾き語りが一番その人を嘘偽りなく伝えると思うからなんです。あとは路上ライブもいっぱいやろうと思ってて、kao、ソロ弾き語り、路上ライブを並行してやっていきます。
──ちなみに「ハッとして」がカラオケに入っていますが、どんな感じで歌えばよいかアドバイスをもらえますか?
奥:これはですね、もうとにかく気持ちを込めていただければ。失恋した直後にみんな歌ってほしいなって思います。終盤、涙で歌えないっていう(笑)。音程を気にせず思いっきり思いの丈を叫んでください。
──これから実現したい夢や目標があれば教えてください。
奥:次のデジタルシングルを作りたいので、そこに向けていろんな音楽を意欲的に聴いて取り組んでいきたいなって思っています。大きい夢もありますけど、今までやってきた中で、大きい夢だけ見るとしんどいなっていうことにも気づいたので。一歩一歩を大事に愛おしく踏みしめて、それをエネルギーにして進んでいきたいと思います。
取材・文◎岡本貴之
■1st mini album『Homely』
▲『Homely』ジャケット
2023年6月14日(水)リリース
https://lnk.to/HTTY7Z
01. ハッとして
02. Rainy Dancer
03. 束の間の昼休み
04. 台風
05. 生活はつづく
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